相談室2:グレープフルーツ以外に注意すべきかんきつ類:日経DI


クレモフォールELはCYPやトランスポーターを阻害することが知られている製剤添加剤であるが,臨床試験で阻害作用を検討した報告はほとんどない.そこで我々は,CYP3A及びP-gpの基質としてサキナビルを,P-gpの基質としてフェキソフェナジンを用い,健常成人におけるクレモフォールELの阻害作用をopen-label three-phase crossover試験により検討した.経口投与後のフェキソフェナジンのCmax/AUCはクレモフォールEL併用により有意に上昇したことから,クレモフォールELによる消化管でのP-gpの阻害作用が確認された.一方,サキナビルのCmax/AUCはクレモフォールEL 低投与量の併用で有意に減少,高投与量でコントロールと同程度となった.この原因を解明するために平衡透析実験を行った結果,サキナビルはフェキソフェナジンと比較してクレモフォールELが形成するミセルに取り込まれやすく,そのため消化管管腔内でのフリー濃度が減少し,消化管からの吸収が低下したと推察された.製剤添加剤は多くの医薬品に使用されているが,このように医薬品の薬物動態に影響を与える製剤添加剤もあるため,その影響を理解して使用することが重要である.


におけるシトクロムP450 (CYP) 3A4やP糖タンパク質 (MDR1) を阻害することで ..

降圧薬のCa拮抗薬を服用中の方々からたびたび受ける質問ですが,グレープフルーツでなければ,それ以外の柑橘類は摂取しても問題ないのでしょうか。最近は様々なミカン類が店頭に並んでおり,患者が疑問を抱くようです。ほかに柑橘類との相互作用について注意すべき薬剤があれば併せてご教示下さい。(愛知県 S)

薬物や栄養物質の体内動態に関わる各種トランスポーターに対するフラボノイド類の阻害作用に対する関心が高まっている.小腸の葉酸トランスポーター(PCFT)に対するミリセチン(ワイン等の含有成分)の持続性阻害作用も,その種の事例の一つである.今回,PCFT安定発現細胞を用いてその解析を進めた結果,ミリセチン濃度に依存した強い阻害作用を生じること,ミリセチンによる阻害作用の最大化に60分程度を要すること,ミリセチン除去後の輸送活性回復に90分程度を要すること等が明らかとなった.持続性ではあるが,比較的短時間で輸送活性が回復するという特徴から,可逆的なメカニズムによるPCFT分子の修飾が原因となっている可能性が推察される.引き続き,そのメカニズムの解明を図ることで,PCFTの輸送活性制御機構への理解が進み,PCFT機能に影響するより広範な要因の把握に役立つことを期待したい.

通常はCYP阻害薬(マクロライド等)の投与を中止して濃度が低下 ..

経口投与された薬物は小腸から吸収されて門脈血中に入り,肝臓を経由して全身循環に達する。小腸には薬物代謝酵素(CYP)や薬物輸送体P糖蛋白(吸収された薬物を腸管内に逆輸送する)が存在しており,薬物を含めた異物に対するバリアー機構が発達している。一方,小腸には薬物の吸収を促進する薬物輸送体OATP(organic anion transporting polypeptide)もある。
これまで,グレープフルーツがP糖蛋白やCYPを阻害するために代謝率の大きい薬物の血中濃度が上昇し,有害反応が出現する危険性が指摘されてきた。しかし,血中薬物濃度に影響を及ぼす果物はグレープフルーツのみではない。
最近の研究によって,グレープフルーツ,オレンジおよびリンゴがOATPを阻害することが明らかになり(文献1),腸管からの薬物吸収を抑制する可能性が示された。事実,これらの果物がレニン阻害薬アリスキレン,β遮断薬セリプロロールおよび抗アレルギー薬フェキソフェナジンの血中濃度をそれぞれ約60%,約80%および約70%低下させることが報告されている(文献2)。一方,これらの薬物は代謝率が小さいために,グレープフルーツなどでCYPが阻害されても,その影響は少ないものと考えられる。
以上から,薬物を投与する際には,グレープフルーツのみならず,オレンジやリンゴでも治療効果に影響を与える可能性を考慮したほうが良い。

グレープフルーツは多くの医薬品との相互作用があります。自分で勉強していたり、薬局で働いている時に薬情などを見ていても、「グレープフルーツジュースは避けること」と言う記載はよく目につくと思います。しかし、患者さんから「私が飲んでいる薬はグレープフルーツと相互作用はありませんか」と質問されると、即答できないケースもあるのではないでしょうか?グレープフルーツとの相互作用がある医薬品は非常

別表4 CYP の関与する基質,阻害薬,誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意 ..

