この記事では、SGLT2阻害薬である4つの薬について詳しく解説しました。
当院では多くの腎臓病の患者様が受診され薬のご相談を受けておりますが、SGLT2阻害薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬が投与されていない場合は積極的に投与して腎臓の保護を試みます。
SGLT2阻害薬は簡単に言うと、余分な糖をおしっこで外へ出す薬です。
なお、SGLT2阻害薬は1型糖尿病の方にも使用できますが、低血糖のリスクを高めるケースもあるため注意を要します。
SGLT2阻害薬は、腎臓で糖分を再吸収しているSGLT2(sodium glucose cotransporter 2 : ナトリウムとグルコースを運ぶ蛋白)の働きを抑える事で、尿から多量の糖分が漏れるようにする経口血糖降下薬です。
尿から糖分が多量に漏れると、血糖値は低下します。
SGLT2阻害薬には、血糖値を下げるだけでなく、様々な良い効果がある事が報告されています。
薬の名前としてフォシーガ、ジャディアンス、カナグルあたりが有名です。
ネット通販などで売っていることもありますが、個人輸入という行為にあたるため、リスクがあります。品質や安全性が保障できないばかりか、偽物の可能性もあります。また、医師や薬剤師の意見を聞くことができず、自身の体質などに適した薬なのか判断することも難しいです。SGLT2阻害薬(内服薬)には、服用できない人や、併用できないお薬もあるため、医師から説明を受けると安心です。
SGLT2阻害薬はもともと、糖尿病治療薬として開発され、国内では2014年から18年にかけて6種類が発売。腎臓の近位尿細管で糖を再吸収する役割を担うSGLT2(ナトリウム・グルコース共役輸送体2)の働きを阻害し、余分な糖を尿とともに体外に排出させることで血糖を下げる薬剤ですが、15年以降、心血管イベントや腎イベントを抑制することを示すエビデンスが相次いで発表され、血糖降下作用にとどまらない多面的な臓器保護作用が注目されるようになりました。
そこで、カナグル・スーグラ・ルセフィ・フォシーガがどんな薬なのかをまとめました。
さて、本題に入りますが、販売名フォシーガ(一般名称:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物)も、2022年6月に承認されたカナグル(一般名称:カナグリフロジン水和物)も、SGLT2阻害薬に分類される糖尿病の治療薬です。
腎臓にあるSGLT2というポンプ(尿中に捨てられたブドウ糖を再吸収して血液に戻すポンプのような物質)の働きを阻害することで、ブドウ糖を尿中に捨てて血糖値を下げる働きがあります。
フォシーガは日本において2014年に「2型糖尿病」、2019年に「1型糖尿病」、2020年に「慢性心不全」の治療薬として承認されています。
そして2021年、「慢性腎臓病」の治療薬として承認されることになりました。
なぜ心不全や腎臓病に効くのか?今のところメカニズムは明らかではありませんが、メカニズムが解明されれば更に効果的な治療薬の開発につながると期待されます。
【参考】
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フォシーガは、SGLT2阻害薬であり、尿に糖を出すことで血糖を下げる薬です。一方で、メトホルミンは、肝臓における糖の生成を抑制し、骨格筋や脂肪組織内の糖を吸収するのを抑える作用があります。リベルサスはGLP-1受容体作動薬であり、インスリンの分泌を促し、血糖値を下げる作用があります。
(SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation 2014.6.13より)
このブログを最初に書いた2021年8月5日時点では慢性腎臓病(CKD)治療薬としてのフォシーガは正式承認されていないので、どのような慢性腎臓病(CKD)患者がフォシーガ治療の対象になるのか?は明らかではありませんでした。
しかし、フォシーガの国際的な臨床試験(DAPA-CKD)では糖尿病の有無を問わない4,304例の慢性腎臓病(CKD)患者で臨床試験が行われているので、糖尿病でなくてもフォシーガが使えるようになるのでは?と期待しています。
しかし、DAPA-CKD試験ではeGFRが25以上75未満の慢性腎臓病(CKD)患者であり、尚且つ、ACE阻害薬(またはARB)という血圧を下げる薬を4週間以上服用している患者が臨床試験の対象になっています。
ということは、日本の慢性腎臓病(CKD)治療において、
①eGFRが25よりも下の場合は使えるのか?
②ACE阻害薬やARB以外の血圧の薬(カルシウム拮抗薬など)を飲んでいると使えないのか?
という2点が気になります。正式に承認されたら情報を追記しますね。
【参考】
カナグルは、2型糖尿病の治療薬として使用されているSGLT2阻害薬の一つです。
ジェネリック医薬品は全てのSGLT2阻害薬で発売されていません。
アストラゼネカ(製造販売元)と小野薬品工業(販売)はフォシーガについて、2型糖尿病合併の有無に関わらず、「慢性腎臓病(ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く)」の効能又は効果の追加承認を取得したと発表しました。
ここでは、SGLT2阻害薬の効果や副作用についてご紹介していきます。
2021年8月に承認されたのはSGLT2阻害薬のなかの「フォシーガ」という薬なのですが、テレビや新聞で「国内初の慢性腎臓病(CKD)治療薬」と報道されているのを知って、純炭社長的には???と思ってしまいました。
というのも慢性腎臓病(CKD)用剤である「クレメジン(球形吸着炭)」が1991年に承認されているからなのです。クレメジンを開発したクレハ(旧呉羽化学工業)さんは悔しい気持ちになっているのでは?
