1)びまん性汎細気管支炎や慢性気管支炎に伴うクラリスロマイシン不応性の
マクロライド系抗菌薬ロキシスロマイシン(RXM,ルリッド®錠,150mg)は14員環なので,びまん性汎細気管支炎や副鼻腔炎の少量長期投与療法に用いられてよいと思うのですが,講演会などでもあまり取り上げられません。実際の有効性はどうでしょうか。
14 員環マクロライド(エリスロマイシン、クラリスロマイシン)の長期投与。
通常、鼻の中で過剰に分泌された鼻水は、鼻の穴から前方へ「鼻水」となって出ていきます。
後鼻漏は、鼻水が外に出ずに鼻の後方から喉のほうに流れ落ちる症状です。健康な状態でも、1日作られている鼻水(2〜6リットル)のうち30%(0.6〜2リットル)は鼻から喉に流れ、無意識に飲み込んでいるといわれています。そのために、後鼻漏自体は自然な症状なのです。
しかしながら、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などで喉に流れ落ちる鼻水の量が増加したり、上咽頭炎で喉の奥に粘液が張り付いたりすると病的な後鼻漏になります。図:右中鼻道から後鼻腔へ流れる後鼻漏
14員環RXMの慢性気道炎症(上気道ならびに下気道)への有効性については,1990年代にエリスロマイシン(EM)やクラリスロマイシン(CAM)と同様に「有効」とする報告があります1)。インターネットを駆使した「現在のEM療法」としては,EMにより始め,効果不十分な場合はRXM,CAMに変更すると述べられています2)。特にRXMは耳鼻咽喉科領域で,慢性副鼻腔炎を対象とした自・他覚症状の改善効果が報告されています3)。上下気道をone-airwayと考え,RXM 150mg/日の少量で効果が確認されています。
(高齢者の肺炎抑制におけるクラリスロマイシン長期投与の効果:ランダム化比較試験) ..
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)に対するマクロライド長期療法は,その増悪抑制に有用である。その後の研究では,特に高齢者や中等症患者,抗菌薬や経口ステロイド投与を必要とするような増悪患者において顕著であり,現喫煙者においては抑制効果は認められないこと,また,増悪頻度が年3回以上の患者において増悪抑制効果が認められることが報告(文献1,2)された。
一方,マクロライド長期療法は耐性菌を誘導するリスクを伴っている。特に慢性気道感染症に合併するMycobacterium avium complex(MAC)のキードラッグであるクラリスロマイシンや,アジスロマイシンに対する耐性化には注意が必要であるが,肺MAC症に対するエリスロマイシン単剤長期療法は,クラリスロマイシンに対して耐性化を誘導することなく,肺MAC症患者の無増悪期間を延長した(文献3)。
これら最近の結果から,マクロライド長期療法を行う場合には,COPDのphenotypeを十分考慮し適応症例を選択する必要がある。慢性気道感染症に対してはまずエリスロマイシンから開始し,やむをえずクラリスロマイシンやアジスロマイシンを使用する場合には,MAC感染の有無を喀痰培養などで監視しながら行うべきであろう。
びまん性汎細気管支炎や慢性副鼻腔炎に対して、や『クラリス』、『エリスロシン(一般名:エリスロマイシン)』などの14員環マクロライド系抗生物質を少量で長期投与する治療方法があります。
小児の呼吸器疾患に対するマクロライド系抗菌薬の長期投与に関するエビデンスは少ない。当科で
発熱や全身倦怠感(だるさ)、頭痛、痰を伴わない咳などの症状がみられます。咳は少し遅れて始まることもあります。咳は熱が下がった後も長期にわたって(3~4週間)続くのが特徴です。多くの人はマイコプラズマに感染しても気管支炎ですみ、軽い症状が続きますが、一部の人は肺炎となり、重症化することもあります。一般に、小児の方が軽くすむと言われています。
妊娠中や授乳中の場合にはクラリスを使用できないわけではありませんが、気軽に内服できるわけでもありません。妊娠中に高容量のクラリスを投与すると胎児に心血管系の異常、口蓋裂、発育遅延等の異常が生じる可能性があると動物実験にて報告されています。また、クラリスは母乳にも移行します。病気の種類に応じて、治療を行うメリットと治療を行わないデメリットを比較・検討し、担当医と十分に相談して治療に当たりましょう。
治療は、マクロライド少量長期投与療法(クラリスロマイシン、エリスロマイシンなど)が確立され効果をあげています。 ..
「百日咳はどのような病気?」
「咳が長引いているけど、これは百日咳?」
「大人の症状と子供の症状に違いはある?」
このような疑問はありませんか?
