「授乳中だけどクラリスを飲んでいい?」と質問を受けることがあります。
膀胱炎など菌の感染に対して使用される抗菌薬(抗生物質)の安全性はどうでしょうか。
セフカペン(フロモックス)やセフジトレン(メイアクト)などのセフェム系と呼ばれる抗菌薬は、一般の医療現場で使用される頻度が高いものです。セフカペン(フロモックス)は、脂溶性で蛋白結合率も低いため、胎盤を通過する性質を持っています。セフジトレン(メイアクト)も蛋白結合率が高いものの脂溶性のため、やはり胎盤を通過します。
しかし、これまで多くの妊婦さんに使用されており、先天異常との関連は無かったとする研究結果が多数存在します。そのため、妊娠周期や治療の必要性を考慮して投薬の要否を決めるのが良いでしょう。
妊婦さんはさまざまな理由により膀胱炎などの尿路感染を起こしやすく、急性腎盂腎炎に発展すると重篤な合併症を生じることがあります。このような場合にはセフカペン(フロモックス)やセフジトレン(メイアクト)の使用を考えます。
クラリスロマイシン(クラリス)というマクロライド系抗菌薬も有名ですが、妊婦さんに対する充分なデータはなく、危険性に関して明確な結論は出ていません。テトラサイクリン系抗菌薬(ミノマイシンなど)は、歯の着色やエナメル質の形成に影響を与えるため使用すべきでないですし、ニューキノロン系抗菌薬(クラビットなど)は、もともと妊婦さんには使用禁忌(使ってはいけない)となっています。
染症に対して有効な薬剤として処方されている。 妊娠第 1 三半期にクラリスロマイシンによる治療を受
妊娠第1期のマクロライド系抗菌薬の処方は、ペニシリン系抗菌薬に比べ、子供の主要な先天形成異常や心血管の先天異常のリスクが高く、全妊娠期間の処方では生殖器の先天異常のリスクが増加することが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのHeng Fan氏らの調査で示された。妊娠中のマクロライド系抗菌薬処方に関する最近の系統的レビューでは、流産のリスク増加には一貫したエビデンスがあるが、先天異常や脳性麻痺、てんかんのリスク増加には一貫性のあるエビデンスは少ないと報告されている。また、妊娠中のマクロライド系抗菌薬の使用に関する施策上の勧告は、国によってかなり異なるという。BMJ誌2020年2月19日号掲載の報告。
研究グループは、妊娠中のマクロライド系抗菌薬の処方と、子供の主要な先天異常や神経発達症との関連を評価する目的で、地域住民ベースのコホート研究を行った(筆頭著者は英国Child Health Research CIOなどの助成を受けた)。
解析には、UK Clinical Practice Research Datalinkのデータを使用した。対象には、母親が妊娠4週から分娩までの期間に、単剤の抗菌薬治療としてマクロライド系抗菌薬(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン)またはペニシリン系抗菌薬の投与を受けた、1990~2016年に出生した10万4,605人の子供が含まれた。
2つの陰性対照コホートとして、母親が妊娠前にマクロライド系抗菌薬またはペニシリンを処方された子供8万2,314人と、研究コホートの子供の同胞5万3,735人が解析に含まれた。妊娠第1期(4~13週)、妊娠第2~3期(14週~分娩)、全妊娠期間に処方を受けた妊婦に分けて解析した。
主要アウトカムとして、欧州先天異常監視機構(EUROCAT)の定義によるすべての主要な先天異常および身体の部位別の主要な先天異常(神経、心血管、消化器、生殖器、尿路)のリスクを評価した。さらに、神経発達症として、脳性麻痺、てんかん、注意欠陥多動性障害、自閉性スペクトラム障害のリスクも検討した。
主要な先天異常は、母親が妊娠中にマクロライド系抗菌薬を処方された子供では、8,632人中186人(1,000人当たり21.55人)、母親がペニシリン系抗菌薬を処方された子供では、9万5,973人中1,666例(1,000人当たり17.36人)で発生した。