グレープフルーツ以外にもザボンの仲間やハッサクはCa拮抗薬の血中濃度を上昇させますので,注意が必要です。

てんかん患者の約3割を占める薬剤抵抗性の難治てんかんは抗てんかん薬の多剤併用が必要となる場合が多く,副作用や相互作用の発生頻度が増加する.本研究は小児難治てんかん患者709名を対象としlamotrigine(LTG)の薬物動態解析を目的とした.LTG血漿中濃度はUGT阻害剤であるvalproic acidにより大きく上昇し,その阻害作用は濃度依存的であった.一方,phenytoin,carbamazepineなどUGT誘導作用を有する抗てんかん薬の併用によりLTG血漿中濃度は大きく低下したが,その作用はphenytoinが最も強力であった.本研究で構築したLTG血漿中濃度の推定式はLTG新規導入時のみならず,UGT阻害剤や誘導剤を追加・中止した場合の動態予測にも有用である.本研究成果が難治てんかんの薬物治療において,多剤併用時の薬物動態の変動や副作用発症の予測に貢献できれば幸いである.

本剤は、CYP2C8/9、CYP1A1/2、3A4及び2C19に対する阻害を示すため、これらの CYP 分子種 ..

FEXは,R-体とS-体の光学異性体を持ち,その体内動態は異性体間で異なる挙動を示す.我々はこれまで,そのキラルな体内動態に薬物トランスポータ (P-gp, OATPs etc.) が重要な役割を果たすことを明らかにした.そこで本稿ではP-gpとOATP2B1の両阻害作用を有するGFJを併用してFEXのキラルな体内動態への影響を検討した.その結果,GFJ併用にてR-,S-体のAUCは顕著に低下し,R/S ratioの有意な変動を認めた.さらにGFJによる阻害効果は過去に検討したOATP2B1を特異的に阻害するアップルジュース (AJ) 併用とほぼ同等であった.以上のことよりFEXとGFJならびにAJとの相互作用には消化管のOATP2B1が重要な役割を果たしており,さらに立体選択性にも寄与することが明らかとなった.本結果が薬物トランスポータと立体選択的体内動態との関連を解明する一助となることを期待したい.

前回の基礎から学ぶ薬剤師塾「腎機能低下時に減量が必要な薬~根拠は尿中排泄率だけじゃない~」はむつかしかったというアンケート結果が多かったです。おそらく前半はいつも話している腎排泄性薬物による副作用なので優しかったのでしょうが、非腎クリアランスの低下する薬は「このCYPが問題!このトランスポータが問題だ!」などと言い切ることができないため、まとめにくい内容です。それでもCYP2C9基質は腎不全・尿毒素の影響を受けやすいということがある程度、予測できるようになったことを中心にまとめさせていただきました。


(CYP)3A を阻害し,基質薬物の血漿中濃度を上昇させることが知られている。最

頻度は高くありませんが、アレグラを内服することによって生じる副作用も報告されています。強いアレルギーであるアナフィラキシー反応や、ショック、肝機能障害、白血球数の減少、頭痛、眠気、疲労、倦怠感、めまい、不眠、神経過敏、嘔気、嘔吐、口渇、腹痛、 下痢、消化不良など、その症状は多岐に渡ります。アレグラを飲み始めてから体調に異変を感じた場合にはそれ以降の内服を中止して、処方をもらった病院まで早めにご相談ください。

ムP450 (CYP) 3A 阻害薬であるリトナビルが、 SARS-CoV-2 に対して ..

腎機能障害や肝機能障害があっても使用しやすいです。他の抗ヒスタミン薬は「腎(もしくは肝)機能障害がある場合は慎重に投与するように」といった注意書きがあるものが多いですが、アレグラにはいずれもありません。アレグラは腎臓で代謝されるため腎機能障害がある場合は減量して投与しますが、いろいろな合併症が疑われる場合でも比較的処方しやすいお薬ということができます。

CYP3A4の阻害剤又は誘導剤を併用している患者においては」ということで ..