百日咳はインフルエンザやおたふくかぜほど身近に感じにくい病気のため、詳しく知らないのも仕方ありません。
本記事では、百日咳の特徴や原因、大人と子供や赤ちゃんとの症状の違い、予防法や治療法について解説します。
粘りのある鼻水が喉の奥を流れる、痰(たん)がからむ咳が止らない、などの不快な症状を感じる場合、それは後鼻漏(こうびろう)かもしれません。
病的な意味での後鼻漏は、副鼻腔炎(蓄膿症)やアレルギー性鼻炎に伴い、粘調なあるいは膿性な鼻水が喉の方へと流れることを言いますが、広い意味で副鼻腔炎に伴う後鼻漏以外に生理的な分泌物や上咽頭の炎症に伴う分泌物も後鼻漏に含む場合もありますし、さらには何も流れていないのに流れている感覚や喉に貯まる感覚のみがある後鼻漏感と呼ばれる症状もあります。
ちなみに耳鼻科外来を受診する患者さんの内、後鼻漏を訴えるのは16%おられ、実際に後鼻漏が確認できるのは約10%、 視診で確認できない後鼻漏、いわゆる後鼻漏感は約5%であったとの報告もあります。(参考文献❶)
ける改善が見られるということもあるかと思いますが、これより他の薬剤、たとえばクラリスロマイシン、レボフロキ
【A】「マクロライド少量長期投与」は好中球性炎症性気道疾患に対して保険適応になったこともあり、徐々に認められてきました。
薬事情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介(2006年1月)
マクロライド少量長期投与は「エリスロマイシン400〜600mg / 日」、「クラリスロマイシン200〜400mg / 日」が一般であると考えられます。ただし、これらの用量は経験則によるものとされています。
クラリスロマイシンが有効であった著明な嚢状気管支拡張症の 2 例
個人的には実際の臨床現場において「クラリスロマイシン200mgを1日1回」で投与されるケースが散見されます。
投与期間については、慢性副鼻腔炎に用いる場合は3〜6ヶ月と報告されていますが、COPDや中耳炎に関しては明確にはされていません。
(推奨度1)。無効時は、肺非結核性抗酸菌症の除外を行った上でクラリスロマイシンまたはロキシスロマイシン ..
百日咳は世界的に見られる疾患で、いずれの年齢でもかかるが、小児が中心となる。また、重症化しやすく、死亡者の大半を占めるのは1 歳未満の乳児、特に生後6カ月未満の乳児である。WHOの発表によれば、世界の百日咳患者数は年間約1,600万人で、その約95%は発展途上国の小児であり、小児の死亡数は19.5万人にのぼるとされている。
わが国における百日咳患者の届け出数(伝染病予防法では届出伝染病として全例報告されることになっていた)は、ワクチン開始前には10万例以上あり、その約10%が死亡していた。百日せき(P)ワクチンは1950年から予防接種法によるワクチンに定められ、単味ワクチンによって接種が開始された。1958年の法改正からはジフテリア(D)と混合のDP二種混合ワクチンが使われ、さらに1968(昭和43)年からは、破傷風(T)を含めたDPT 三種混合ワクチンが定期接種として広く使われるようになった。これらのワクチンの普及とともに患者の報告数は減少し、1971年には206例、1972年には269例と、この時期に、日本は世界で最も百日咳罹患率の低い国のひとつとなった。しかし、1970年代から、DPTワクチン、特に百日せきワクチン(全菌体ワクチン)によるとされる脳症などの重篤な副反応発生が問題となり、1975年2月に百日せきワクチンを含む予防接種は一時中止となった。同年4月に、接種開始年齢を引き上げるなどして再開されたが、接種率の低下は著しく、あるいはDPTではなくDTの接種を行う地区も多く見られた。その結果、1979年には年間の届け出数が約13,000例、死亡者数は約20例に増加した。
その後、わが国において百日せきワクチンの改良研究が急いで進められ、それまでの全菌体ワクチン(whole cell vaccine)に代わり無細胞ワクチン(acellular vaccine)が開発された。1981年秋からこの無細胞(精製、とも表現する)百日せきワクチン(aP)を含むDPT三種混合ワクチンが導入され、その結果、再びDPTの接種率は向上した。また、1981年7月から「百日せき様疾患」として、定点医療機関(以下、定点)からの報告による感染症発生動向調査が開始され、伝染病予防法に基づく届出数の約20 倍の患者数が報告されるようになった。1982年には全定点からの報告数が23,675(定点当たり12.59)で、その後は約4年毎に増加するパターンを示しながら減少した。さらに1995年4月からはDPTワクチンの接種開始年齢がそれまでの2歳から3カ月に引き下げられた。
クラリスロマイシン(クラリシッド、クラリス) – 呼吸器治療薬