妊娠第1期のマクロライド系抗菌薬の処方はペニシリン系抗菌薬に比べ、主要な先天異常のリスクが高く(1,000人当たり27.65人vs.17.65人、補正後リスク比[RR]:1.55、95%信頼区間[CI]:1.19~2.03)、心血管の先天異常(同10.60人vs.6.61人、1.62、1.05~2.51)のリスクも上昇した。
全妊娠期間にマクロライド系抗菌薬が処方された場合は、生殖器の先天異常のリスクが増加した(1,000人当たり4.75人vs.3.07人、補正後RR:1.58、95%CI:1.14~2.19、主に尿道下裂)。また、妊娠第1期のエリスロマイシンは、主要な先天異常のリスクが高かった(同27.39 vs.17.65、1.50、1.13~1.99)。
他の部位別の先天異常や神経発達症には、マクロライド系抗菌薬の処方は統計学的に有意な関連は認められなかった。また、これらの知見は、感度分析の頑健性が高かった。
著者は、「マクロライド系抗菌薬は、妊娠中は注意して使用し、研究が進むまでは、使用可能な他の抗菌薬がある場合は、それを処方すべきだろう」としている。
妊娠2週という時期は、受精したかしないかというところです。催奇形性期より前なので、まず心配はないでしょう。解熱鎮痛剤の中に含まれる成分のうち、インドメタシンやイブプロフェンといった成分は、妊娠の後期に所定量超えて大量に服用すると、おなかの赤ちゃんの動脈管の流れを阻害して、循環障害を起こすことがあります。しかし、決められた用量ををきちんと守って、短期間飲んでいた程度なら心配はいりません。
私も妊娠中に風邪をひいて薬を頂いて飲んでました。 産婦人科で処方された薬なら心配ないと思いますよ。 子供たちも元気に育ってます。
クラリスロマイシンは処方頻度の高い抗菌薬であることから、薬局では患者さんから様々な質問を受けることがあります。
もともと頭痛持ちという方も多いと思いますし、つわりがはじまってから頭痛がひどくて困っているという方もいらっしゃると思います。どのような薬で対処するのが良いのでしょうか。
アセトアミノフェン(カロナール)は水溶性の薬物であり、胎盤を通過しにくい性質を持ちます。これまで妊婦さんに使用される頻度の最も多かった解熱鎮痛薬で、奇形との関連は言われていません。最近では妊娠中のアセトアミノフェン使用と子の発達障害との関連性について報告する論文が出ましたが、総合的に考えてメリットをデメリットが上回るとは考えにくい状況です。
また、ロキソプロフェン(ロキソニン)も胎児に奇形を起こすとは考えられていません。
ただし、妊娠後期の解熱鎮痛薬の使用は注意が必要です。胎児の心臓には、胎盤から受け取った酸素の豊富な血液を全身に送るための動脈管と呼ばれるものが存在します。出産間近に解熱鎮痛薬を使用すると、この動脈管が収縮して胎児死亡につながる可能性があるのです。また、胎児の腎機能に影響して羊水過少を引き起こすこともあります。
腰痛に使う湿布でも、何枚も連用すると影響が出る可能性があるので注意が必要です。
「妊娠中も使える抗菌薬」の前提が崩れたら | 実践!感染症講義
妊娠中や授乳中の場合にはクラリスを使用できないわけではありませんが、気軽に内服できるわけでもありません。妊娠中に高容量のクラリスを投与すると胎児に心血管系の異常、口蓋裂、発育遅延等の異常が生じる可能性があると動物実験にて報告されています。また、クラリスは母乳にも移行します。病気の種類に応じて、治療を行うメリットと治療を行わないデメリットを比較・検討し、担当医と十分に相談して治療に当たりましょう。
これらのマクロライド系抗菌薬は、日本の使用量が他国より多いことが指摘されています。そして実際、妊娠中にもよく使われています。「マクロライド系が流産のリスクになるなら、ペニシリン系かセフェム系を使えばいいのでは?」と思うかもしれませんが、問題はペニシリンやセフェムがまったく効かない感染症に対処せねばならないケースです。特に、それが多くの妊婦さんが感染する感染症だった場合、どうすればいいのでしょうか。次回、考えてみたいと思います。
妊娠中に服用すると危険な薬というのは実際にはそれほど多いものでは ..
