多発性骨髄腫 / IMiDs / デキサメタゾン / CRBN / がん
ボルテゾミブ(BOR)投与中の患者では,帯状疱疹の発症が比較的早期に出現することが指摘されている。特に,デキサメタゾン(DEX)を併用する場合は注意が必要である。BOR 投与により神経障害性疼痛を合併している場合,帯状疱疹の発症は神経障害性疼痛症状を増悪させ,患者の生活の質をさらに低下させる。APEX 試験では,BOR 単剤およびDEX の併用群で331 例中42 例(13%)に帯状疱疹が発現し,DEX 単独群(5%)よりBOR 投与群で帯状疱疹の発症が有意に多かった。BOR とMP 療法(MEL, PSL)を併用したVISTA 試験では,MP 療法群に比べBOR 併用群で帯状疱疹の発症が高頻度であった(13% vs 4%)。また,アシクロビル(ACV)の予防内服をしなかった250 例では43 例(17.2%)に帯状疱疹が発現したのに対し,予防内服をした90 例では帯状疱疹発現が3 例(3.3%)のみに減少しており,ACV の予防内服により帯状疱疹の発生を減少させることが示された。ACV 200 mg/日の低用量の予防内服により帯状疱疹の発生を減少させることが示されている。Carfilzomib やixazomib の大規模試験でもACV が予防投与されている。しかし,長期間にわたる抗ウイルス薬投与による腎障害や神経障害にも注意が必要である。
ボルテゾミブは,これまでに 1~3 回治療を受けたことのある多発性骨髄腫患者の再発治療において,高用量デキサメタゾンよりも優れている.
新規発症骨髄腫患者に対するゾレドロン酸とクロドロネートの長期投与の効果を比較する大規模臨床試験(MRC Myeloma Ⅸ trial)が英国で実施された。本試験では口腔内予防措置が行われたが,口腔内予防措置を行っても年間約4%の患者にARONJ が発生しているため,予防措置に加えARONJ の早期発見のための注意深い観察と対応が必要である。
骨髄腫患者では深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)の発症が多い傾向がある。DVT をきたしやすい骨髄腫患者の危険因子として,高齢,先行する凝固異常やDVT の既往,エリスロポエチンの使用,高用量デキサメタゾン(DEX)の使用,ドキソルビシン(DXR)を含む併用化学療法,長期臥床,中心静脈カテーテルの使用,腫瘍量が多いこと,および感染や炎症の存在などが指摘されており,このような危険因子があれば,DVT 発症に対する予防策をとることがもともと推奨されていた。
くすぶり型多発性骨髄腫から(症候性)多発性骨髄腫あるいは全身性 ..
口腔内予防処置として,①ゾレドロン酸の投与前に歯科医師による口腔内のチェックを受け,必要な歯科処置を行う,②侵襲的歯科処置の場合は処置後6〜8 週後に創傷の治癒が確認された場合にゾレドロン酸の投与を開始する,③ゾレドロン酸の投与開始後は口腔内ケアを十分に行い,担当医の許可なく歯科を受診し治療を受けないようにすることを行うと,ゾレドロン酸を長期に使用(6 回以上)している骨髄腫患者でARONJ の発症は1/3 以下に減少し,重症例(stage 3)はなかったと報告されている。ARONJ は治癒が非常に困難な疾患と考えられていたが,ARONJ が治癒しなかった症例は24%で,12%が改善後再燃,62%が改善・治癒しているとの報告がある。また,治癒した12 例にビスホスホネートが再開され,6 例にARONJ が再び発症している。
顎骨壊死の発症の頻度,特徴,危険因子を明らかにする目的で,1997 年以降ビスホスホネートを投与されている骨髄腫と骨転移を有する患者252 例を2003 年より追跡調査した報告では,全体で17 例(6.7%),うち骨髄腫患者では111 例中11 例(9.9%)に顎骨壊死が発症していた。顎骨壊死を発症した患者のビスホスホネートの投与回数は平均35 回であり,13 回の投与まででは発症者はいなかった。ゾレドロン酸の継続投与群ではパミドロネート群に比べ有意に発症者が多かった。また,骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)は,静脈注射用ビスホスホネートの投与を受けた癌患者がほとんどである。ARONJ の多くが抜歯等の歯科処置や局所感染に関連して発現しており,ビスホスホネートの投与回数,総投与量が多くなると発症頻度は増加している。骨病変を有する初発骨髄腫患者に対し,デノスマブとゾレドロン酸の治療効果を比較検討した国際共同大規模第Ⅲ相臨床試験ではARONJ の発生には両群間で差はなかった。