余談ですが、私、就職活動でクレハの医薬品部門を受けて役員面接で見事に落っこちました(笑)でも、クレハを恨んではいませんよ。
おかげで中外製薬の研究所に就職して腎性貧血治療薬の創薬に携われた訳ですし、今でもラップは「クレラップ」を愛用しています(笑)。
【参考】
(7月28日の専門部会議事録は今のところ厚生労働省ホームページにアップされていませんでした)
なお、全てのSGLT2阻害薬に共通する禁忌事項は、以下の通りです。
国内では、▽「フォシーガ」(一般名・ダパグリフロジンプロピレングリコール、アストラゼネカ)▽「ジャディアンス」(エンパグリフロジン、日本ベーリンガーインゲルハイム)▽「カナグル」(カナグリフロジン水和物、田辺三菱製薬)――の3つのSGLT2阻害薬が、心不全と腎臓病を対象とした開発を行っています(カナグルは糖尿病性腎症のみ)。
SGLT2阻害薬の副作用と頻度は、以下のように報告されています。
体重が減りやすい糖尿病治療薬には、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬があります。
フォシーガは、ダパグリフロジンを主成分とするSGLT2阻害薬です。
血糖が正常なのにケトンが溜まる正常血糖ケトアシドーシスでは、嘔気が止まらず回復に時間を有する例もあります。(SGLT2阻害薬が1度飲むと長く効いてしまうのも、事態を遷延させる要因)
SGLT2阻害薬はその作用機序からケトアシドーシスに注意が必要です。
心不全も腎不全も薬物治療の中心は降圧薬ですが、近年、心臓と腎臓の両方に対する臓器保護作用を持つ薬剤として注目されているのがSGLT2阻害薬です。
SGLT2阻害薬は、SGLT2とSGLT1の選択性に違いがあります。
慢性心不全では昨年11月、フォシーガがこのクラスの薬剤として初めて承認を取得し、ジャディアンスも適応拡大を申請。慢性腎臓病では、フォシーガが昨年12月に申請を済ませ、ジャディアンスも臨床第3相(P3)試験を行っています。カナグルは糖尿病性腎症を対象にP3試験を実施中です。
そのため、SGLT2阻害薬で高い治療効果を期待することができます。
SGLT2(エスジーエルティー・ツー)阻害薬は糖尿病の治療ガイドラインで定められている治療薬のひとつで、膵臓ではなく腎臓に作用することで血糖値を改善する働きがあります。
SGLT2阻害薬では心血管疾患や腎疾患に対するデータが示されています。
2型糖尿病ではSGLT2発現率が上がり、グルコースの取り込みが亢進しているため、SGLT2を選択的に阻害する薬剤は2型糖尿病の治療に効果的である(適応の問題で1型糖尿病には使用できない)。
SGLT2阻害薬は、摂取したブドウ糖を排泄します。つまり、できます。
SGLT2阻害薬はどうやって効いているのかを説明する前に、腎臓でどうやって尿が作られているかを説明します。
尿の作り方は、次の通りです。
以下に該当する人は、SGLT2阻害薬をおすすめできない可能性があります。
血液は腎臓で濾過され浄化される。濾過の過程で最初に作られる尿(原尿)には、まだ体に必要なものが含まれており、それらは再び腎臓で吸収され血液中に戻る。血液中のブドウ糖(血糖)も体に必要なもので、高血糖でなければほぼ100%再吸収され、尿糖としては排出されない。
このようなブドウ糖の再吸収を担っているのがSGLT2 で、その働きを妨げる薬がSGLT2 阻害薬である。血液中の過剰なブドウ糖の再吸収を減らし、尿糖として排出することで高血糖を改善する。
SGLT2阻害薬の利尿剤という一面、意外と忘れがちなので気をつけたいですね
この原尿ですが、健常成人では、1日150Lの血液をろ過して作っています。
原尿中のブドウ糖を、そのまま外に出すともったいないため、腎臓の尿細管という所で、SGLT1、SGLT2という蛋白質を通じて、体内に再吸収されます。
SGLT1とSGLT2は両方とも、糖分の再吸収に関わっており、原尿中のブドウ糖の約9割が、主としてSGLT2により再吸収されます。
上図は、SGLT2阻害薬のカナグリフロジン(カナグル)により、腎臓の尿細管で、SGLT2が阻害され、尿中に大量の糖分が漏れる様子を描いたものです。
ところで、SGLT2阻害薬を飲むと、どのくらい尿糖が増えるかご存知でしょうか?
これは、角砂糖(1個 3~4g)では、だいたい、20個~30個分に相当します。
結構、多くの糖分が外に出ていきますね。
また、以下のような方々も、SGLT2阻害薬の処方が難しいことがあります。
フォシーガと同様に血糖値を下げる働きをするメトホルミンやリベルサスとの違いについて解説します。主な違いは、以下の通りです。
お年寄りでやせすぎた場合は、SGLT2阻害薬は中止する場合もあります。
できます。そのため、糖尿病だけでなく慢性腎臓病の治療にも活用されているのです。また、フォシーガを服用することで、心不全患者の心血管死リスクを抑制するとされています。そのため、されています。
商品名としてカナグル、スーグラ、フォシーガ、ジャディアンス、デベルザ、ルセフィ等があります。 SGLT2阻害薬による減量効果
炭水化物を制限するようなダイエットとSGLT2阻害薬の内服は、上記理由で大変危険。