百日咳は、百日咳菌の感染により起こり、特徴的な咳が長く続きます。


百日咳は世界的にみられる疾患で、いずれの年齢でもかかりますが、小児が中心です。また、重症化しやすく死亡者の大半を占めるのは1歳未満の乳児、特に生後6か月未満の乳児です。2008年の推計で、世界の百日咳患者数は年間1600万人で、その95%は発展途上国の小児であり、百日咳関連死は19.5万人にのぼるとされています。


百日咳の症状はカタル期・痙咳期・回復期と3つの時期に分けられます。

血清診断では世界的に抗百日咳毒素抗体(抗PT IgG)が測定される。急性期と回復期のペア血清で、①急性期の抗PT IgG価が陽性(10~100未満EU/mL)から回復期に2倍以上の有意上昇を認めた場合(有意上昇)、②単一血清で抗PT IgG価が100 EU/mL以上の高値(発症後2週間以上経過している必要あり)の場合は、百日咳と診断される。なお、世界保健機関は免疫系が十分に発達していない乳児, ワクチン接種後1年未満の患者には適用できないとしている。また、抗FHA IgGは百日咳菌以外の菌でも陽性になるため、診断には利用できない。わが国では2016年に百日咳菌に対するIgMおよびIgA抗体を測定する検査キットが体外診断薬として承認され、健康保険適用となっている。

百日咳はこれまで、感染症法に基づいて5類感染症の小児科定点把握の対象疾患に定められ、全国約3000の指定された医療機関には届け出が義務付けられていました。しかし小児科定点にもかかわらず、近年の患者増加の特徴として小学校高学年以上の患者が多くなっており、2016年は小児科定点からの報告ではあるものの15歳以上の報告が全体の25%を占めました。つまり現実には成人の患者が相当いることが推測されたため、2018年1月よりすべての医師が届け出を行う全数把握の対象疾患に変更されました。

「2018年第一週から第26週までにNESIDに報告された百日咳患者のまとめ」

米国の年齢群別百日咳関連死における3か月以下の乳児は、1980~1989年で63.6%(49/77)、1990~1999年で81.6%(84/103)、2000~2009年で90.2%(175/194)と報告されています。百日咳ワクチン接種は世界各国で実施されており、その普及とともに各国で百日咳の発生数は激減していますが、いまだに全世界で問題となっています。

百日咳菌(Bordetella pertussis)は、主に呼吸器感染症を起こす小型のグラム陰性桿菌である。ごくまれに菌血症を起こすこともある。類縁の細菌として、パラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)やBordetella holmesiiがあるが、百日咳菌に比べると百日咳毒素産生がなく、より軽症である場合が多い[1]。

そのため、心配な方は百日咳のワクチンの追加接種をしておくとよいでしょう。

菌の遺伝子検査は最も感度が高く、世界的にはリアルタイムPCR法が採用されている。わが国では特異性の高い検査法として百日咳菌LAMP法(loop-mediated isothermal amplification)が開発され, リアルタイムPCR法よりも簡便・迅速な診断が可能となり, 2016年11月から健康保険適用となった。適切な時期(症状出現後3週間以内)の後鼻腔検体を用いることが重要である。

百日咳菌に対する治療として、生後6カ月以上の患者にはエリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬が用いられる。これらは特にカタル期では有効である。新生児ではこれらの抗菌薬は肥厚性幽門狭窄症を考慮してアジスロマイシンでの治療が奨められる(詳しくは成書参照)。通常、患者からの菌排出は咳の開始から約3週間持続するが、エリスロマイシンなどによる適切な治療により、服用開始から5日後には菌の分離はほぼ陰性となる。耐性菌の出現を防ぐため、原則として感受性を確認し疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめることとする(2018年現在、わが国ではマクロライド耐性菌の出現は認められていない)。痙咳に対しては鎮咳去痰剤、場合により気管支拡張剤などが使われる。