再発難治性多発性骨髄腫、belantamab mafodotin上乗せの有用性
治療効果の優れた新規抗骨髄腫薬が次々と臨床応用されているため,これらとの併用下での,ゾレドロン酸やデノスマブの有用性や至適な投与法・投与期間さらには生存へのメリットを今後さらに明らかにする必要がある。
デノスマブは破骨細胞分化因子(receptor activator of nuclear factor-κB ligand:RANKL)に対する完全ヒト化モノクローナル抗体である。デノスマブの120 mg 皮下注とゾレドロン酸の4 mg 点滴静注の4 週ごと投与の,ビスホスホネート製剤の治療歴のない溶骨性病変を有する骨髄腫患者に対する骨関連事象の発現抑制効果は同等であった。この試験では骨髄腫患者数が少ないだけでなく,前治療の内容にも偏りがあったため,この2 剤の治療効果や予後に及ぼす影響を正当に検証するために,骨病変を有する初発骨髄腫患者に対し新規薬や自家移植などの治療内容を均等化した国際共同大規模第Ⅲ相臨床試験が施行された(デノスマブ群,ゾレドロン酸群それぞれ859 例)。中央値17.4 カ月の観察で,デノスマブはゾレドロン酸と骨関連事象の発現抑制効果は同等であった。両群ともに治療開始初期に骨関連事象の発生が多かったが,15 カ月以降の骨関連事象の発現はデノスマブ群で有意に少なかった。死亡数はデノスマブ群,ゾレドロン酸群でそれぞれ121,129 例であり,全生存割合への影響に差はなかったが,無進行生存期間はデノスマブ群で有意に延長していた(中央値46.09 vs 35.38 カ月)。デノスマブはゾレドロン酸と異なり腎障害例でも減量の必要はないが,腎障害の発生・増悪はゾレドロン酸群に比べデノスマブ群で有意に少なかった。低カルシウム血症は大部分がG1-2 の軽度のものであったが,低カルシウム血症の発生はデノスマブ群で有意に多かった(16.9 vs 12.4%)。顎骨壊死の発生には両群間で差はなかった。このように今回の大規模試験で,骨病変を有する初発例に対するデノスマブとゾレドロン酸の治療効果がより明瞭になった。
[PDF] 再発難治性多発性骨髄腫におけるポマリドミド、ボルテゾミ ブ
D/S 第Ⅲ臨床病期で骨融解病変を有する患者に対する大規模臨床試験により,骨病変を有する進行期骨髄腫患者に対し,化学療法に加え,3〜4 週ごとのゾレドロン酸4 mg の15 分間点滴静注の2 年以内の反復投与の有用性が示された, 。次いで,新規発症骨髄腫1,960 例を自家移植群と非移植群に分け,さらにそれぞれの群を骨病変の有無にかかわらず初期治療時よりゾレドロン酸4 mg の3〜4 週ごとの投与またはクロドロネートの連日経口1,600 mg 群に割り付けたMRC Myeloma Ⅸ試験が行われた。中央値3.7 年の観察で,ゾレドロン酸投与群(n=981)ではクロドロネート投与群(n=979)より有意に骨関連事象の発生が少なく,全生存期間が5.5 カ月延長した。さらに2 年を超え長期間試験が継続された症例(582 例)を抽出し検討したところ,ゾレドロン酸群はクロドロネート群に対して有意に全生存期間が上回り(HR 0.60,p=0.0201),骨関連事象の発生も有意に抑制し(p=0.0102),初回増悪からの生存期間も延長していた(34 vs 27 カ月,HR 0.58,p=0.0291)。顎骨壊死(ONJ)の発生は,ゾレドロン酸群290 例中12 例(4.1%)にみられた。
一方,同種移植においては治療関連死亡(TRM)が問題であったが,近年,移植前処置を骨髄非破壊的にすることでTRM は減少してきている。自家移植後の再発169 例において移植ドナーの有無によりその後の経過を比較した報告では,ドナーを有した75 例中68 例が骨髄非破壊的同種移植を施行し,2 年PFS ではドナーを有した群が42%,ドナーを有さなかった群が18%で,同種移植群が有意に優れていた(p<0.0001)。しかしながら,2 年生存割合ではドナーを有した群が54%に対し,ドナーを有さなかった群が53%と有意差はなかった(p=0.329)。自家移植後再発例における骨髄非破壊的同種移植のHLA 適合度による比較では,1 年後の非再発死亡率はHLA 適合群では10%であったが,HLA 非適合群では53%にも達した(p=0.001)。このように,同種移植についてはTTP の延長効果が示されたものの長期的な生存期間の延長効果は明らかでないことから,一般的には推奨されず,臨床試験として実施すべきである。
[PDF] 当院で多発性骨髄腫の治療としてカルフィルゾミブと ..
