デキサメタゾンは核内受容体の一種であるグルココルチコイド受容体
私たちはこれまでに、道管分化をマスター因子としてNACドメイン転写因子をコードするVND6、およびVND7を同定した(Kubo et al., 2005, Genes Dev.; Yamaguchi et al., 2008, Plant J)。
そこで本研究では、これらマスター因子にヘルペルウイルスVP16の転写活性化ドメイン、およびラットのグルココルチコイドレセプタードメインを融合させることで、デキサメタゾン(DEX)依存的に活性が誘導されるコンストラクトを構築し、形質転換体を作出した。まず、シロイヌナズナに導入した形質転換体では、DEX処理することにより、植物体全体が白色化し死んでしまった。植物体を観察したところ、ほとんどの細胞が二次細胞壁を持つ道管細胞へと分化転換していた(図)。また、道管分化に関与する酵素や転写因子の多くがDEX処理により発現が誘導されており、二次細胞壁に多く含まれる多糖であるキシラン蓄積量も増加していた。さらに、このコンストラクトをシロイヌナズナやタバコの培養細胞やポプラに導入したところ、それぞれDEX依存的に分化転換した道管細胞が観察された。特に、タバコBY-2細胞において90%以上の細胞が分化転換するラインを確立することに成功した。
これらの結果は、今回構築したコンストラクトが、道管細胞分化の分子機構を解析するうえで非常に有効であることを強く示している。
デキサメタゾンのグルココルチコイド受容体(GR)への親和性を100と した場合の相対的受容体親和性を求めた.
パリ地域にある 3 ヵ所の周産期センターにおいて,1993 年 1 月~1996 年 12 月までに妊娠 24 週から 31 週までの期間に生産児として産まれた 883 例の新生児のコホートを後ろ向きに解析した.361 例の新生児の母親は分娩前にベタメタゾンの投与を受け,165 例の新生児の母親は分娩前にデキサメタゾンの投与を受けていたが,357 例の新生児の母親はグルココルチコイドの投与は受けていなかった.これらの三つの新生児群における嚢胞性脳室周囲白質軟化症の割合を,交絡因子で補正した単変量(bivariate)および多変量解析によって比較した
嚢胞性脳室周囲白質軟化症の割合は,母親がベタメタゾンの投与を受けていた新生児では 4.4%,母親がデキサメタゾンの投与を受けていた新生児では 11.0%,母親がグルココルチコイドの投与を受けていなかった新生児では 8.4%であった.妊娠期間,分娩様式,および絨毛羊膜炎,破水から分娩までの期間の延長(>24 時間),子癇前症,および子宮収縮抑制薬の使用の有無で補正すると,嚢胞性脳室周囲白質軟化症のリスクは,出生前のベタメタゾンの曝露により,グルココルチコイド療法をしない場合(補正オッズ比,0.5;95%信頼区間,0.2~0.9)あるいはデキサメタゾンの曝露(補正オッズ比,0.3;95%信頼区間,0.1~0.7)と比較して低下することとの関連が認められた.母親がデキサメタゾンの投与を受けていた新生児群では,母親がグルココルチコイドの投与を受けていなかった新生児群と比較したときの補正オッズ比は 1.5(95%信頼区間,0.8~2.9)であった.
チコイド作用 (グルココルチコイド作用)として抗炎症作用、抗アレルギー ..