グラム陰性桿菌である百日咳菌(Bordetella pertussis)の感染によるが、一部はパラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)も原因となる。感染経路は、鼻咽頭や気道からの分泌物による飛沫感染、および接触感染である。
百日咳の発症機序は未だ解明されていないが、百日咳菌の有する種々の生物活性物質の一部が、病原因子として発症に関与すると考えられている。病原因子と考えられるものとしては、繊維状赤血球凝集素(FHA)、パータクチン(69KD外膜蛋白)、線毛(Fim2、Fim3)などの定着因子と、百日咳毒素(PT)、気管上皮細胞毒素、アデニル酸シクラーゼ、易熱性皮膚壊死毒素などの毒素がある。
クラリスロマイシン(クラリシッド、クラリ)とは、呼吸器感染症の治療に幅広く使用される抗菌薬で、その効果は多くの臨床例で実証されています。
臨床経過は3期に分けられる。
1)カタル期(約2週間持続):通常7~10日間程度の潜伏期を経て、普通のかぜ症状で始まり、次第に咳の回数が増えて程度も激しくなる。
2)痙咳期(約2~3週間持続):次第に特徴ある発作性けいれん性の咳(痙咳)となる。これは短い咳が連続的に起こり(スタッカート)、続いて、息を吸う時に笛の音のようなヒューという音が出る(笛声:whoop)。この様な咳嗽発作がくり返すことをレプリーゼと呼ぶ。しばしば嘔吐を伴う。
発熱はないか、あっても微熱程度である。息を詰めて咳をするため、顔面の静脈圧が上昇し、顔面浮腫、点状出血、眼球結膜出血、鼻出血などが見られることもある。非発作時は無症状であるが、何らかの刺激が加わると発作が誘発される。また、夜間の発作が多い。年齢が小さいほど症状は非定型的であり、乳児期早期では特徴的な咳がなく、単に息を止めているような無呼吸発作からチアノーゼ、けいれん、呼吸停止と進展することがある。合併症としては肺炎の他、発症機序は不明であるが脳症も重要な問題となり、特に乳児で注意が必要である。1992~1994年の米国での調査によると、致命率は全年齢児で0.2%、6カ月未満児で0.6%とされている。
3)回復期(2, 3週~):激しい発作は次第に減衰し、2~3週間で認められなくなるが、その後も時折忘れた頃に発作性の咳が出る。全経過約2~3カ月で回復する。
成人の百日咳では咳が長期にわたって持続するが、典型的な発作性の咳嗽を示すことはなく、やがて回復に向かう。軽症で診断が見のがされやすいが、菌の排出があるため、ワクチン未接種の新生児・乳児に対する感染源として注意が必要である。これらの点から、成人における百日咳の流行に今後注意していく必要がある。
また、アデノウイルス、マイコプラズマ、クラミジアなどの呼吸器感染症でも同様の発作性の咳嗽を示すことがあり、鑑別診断上注意が必要である。
臨床検査では、小児の場合には白血球数が数万/mm3に増加することもあり、分画ではリンパ球の異常増多がみられる。しかし、赤沈やCRPは正常範囲か軽度上昇程度である。
マクロライド系抗菌薬は、抗菌活性以外に免疫調整作用や粘液線毛機能の改
そこで、
咳には「これ以上の刺激がくると咳を生じる」というラインが存在します。このラインをといいます。薬によって閾値を上げれば、のどに刺激が起きても咳が起くなくなります。
しかし、 気道の炎症が強い場合、咳止めであげられる閾値には限界が生じます。
即ち、中枢性の強力な咳止めをどれだけ飲んでも効果は出ないのです。
B.2 肺炎 Hospital acquired pneumonia
「びまん性汎細気管支炎(Diffuse Panbronchiolitis:DPB)」は、日本人に多い難治性の気管支炎です。気管支のほか、周辺の様々な呼吸器に慢性的な炎症を起こす病気です。
「びまん性」とは、病気のある場所がはっきりと限定できず、組織全体にまんべんなく病変が広がっている病態のことです。
抗菌薬が用いられるときは通常、アジスロマイシンやクラリスロマイシンなどの薬剤が投与されます。
この「びまん性汎細気管支炎」に対して、『エリスロシン』などの14員環マクロライド系抗生物質を少量かつ長期で投与すると、大きな改善効果が得られることが知られています1)。
従って小児の慢性呼吸器疾患診療上,慢性副鼻腔炎の適切な評価と ..
長期的に内服すると、耐性菌という抗菌薬が効きにくい菌が発現したり、赤血球・白血球・血小板が減少する可能性があります。クラリスを処方された場合は、決められた投与量をしっかり守って治療に当たりましょう。副作用のチェックのため、定期的に血液検査が必要になる場合もあります。
投与量は,エリスロマイシン10 mg/kg/day,クラリスロマイシン3 mg/kg/dayとした.
慢性副鼻腔炎に対し、『クラリシッド』や『エリスロシン』などの14員環マクロライド系抗生物質を少量かつ長期で投与すると、改善効果が得られることが知られています3)。
特に『クラリス』や『クラリシッド』といった「クラリスロマイシン」製剤は、『エリスロシン』よりも気管支部位への移行率が高く3)、また1日1回の投与で良いことから広く採用されています。