また,レナリドミドおよびプロテアソーム阻害薬による前治療歴を有する再発または難治性の多発性骨髄腫117 例に対するELO+POM+DEX 療法とPOM+DEX 療法を比較するランダム化第Ⅱ相試験が実施され,PFS の中央値は10.3 カ月vs 4.7 カ月(p=0.008)とELO 併用群における優位性が認められた。全奏効率も53% と26% で,同様にELO 併用群で高かった。ELO 併用群での主なGrade 3 以上の有害事象としては,好中球減少13%,貧血0%,高血糖8% などが認められたが,POM+DEX 群と比較して高頻度ではなかった。しかし,両群で65% の患者に感染症合併を認め,ELO 併用群の5% でinfusion reaction を認めた。
[PDF] 多発性骨髄腫 ( Multiple Myeloma, MM )
DARA の第Ⅰ/Ⅱ相試験では単独療法の漸増試験が行われ,8 mg/kg と16 mg/kg におけるPR 以上の奏効割合はそれぞれ10%と36%[完全奏効(CR)5%,非常によい部分奏効(VGPR)5%を含む]であった。16 mg/kg 群におけるPFS の中央値は5.6 カ月であり,奏効例の65%は1 年の時点で進行を認めなかった。Grade 3 以上の主な有害事象は肺炎と血小板減少であった。Infusion reaction はそれぞれ67%と71%と高頻度であったが,大部分はGrade 1, 2 で初回投与時に認められた。DARA の第Ⅲ相試験では16 mg/kg が用いられ,LEN+DEX 療法やBOR+DEX 療法との併用療法が検討された。DARA+LEN+DEX 療法とLEN+DEX 療法との比較試験(POLLUX)では,1 年後のPFS はコントロール群60.1%に対しDARA 群83.2%と有意に優れていた(p<0.001)。PR 以上の奏効割合は76.4% vs 92.9%,CR 以上の奏効割合は19.2% vs 43.2%とDARA 群における深い奏効が認められた(いずれもp<0.001)。Grade 3 以上の主な有害事象は好中球減少37.0% vs 51.9%,血小板減少13.5% vs 12.7%,貧血19.6% vs 12.4%であった。DARA によるinfusion reaction は47.7%に認められたが,大部分はGrade 1, 2 であった。DARA+BOR+DEX 療法とBOR+DEX 療法との比較試験(CASTOR)では,1 年後のPFS はコントロール群26.9%に対しDARA 群60.7%と有意な効果を示した(p<0.001)。PR 以上の奏効割合は63.2% vs 82.9%(p<0.001),CR 以上の奏効割合は9.0% vs 19.2%(p=0.001)とDARA 群における優位性が示された。Grade 3 以上の主な有害事象は血小板減少32.9% vs 45.3%,貧血16.0% vs 14.4%,好中球減少4.2% vs 12.8%であった。DARA によるinfusion reaction は45.3%にみられたが,Grade 3 は8.6%であった。以上より,再発難治例に対するDARA+LEN+DEX 療法とDARA+BOR+DEX 療法は推奨される。
[PDF] 対象疾患 No レジメン 多発性骨髄腫(MM) MM-13