百日咳は大人でも罹患するか?(一般)公益社団法人 福岡県薬剤師会

思春期以降の百日咳患者の増加で危惧されるのは、ワクチン未接種の乳児への感染源になり得るという点です。思春期以降の感染者では小児のような典型的な咳の症状は少なく、入院に至るようなことも少ないため、百日咳と診断されないままワクチン未接種の乳児に感染させてしまう可能性があります。

3種混合あるいは4種混合ワクチンを接種することが必要です。
4〜6歳で百日咳の抗体価が低下しかかりやすくなるため、
また、11歳〜12歳で接種する2種混合ワクチン(DT)も将来的には百日咳を含む3種混合ワクチン(DPT)に変更すると思われます。
現在ではこの時期の3種混合ワクチンの接種は可能ですが、任意接種となります。


測定が主である. 百日咳菌の代表的な抗原は百日咳毒素(pertus- ..

百日咳は1940年代ごろまでは多くの感染者、死亡者を出す疾患であったが、1950年に予防接種が導入され、1968年には全細胞型3種混合ワクチン(破傷風、ジフテリア、百日咳)の定期接種が開始されて患者数は激減した。しかし、1975年にワクチン接種後の死亡事例があり、百日咳ワクチンによる脳症が原因と考えられたため、一時中止された。数か月後に接種時期を引き上げて再開されたが接種率は低く、1979年には百日咳の報告が年間約13,000例、死亡数が約20例以上と増加してしまった。1981年には副作用の多かった全細胞ワクチン(whole cell vaccination)から日本で研究・開発された無細胞ワクチン(acellular vaccination)に変更され、3種混合ワクチンの接種率は改善し、再び百日咳の発症は減少へと向かった[2]。

百日咳は百日咳菌が感染しておこる病気です。感染力は感染初期(咳が出現し ..

・百日咳は予防接種の効果が長期間持続しないため、学童や成人での発症が増加している。重症になりやすい乳児への感染も現行の予防接種体制では十分防ぐことができておらず、死亡例も報告されている。

百日咳のための適切な抗生物質(エリスロマイシンやクラリスロマイシンなど)

標準的な小児予防接種の一環として、百日咳に対する予防接種が世界的に行われています。わが国では従来の定期接種であった沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DPT)に加え、2012年11月から不活化ポリオワクチン(IPV)を加えたDPT-IPV(四種混合ワクチン)が定期接種に導入されました。四種混合ワクチンのスケジュールは、定期接種として生後3か月以上90か月未満で4回接種します。

百日咳なんかに負けないぞ!! ①概要 : このところ、幼小児だけではなく ..

わが国では、百日咳の感染症発生動向調査が開始された1982年以降、百日咳患者は当時の約10分の1に減っています。一方、患者の年齢構成は、2005年頃までは4歳以下が中心でしたが、2005年以降は5歳以上、特に15歳以上の割合が増加し2010年には48.2%と、患者の約半数が15歳以上となりました。2018年の報告では、乳幼児は1割程度で、5~15歳未満が約6割を占め、20歳以上の成人は25%であり、成人にとっても身近な疾患であることが示されました。

第82回 熱のない長引く咳は百日咳かも・・・ 2010/6/20

しかし、2000年以降になってから、百日咳の局地的な流行が散発するようになった。百日咳の予防接種は4~12年で効果が減弱するため、思春期や成人での発症が相対的に増加した影響と考えらえる。最大のアウトブレイクとしては、大学で学生や職員約300人に感染が拡大した事例がある[3]。日本のみならず世界的にも発症年齢が上昇する傾向が見られた。

いては百日咳が適応症として含まれている一方で、アジスロマイシンについては百日咳

百日咳は現行の予防接種で抑制が十分できておらず、局地的な流行が断続的に起きています。重症化のリスクのある新生児での発生報告も途絶えていません。百日咳の流行状況や対策について、まずはポイントをまとめてみました。気になった方は、ぜひ次項からの本文をお読みください。

【百日咳とは】 百日咳菌の感染による主に呼吸器系の感染症です。乳児 ..