学習と記憶は、シナプスの再編を伴い、慢性ストレスにより損なわれる。しかし、ストレスホルモンであるグルココルチコイドの急性分泌は、樹状突起棘(スパイン)の形成を促進することで、マウスの学習を改善する。感覚運動錘体ニューロンで緑色蛍光タンパク質(GFP)を過剰発現しているマウスにおいて、回転棒(rotarod)上で運動協調を訓練させた後、Listonらは、in vivoイメージングを用い、グルココルチコイド分泌の正常な概日周期性の変動が、スパインの形成および維持を異なる機構で促進することを示した。グルココルチコイドの周期性変動は、概日時計と同調しており、活動期に1つのピーク、非活動期に1つのトラフを示した。グルココルチコイドのピーク時にrotarodで訓練されたマウスは、トラフの期間に訓練されたマウスと比較して、スパインの形成が増加していた。訓練直後にコルチコステロンを注入すると、両群でスパイン形成が増加した。これに対し、使用用量では血液脳関門を通過しない合成グルココルチコイドであるデキサメタゾンにより内因性グルココルチコイドの分泌を抑制すると、デキサメタゾン不在下ではグルココルチコイドのピークが生じたであろう期間に訓練された群で新しいスパインの形成が阻害された。グルココルチコイドのトラフが生じた期間にコルチコステロンを注入すると、新しく形成されたスパインが不安定化し、高用量グルココルチコイドを反復投与すると既存のスパインの消失が亢進され、いずれの処理でもrotarodの成績が損なわれた。コルチコステロンを大脳皮質に直接投与すると、急速なスパイン形成が誘導され、これは、転写阻害剤アクチノマイシンDの影響を受けなかったが、2型コルチコステロイド受容体[グルココルチコイド受容体(glucocorticoid receptor:GR)]拮抗薬ミフェプリストンにより阻害されことから、GRによる非転写的制御が示唆された。非処理マウスおよびアクチノマイシンDに曝露したマウスの大脳皮質において、スパイン形成は、アクチン安定化キナーゼLIMK1およびその基質コフィリンのリン酸化の増加と相関した。初代神経細胞培養におけるコルチコステロンにより誘導されるLIMK1またはコフィリンのリン酸化は、GRがノックダウンされると消失した。さらに、コルチコステロン誘導性のスパイン形成は、LIMK1–/–マウスで抑制された。対照的に、コルチコステロン投与後のスパイン消失は、遅延した累積的な過程であり、アクチノマイシンDによって阻害されたが、ミフェプリストンの影響は受けなかった。1型コルチコステロイド受容体[鉱質コルチコイド受容体(mineralocorticoid receptor:MR)]作動薬アルドステロンの直接投与は、スパイン剪定の速度を増加させ、これは、アクチノマイシンDと共に処理することで阻害された。基底および学習誘導性のスパイン剪定速度はいずれも、MR拮抗薬スピロノラクトンの投与により低下した。合わせると、この結果から、学習により誘導されるスパイン形成は、グルココルチコイドがピークになる期間中に、GRおよびキナーゼ依存性の機構により媒介されるのに対し、スパインの維持および記憶保持は、グルココルチコイドの存在量が低い期間を必要とし、別のMRおよび転写依存性の機構によって媒介される。
未分類:家族性グルココルチコイド欠乏症(FGD)は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)抵抗性による孤立性グルココルチコイド欠乏症の異質な病態である。患者は電解質正常の副腎不全である。我々は、診断が当初は急性疾患によって覆い隠されていた、異なる型のFGDを有する2人のアラブ小児について報告し、両患者においてFGDの診断が遅れた理由について考察する。患者1は、12日目にセラチア敗血症で来院した。彼女は敗血症性ショックに対してヒドロコルチゾンを投与され、人工呼吸を離脱させるためにデキサメタゾンの投与が必要であった。13週では、電解質は正常で、コルチゾールは低く、ACTHはFGDと同様に高かった。MC2Rのホモ接合ミスセンス変異(T159)により、FGD1型と診断された。患者2は、4歳半で慢性喘息の急性増悪で入院した。来院時、低血圧、低血糖、正常電解質であった。重症の喘息を治療するためにヒドロコルチゾンを静注したが、口唇の色素沈着は中枢性チアノーゼと考えられた。2週間後、唇は黒ずんだままであり、コルチゾールは低く、ACTHは著明に上昇していた。家族歴から、22歳の脳性小児麻痺の姉と15歳の健常な兄がおり、両者とも重度の色素沈着でACTH高値であった。3人の兄妹のMRAPにホモ接合性のミスセンス変異(p.Y59D)が同定され、2型FGDと診断された。