ELO の第Ⅰ相試験では20 mg/kg までの漸増試験が行われ,重篤な有害事象は認めなかったものの,有効性としては26.5%に不変(SD)が認められたのみであり,単剤での抗腫瘍効果は乏しいと考えられた。ELO(10 mg/kg)+レナリドミド(LEN)+デキサメタゾン(DEX)療法とLEN+DEX 療法との第Ⅲ相比較試験(ELOQUENT-2)では,PR 以上の全奏効割合は79%対66%(p<0.001),無増悪生存期間(PFS)の中央値は19.4 カ月vs 14.9 カ月(p<0.001)とELO 群における優位性が認められた。Grade 3 以上の主な有害事象はリンパ球減少,貧血,血小板減少,好中球減少であった。ELO によるinfusion reaction は10%に認められたが,大部分はGrade 1, 2 であった。その後の追跡調査では,全生存期間(OS)の中央値は43.7 カ月vs 39.6 カ月とELO 群における有意な延長効果が示された(p=0.0257)。また,ELO(10 mg/kg)+ ボルテゾミブ(BOR)+DEX 療法とBOR+DEX 療法との第Ⅱ相比較試験では,PR 以上の奏効割合はコントロール群63%に対しELO 群66%であった。PFS の中央値はコントロール群6.9 カ月に対しELO 群9.7 カ月と延長を認めたが有意差はなかった(p=0.09)。ELO の併用による有害事象の有意な増加はなく,infusion reaction の頻度は5%と低値であった。以上より,再発難治性に対するELO+LEN+DEX 療法は推奨される。
[PDF] 再発または難治性の多発性骨髄腫に対する皮下注射 ボルテゾミブ
多発性骨髄腫に対する抗体医薬としては,骨髄腫細胞に高発現しているsignaling lymphocytic activation molecule family member 7(SLAMF7)[別名CD2 subset 1(CS-1)]を認識するエロツズマブ(ELO)やCD38 を認識するダラツムマブ(DARA)がある。
[PDF] 多発性骨髄腫に対する DBd療法(2-3サイクル目)
LEN 治療歴を有する再発難治性骨髄腫を対象としたPOM+BOR+DEX 療法とBOR+DEX 療法との第Ⅲ相比較試験(OPTIMISMM)では,VGPR 以上の奏効割合は52.7% vs 18.3%(p<0.0001),PFS 中央値は11.2 カ月vs 7.1 カ月(p<0.0001)と,POM+BOR+DEX 群が優れていた。Grade 3 以上の好中球減少は42% vs 9% とPOM+BOR+DEX 群に多い傾向であったが,重篤な有害事象は57% vs 42% とほぼ同程度であり,LEN 治療歴を有する再発難治例に対するPOM+BOR+DEX 療法は推奨される。
移植非適応の多発性骨髄腫(症候性)に対する推奨治療レジメンは何か, 新規薬剤を ..
難治例に対する自家造血幹細胞移植については,初回化学療法に感受性を有する例と化学療法抵抗例との成績が比較検討されたが,1 年無増悪生存割合(PFS)は化学療法感受性群が83%,治療抵抗群が70%と有意差を認めなかった(p=0.65)。また,全生存期間(OS)においても有意差を認めなかったことから,化学療法抵抗例に対する自家移植は有効な治療法として推奨される。また,初回自家移植後再発例に対する2 回目の自家移植は,再発後化学療法のみの群との比較において,4 年生存割合は32% vs 22%と自家移植群が有意に優れていた(p<0.0001)。さらに,この検討では年齢55 歳未満,初診時β2 ミクログロブリン2.5 mg/L 未満,初回移植後の奏効期間が9 カ月以上,初回移植後の深い奏効例において,2 回目の自家移植による無増悪期間(TTP)やOS の延長効果が認められた。また,自家移植後再発例を対象とし,ボルテゾミブ+ドキソルビシン+デキサメタゾン(PAD)による再寛解導入療法後に自家移植と経口シクロホスファミド療法(CPA)との第Ⅲ相比較試験では,TTP の中央値は19 カ月vs 11 カ月と自家移植群が有意に優れていたが(p<0.0001),OS における有意差はなかった。ただし,染色体高リスク群を有する患者においては自家移植の優越性は示されなかった。以上より,自家移植後再発例のうち染色体標準リスク群における2 回目の自家移植は推奨される。