百日咳の増加に伴い、リスクの高い乳児の重症例が報告されている。東京都立小児総合医療センターの2010年3月~2018年11月の百日咳のデータ集計によると、百日咳患者131例中73例が入院症例で、重症が43例(年齢中央値3か月)、死亡が3例であった[4]。

百日咳 | 阪大微研のやわらかサイエンス 感染症と免疫のQ&A

百日せきワクチンの免疫効果は4-12年で減弱するとされており、乳児期の百日咳ワクチン接種のみでは乳児期以降の小児、成人での免疫が低下するため、これらの年齢層がワクチン接種できない乳児への感染源となっています。乳児の感染は、ほとんどが近親者からの感染です。米国での報告によると、1歳未満乳児での百日咳患者の感染源を調査したところ、66%が家族からの感染で、35.5%が兄弟、20.6%が母親、10.0%が父親であったとされています。

百日咳菌以外にヒトに感染する百日咳類縁菌としてパラ百日咳菌とボルデテラ ..

百日咳の病原体検査には菌培養、血清学的検査、遺伝子検査がある。菌培養検査は特異性に優れるが特殊な培地、ボルデ・ジャング(Bordet-Gengou)培地やCSM(cyclodextrin solid medium)などの特殊培地を要する。菌培養が陽性であれば確定診断となるが、感染時の保菌量が多いとされる乳児患者でも菌分離成功率は60%以下と低く、ワクチン既接種者や菌量の低い青年・成人患者からの菌分離はより困難である。菌はカタル期後半に検出されることが多いが、痙咳期に入ると検出され難くなるため、実際には菌の分離同定は困難なことが多い。

生後6ヶ月以上にはエリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌剤(特にカタル期で有効)新生児

百日咳菌の検査として、培養検査、遺伝子検査、血清学的検査があります。

生後6ヶ月以上にはエリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌剤(特にカタル.

ワクチン未接種の乳児を百日咳の感染から守ることが重要です。乳児への感染源として両親、兄弟など家族内感染が多いことが報告されていますが、思春期や成人では軽い咳程度の症状のみで受診、診断に至らないことが多いと推察されます。知らないうちに感染源になってしまう可能性あがるので、早期診断が必要です。

普通の風邪薬や抗生物質では効かず、百日咳対する治療(クラリスロマイシン)があります。 RSウイルス感染症

予防では、世界各国がEPI (Expanded Program on Immunization:予防接種拡大計画)ワクチンの一つとして、DPTワクチンの普及を強力に進めている。わが国では従来の定期接種であった沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DPT)に加え、2012年11月から不活化ポリオワクチン(IPV)を加えたDPT-IPV(四種混合ワクチン)が定期接種に導入された。四種混合ワクチンの接種スケジュールは、定期接種として生後3か月以上90か月未満で4回接種する。初回免疫と追加免疫とに分けられ、初回免疫は20日以上(標準的には20~56日)の間隔をおいて3回皮下に接種(標準として生後3~12カ月)、追加免疫は初回免疫終了後、6カ月以上の間隔をおいて(標準的には初回免疫終了後12~18カ月の間に)、1回皮下に接種することとされている。百日せきワクチンの免疫効果は4~12年で減弱し, 最終接種後時間経過とともに既接種者も感染することがある。四種混合ワクチン接種後の全身および局所の副反応については、従来の全菌体ワクチンに比較して格段に少なくなっている。

6.百日咳菌は多くの抗菌薬に感受性を示し、抗菌薬投与5日後には生菌の排出が ..

日本でのサーベイランスは、以前は5類小児科定点把握疾患で成人の報告が少なく、届出基準が臨床症状のみでの判断であったことから、百日咳の正確な発生動向を把握することが困難であった。2018年に百日咳は5類全数把握疾患となり、LAMP法など新たな検査が開発されたことを受けて、届出基準も「臨床症状と検査陽性」または「臨床症状と百日咳患者との接触歴」を満たすことに変更され、より広くかつ正確な状況把握ができるようになった。