結論:FGDは急性疾患時には見過ごされやすい。病児では、ステロイド療法を開始する前に血清コルチゾールとACTHをペアで測定することがFGDの診断に有用であろう。
・発熱などの症状が持続する数日間は,グルココルチコイド補充量を 2― 3倍に増量
本研究では、Huai Qi Huang(フアイア)が急性リンパ性白血病(ALL)細胞において、デキサメタゾン(Dex)の効果を増強するメカニズムを評価しました。Huai Qi Huangはグルココルチコイド受容体α(GRα)の発現を上昇させることで、Dexによるアポトーシスと細胞増殖抑制効果を高めました。これにより、Huai Qi HuangとDexの併用がALL治療の新たな戦略となる可能性が示されました。
グルココルチコイドは、プラセボ(ダミー治療)と比較して、2時間後のクループの症状を軽減し、入院期間を短縮し、再診率や(再)入院率を低下させるというエビデンスに変わりはない。デキサメタゾンの0.15mg/kgの少量投与は、標準用量である0.60mg/kgと同等の効果が期待できる。クループに対する低用量デキサメタゾン0.15mg/kgの有効性に関するエビデンスを強化するために、さらなる研究が必要である。小児のクループの治療にはグルココルチコイドが有効であると結論づけた。
グルココルチコイドは細胞内でグルココルチコイドレセプターと ..
糖質コルチコイド(Glucocorticoid、グルココルチコイド)の薬は炎症や自己免疫疾患を治療するため広く処方されており、最近ではCOVID-19(SARSコロナウイルス2型感染症)の重症患者の治療にも用いられている。COVID-19は、発熱や息切れなどの症状から、多臓器不全などの重い合併症への急速に進行する。重症患者は「サイトカインストーム」(cytokine storm)を経験するが、このときにはもはやコロナウイルスに対する炎症反応を抑えることはできず、サイトカイン(炎症の分子メッセンジャー)の異常な産生がさらなる合併症を引き起こしてしまう。臨床試験では、糖質コルチコイド受容体に結合する強力な抗炎症薬であるデキサメタゾン(dexamethasone)を低用量で投与することにより、COVID-19入院患者の死亡率が低下したことが示されている。
グルココルチコイドの作用不足を認める場合にはデキサメタゾンの補充を行うが、症状のない場合には特に治療は行わない
[PDF] L3052 糖質コルチコイド | 化学物質評価研究機構
1964年から2021年までに発表された0歳から18歳の子ども5,888人を対象とした45件の研究に対し、1,323人の子どもを対象とした2件の新しい研究を含めた。今回使用されたグルココルチコイドは、ブデソニド、デキサメタゾン、プレドニゾロンの3種類である。最新の1件の研究では、ブデソニドとデキサメタゾンの有効性が比較された。もう1件の新しい研究では、デキサメタゾンとプレドニゾロンの有効性、およびデキサメタゾンの少量投与(0.15mg/kg)とデキサメタゾン0.60mg/kgとを比較した。デキサメタゾンの投与量を比較した新しい研究のデータを、同じ比較を行った以前からレビューに含まれている研究に追加した。
臨床ではプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾンなどの合成ステロイド薬がよく用いら
急性リンパ性白血病(ALL)は、血液のがんであり、特に小児に多く見られる疾患です。現在の治療法にはデキサメタゾン(Dex)という薬が広く使われていますが、さらなる治療効果の向上が課題となっています。本研究では、中国伝統医学のHuai Qi Huang(フアイア)が注目されました。Huai Qi Huangは、ALL細胞においてグルココルチコイド受容体α(GRα)の発現を増加させる作用を持ちます。この受容体の活性化により、Dexが細胞死(アポトーシス)を誘導しやすくなり、細胞増殖が抑制されました。研究結果から、Huai Qi HuangはDexの治療効果を増強する補助療法として有望であり、ALL患者の治療選択肢を拡大する可能性が示されています。この発見は、ALL治療に新たな可能性を提供する重要な成果です。