多発性骨髄腫の自家造血幹細胞移植、化学療法、救援療法、地固め・維持療法、支持療法など治療法をご紹介します。
再発難治性の移植非適応の65 歳以上を対象としたTHAL+DEX 療法とBOR+THAL+DEX 療法との第Ⅲ相比較試験(MMVAR/IFM 2005-04)では,time to progression の中央値はBOR+THAL+DEX 群は19.5 カ月,THAL+DEX 群は13.8 カ月であった(p=0.01)。奏効期間も17.9 カ月vs 13.4 カ月とBOR+THAL+DEX 群が優っていたが(p=0.04),OS に有意差はなかった(p=0.093)。一方,Grade 3 以上の末梢神経障害はBOR+THAL+DEX 群に有意に多かった(29% vs 12%,p=0.001)。
[PDF] 多発性骨髄腫の最新治療:骨髄腫腎や 分子標的薬を含めて
TOURMALINE-MM1 と呼ばれる第Ⅲ相二重盲検比較試験においてIXA+LEN+DEX の併用療法がプラセボ +LEN+DEX と比較された。PFS 中央値は20.6 カ月vs 14.7 カ月(p=0.01),VGPR 以上の奏効割合は48% vs 39%(p=0.01)とIXA 群における優位性が認められた。前治療に関するサブ解析では,前治療の内容にかかわらず,IXA 群においてPFS の延長が認められた。本解析ではBOR 不応性の有無は解析されていないことやLEN との併用療法であることからIXA とBOR の直接比較はできないが,BOR 投与がIXA の感受性に影響する可能性が示唆された。Grade 3 以上の有害事象として血小板減少(19% vs 9%),下痢(6% vs 3%),皮疹(5% vs2%)はIXA 群に多い傾向であったが,末梢神経障害は2% vs 2%と同等であった。以上より,再発難治例に対するIXA+LEN+DEX 療法は推奨される。
[PDF] 多発性骨髄腫における薬物療法の進歩とボルテゾミブの役割
再発難治例を対象としBOR+DEX 療法とCFZ(20/56)+DEX 療法を直接比較したENDEAVOR 試験では,無増悪生存期間(PFS)中央値においてCFZ+DEX 群は18.7 カ月,BOR+DEX 群は9.4 カ月であり,CFZ+DEX 群が有意に上回った(p<0.0001)。その後の追跡調査では,CFZ+DEX 群の全生存期間(OS)における優位性も示された(中央値47.6 カ月vs 40.0 カ月,p=0.010)。BOR 投与歴を有する症例は両群ともに54%であり,サブ解析ではBOR 投与歴の有無に関わらず,CFZ+DEX 群のOS 延長効果における優位性が示された。血液学的毒性を除くGrade 3 以上の有害事象として,CFZ+DEX 群では血圧上昇(15%)と呼吸困難(6%)が多く,BOR+DEX 群では下痢(9%)と末梢神経障害(6%)が多い傾向であった。サブ解析において高リスク染色体異常を有する例の全奏効割合(ORR)は,CFZ+DEX 群は72.2 %,BOR+DEX 群は58.4%,PFS 中央値はそれぞれ8.8 カ月と6.0 カ月であり,高リスク群においてもCFZ+DEX 群の優位性が示された。以上より,BOR 投与後の再発例や高リスクの再発例に対し,CFZ+DEX 療法は推奨される。その後,前治療歴が2〜3 回で直近の治療に難治性であった再発難治患者を対象に,週2 回投与のCFZ(20/27)+DEX 療法と週1 回で高用量投与のCFZ(20/70)weekly+DEX 療法を比較したARROW 試験が実施された。46.3% がBOR 抵抗性,77.5% がLEN 抵抗性の患者に対してCFZ(20/70)weekly+DEX 療法は,PFS 中央値において11.2 カ月と,同様の患者群を対象としたCFZ(20/27)+DEX 療法によるPFS 中央値7.6 カ月に比して有意に延長効果を示した(p<0.0029)。