クラリスは、併用注意薬(一緒に内服する場合は注意しなければならない薬)や、併用禁忌薬(一緒に内服してはいけない薬)が非常に多いです。ここには書ききれないほど多くの種類がありますので、常用薬がある方は医療機関を受診する際に必ず申し出るようにしてください。
自然流産率は15%,胎児奇形の自然発生率は約3%であるのに対し,薬剤が奇形発生の原因となるのは全奇形のうちの1-2%であり,非常に少ない確率となっています。とは言っても,一部の薬剤には催奇形性がわかっているものや,催奇形性が問題となる器官形成期を過ぎての暴露によって,胎児の発達や機能に障害を引き起こす胎児毒性が問題となる薬剤もあり注意が必要となります。一方,妊娠以前から慢性疾患などで薬を服用している場合,妊娠を機に安易に休薬することは,疾患そのものの悪化などのリスクが発生します。したがって,臨床では有益性が危険性を上回ると判断されれば,薬の使用は継続されます。
通常、成人にはクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)、
その研究は、医学誌「Canadian Medical Association Journal」2017年5月1日号(オンライン版)に掲載されました(注)。カナダ・ケベック州在住で1998年から2009年に自然流産した15~45歳の妊婦8702人を対象に調べたところ、マクロライド系抗菌薬のアジスロマイシン(先発品の商品名は「ジスロマック」)を妊娠中に服用した人の流産のリスクは服用していない人の1.65倍、クラリスロマイシン(同じく「クラリス」「クラリシッド」)なら2.35倍にもなる、という結果が出たというのです。
アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びプロトンポ
妊婦さんは免疫力が低下しているため、気を付けていてもインフルエンザになってしまうことがあります。妊婦さんはインフルエンザ感染に伴って重篤な症状になったり、合併症を起こす危険が高くなると言われており、自然流産、早産、低出生体重児、胎児死亡が増加するとの報告もあるため注意が必要です。妊婦さんだからという理由で治療をためらうべきではなく、適切な治療を行うことが推奨されています。
まずはインフルエンザになる前にワクチンの接種を考慮しましょう。妊娠前にインフルエンザワクチンを接種できれば一番良いのですが、妊娠中であってもインフルエンザワクチンを接種することで奇形が増えるとは考えられていないため、選択肢に加える価値はあります。
インフルエンザになってしまった場合のお薬ですが、オセルタミビル(タミフル)は水溶性であり胎盤移行は多くないと考えられます。妊娠中の使用による奇形や流産の増加は無いと考えられていますので、使用を検討して良いでしょう。ザナミビル(リレンザ)やラニナビル(イナビル)は吸入薬のため、飲み薬よりも血液中の濃度が低いことから、胎児への影響も少ないと考えられます。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると ..
とは言っても、重症化している(しそうな)場合は抗菌薬を用いなければなりません。そんなときは「妊娠中でも使える抗菌薬」を選択することになります。それはペニシリン系、セフェム系、マクロライド系の3種の抗菌薬です。クラビットという商品名で有名なニューキノロン系や、商品名・ミノマイシンなどのテトラサイクリン系は、生まれてくる赤ちゃんに奇形のリスクが生じることなどから原則妊娠中の使用は「禁忌」です。他の種類のものも「禁忌」もしくは「禁忌に近い」と考えなければなりません。しかし、このような説明を聞くと「なーんだ。妊娠していても使える抗菌薬が3種類もあるなら、そんなに心配しなくてもいいんじゃないの」と思った人もいるでしょう。ですが、この「妊娠中も使える」という前提が崩れたとすればどうでしょう。実は、最近、そのような内容の研究が報告されたのです。
妊娠と薬情報センター · 妊娠と薬について知りたい方へ · 授乳と薬について知り ..