[PDF] デキサメタゾン COVID-19 小児患者に対する治療薬としての位置付け
慢性硬膜下血腫患者において、デキサメタゾンによる治療は穿頭ドレナージと比較し機能的アウトカムに関して非劣性は示されず、合併症の発現頻度や追加手術を要する患者の割合が高かった。オランダ・Amphia HospitalのIshita P. Miah氏らが、医師主導、評価者盲検の多施設共同無作為化非盲検非劣性試験の結果を報告した。慢性硬膜下血腫の治療において、外科的除去を伴わないグルココルチコイドの役割は不明であった。NEJM誌2023年6月15日号掲載の報告。
研究グループは、CTで新たに診断された18歳以上の症候性慢性硬膜下血腫患者を、デキサメタゾン群および手術群に1対1の割合で無作為に割り付けた。
デキサメタゾン群では、1~4日目に8mgを12時間ごと、その後3日ごとに半量ずつ漸減して0.5mg/日を投与する19日間の漸減コースにて、経口投与または経口投与が不可能な場合は静脈内投与した。手術群では、無作為化後7日以内に標準的な穿頭ドレナージを行った。
主要エンドポイントは、無作為化後3ヵ月時の機能的アウトカムで、修正Rankinスケール(mRS)スコア(範囲:0[症状なし]~6[死亡])で評価した。手術に対するデキサメタゾンの非劣性マージンは、手術群よりデキサメタゾン群でmRSスコアが低いことの補正後共通オッズ比(OR)の95%信頼区間(CI)の下限が0.9以上と定義した。
副次エンドポイントは、症状の重症度に関するMarkwalder Grading Scale(MGS)および拡張グラスゴー転帰尺度(GOS-E)のスコアであった。
本試験は、サンプルサイズ420例を対象とすることが計画されたが、2016年9月~2021年2月に1,039例がスクリーニングされ、このうち無作為化された252例を対象とした中間解析の後、デキサメタゾンの安全性およびアウトカムに関する懸念のため、データ安全性モニタリング委員会の勧告により早期終了となった。
252例(デキサメタゾン群127例、手術群125例)の患者背景は、平均年齢74歳、77%が男性であった。両群の患者背景は、入院時のmRSスコアを除き類似していた(mRSスコアが4の患者の割合がデキサメタゾン群57.5%、手術群33.6%)。
主要エンドポイントである無作為化後3ヵ月時のmRSスコア0(症状なし)および1(機能障害なし)の割合は、デキサメタゾン群でスコア0が17.5%、スコア1が26.2%、手術群でそれぞれ35.5%および33.1%であった。手術群よりデキサメタゾン群でmRSスコアが低いことの補正後共通ORは0.55(95%CI:0.34~0.90)であり、デキサメタゾンの手術に対する非劣性は認められなかった。MGSおよびGOS-Eスコアも、主解析の結果と同様であった。
合併症はデキサメタゾン群で59%、手術群で32%に発現し、追加手術はそれぞれ55%および6%に行われた。
例に対して 0.3 ㎎/㎏/dose (max 6mg/dose) 1 日 1 回投与を提唱している専門家もいる 10)。 作用機序:
CAHの治療に用いられる主なグルココルチコイドにはヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾンなどがあります。
[PDF] 副腎皮質ホルモン剤 デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム注射液
18.1作用機序
デキサメタゾンはグルココルチコイドに属し、すぐれた糖質代謝作用を有し、抗炎症・抗リウマチ・抗アレルギー作用を発揮する一方、鉱質代謝作用が比較的弱いことが認められている(ラット及びマウス)。コルチコイド活性に関する動物実験から抗炎症作用(抗肉芽腫作用)、胸腺退縮作用、肝グリコーゲン沈着作用が明らかにされている(ラット)。