花粉症は日本人の3人に1人と言われるほど頻度の多いアレルギーです。
まずはマスクやメガネなどの、お薬以外の対処が大切です。
飲み薬ではロラタジン(クラリチン)に関する研究報告が多くあり、奇形などの危険は認められていないため、妊婦さんに使いやすいと考えられます。ロラタジン(クラリチン)は眠気が少ないというのも利点の1つでしょう。
また、クロルフェニラミンマレイン酸塩(ポララミン)は、昔から妊婦さんに用いられている薬で、胎児への危険度の上昇は無いものと考えられています。眠気が出るので車を運転する人には向かないのですが、逆に眠れなくて困っている方には使いやすいかもしれません。
ロラタジン(クラリチン)やクロルフェニラミンマレイン酸塩(ポララミン)は、じんましんなど花粉症以外のアレルギーにも適応があります。
モメタゾンフランカルボン酸エステル(ナゾネックス)などのステロイド点鼻薬は脂溶性であり胎盤を通過すると思われますが、点鼻薬のため体内への吸収はわずかであり、胎児にはほとんど到達しないと考えられます。ステロイド点鼻薬の妊娠中の使用についてはデータが少ないのですが、問題ないとする研究報告が多いようです。
オロパタジン点眼(パタノール)などの点眼薬も同様に胎児移行性は低いと考えられますので、使用を検討して良いでしょう。点眼後は目頭をティッシュペーパーで押さえて、余分な液をぬぐうなどの配慮をして下さい。
FAQ 助産師・看護師による妊婦への服薬指導(山内愛) | 2010年
扁桃炎や中耳炎、クラミジアの時に処方される抗生物質がクラリスロマイシン(先発品名:クラリス、クラリシッド)です。
3.肝臓障害又は腎臓障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者。 ..
妊娠前から便秘気味だったという方も多いと思います。妊娠するとホルモンの影響で腸の蠕動運動が低下し、大きくなった子宮で腸が圧迫されて、ますます便秘がひどくなる方もいらっしゃいます。便秘が原因で痔が悪化したり、いきむと赤ちゃんが出てきてしまいそうで心配という方もおられるでしょう。
酸化マグネシウム(マグミット)は塩類下剤と呼ばれる代表的な便秘薬です。腸内に水を引き寄せて便を軟らかくするとともに、便が膨らんで腸に刺激を与え、排便を促してくれます。マグネシウムイオンは胎盤を通過しますが、酸化マグネシウム自体が腸から吸収されにくいと考えられています。そのため、胎児に影響するとは考えにくいと言えます。一般的に、この酸化マグネシウムが妊婦さんの便秘の第一選択になります。
ピコスルファートナトリウム水和物(ラキソベロン)は大腸刺激性下剤と呼ばれる下剤で、血液中にはほとんど吸収されません。そのため薬は胎児までほとんど到達しないことから、影響も乏しいと考えられます。
酸化マグネシウム(マグミット)もピコスルファートナトリウム水和物(ラキソベロン)も人間での研究は多くないですが、リスクを明確に示す結果は報告されていません。
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妊娠が分かってからも、体の様子がおかしかったり、持病があるために薬を飲まなければいけないケースは、どんな妊婦さんにも起こり得ることです。それなのに薬について正確な知識のないまま「絶対に薬は飲みたくない」と過剰反応する人もいます。基本的に産婦人科で出されている薬は、母体の健康を維持し、妊娠を継続するために必要だと判断され、処方された薬なのです。ですから指示通りに飲んでください。また、市販されている薬は飲まないようにしましょう。理由は、現在の市販薬の中で胎児に影響があるとされているものはほとんどありませんが、テストの段階で妊婦さんに対して実験をしたわけではないので可能性はゼロではないからです。一方、たとえばてんかんや膠原病、甲状腺の病気、心臓病など持病のある妊婦さんの場合、妊娠中にその病気が悪化することはおなかの赤ちゃんにとっても大変危険なことです。それらの病気の治療に使われる薬の中には赤ちゃんの奇形の発生率を高めるものなどがあるのですが、だからといって使わずに妊婦さんが発作を起こすようなことは母体にとっても危険です。こんな場合は、医師が薬の強さや量をコントロールすることで、妊娠を継続できるように考えますので、主治医に相談して下さい。
クラリスロマイシン錠200mg「サワイ」の基本情報(作用 ..
たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援する代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。 月額110円メルマガ<>を配信中。
クラリスロマイシン錠200mg「日医工」の基本情報(作用 ..
お薬は妊婦さんの血液に取り込まれてから、胎盤を通過して胎児に影響します。そのため、お薬が胎盤を通過しやすいかどうか(胎盤移行性)が問題となります。胎盤を通過しやすいお薬の特徴には、濃度が高い・脂溶性が高い・蛋白結合率が低いなどがあります。
成分・分量, 1錠中 日局 クラリスロマイシン 200mg(力価)
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