このほか,グレープフルーツやオレンジの摂取により,フェキソフェナジンやβ遮断薬(セリプロロール,アテノロール),アリスキレンの血中濃度が低下することが報告されています2)。これらは有機アニオントランスポーター(organic anion-transporting polypeptide:OATP)の基質薬物です。グレープフルーツやオレンジの果実に含まれるフラボノイドが小腸においてOATPを阻害することにより,OATP基質薬物の消化管吸収が減少し,血中濃度が低下すると考えられています3)

腎障害がありCYP3A4を強く阻害する薬剤(アタザナビル, クラリスロマイシン ..

CYP1A2の遺伝子多型はテオフィリン等の基質薬物の体内動態や薬物応答性の個人差に影響することが示唆されている.しかしながら,酵素活性変化の程度が明らかになっていないバリアントが多い.そこで本研究では,これまでに同定されている20種類のヒトCYP1A2遺伝子多型バリアント酵素におけるフェナセチンO-脱エチル化活性およびエトキシレゾルフィンO-脱エチル化活性の変化を酵素反応速度論的に解析し,機能変化が生じる遺伝子多型を明らかにした.活性低下が認められたバリアントには,基質認識部位やヘム結合領域にアミノ酸置換を伴うバリアントが含まれ,その構造変化が活性変化に大きく影響していると考えられた.また,3次元構造シミュレーションにより,いくつかのバリアントにおいて,アミノ酸残基間の水素結合消失による立体構造変化が酵素活性変化に大きく影響する可能性が見出された.本研究の結果は,患者のCYP1A2の遺伝子型に適した個別化薬物療法の展開に貢献することが期待される.

フェキソフェナジン塩酸塩は第二世代のヒスタミン H1 受容体拮抗薬に分類され ..

薬物代謝酵素のシトクロムP450。通称、CYP(シップ)と呼ばれますが、その中でも多く関与するのがCYP3A4です。CYP3A4で代謝される薬剤が多いことからも、CYP3A4を阻害する代表的な薬剤については要注意薬剤として頭に入れておくとよいでしょう。以下にCYP3A4を強く阻害する代表的な薬剤と併用禁忌薬についてまとめてみました。CYP3A4を阻害する薬剤一覧・併用禁忌薬イト

DIクイズ5:(A)グレープフルーツジュースの影響を受ける降圧薬

Ca拮抗薬以外にも,臨床現場にはCYP3A4で代謝される薬物が多く存在します。たとえば,免疫抑制薬のシクロスポリンや,抗てんかん薬のカルバマゼピン,脂質異常症治療薬のアトルバスタチンやシンバスタチンが挙げられます。グレープフルーツは主に小腸のCYP3A4を阻害しますので,これらの薬物を経口投与する際にも,グレープフルーツや前述の柑橘類の摂取は回避したほうがよいでしょう。

[PDF] 医薬品インタビューフォーム フェキソフェナジン塩酸塩錠 ..

CYP誘導、阻害、基質など添付文書の併用注意・併用禁忌の欄には様々な記載があります。併用注意に関しては実務上はほぼ無視されている現状がありますが、実際にはどの程度代謝に影響を及ぼすのかPISCS(ピスクス)を用いて予測できるようにしましょう添付文書の問題点個人的に感じていた、これまでの添付文書の問題点です。・記載箇所がわかりづらい ・排泄経路について一目でわかりづらい ・相互作

フェキソフェナジン塩酸塩は第二世代のヒスタミン H1 受容体拮抗薬に分類されるが ..

CYP2C8の遺伝子多型は,基質薬物の体内動態や副作用発現を含めた薬物応答性の個人差を生み出す一因として考えられている.しかしながら,CYP2C8遺伝子多型のどのタイプが酵素機能にどの程度変化を及ぼすかということの詳細は明らかになっていない.そこで本研究では,アミノ酸置換を伴う12種類のCYP2C8遺伝子多型に由来するバリアント酵素について,発現タンパク質による酵素反応速度論的解析を行い,パクリタキセルおよびアモジアキンに対する酵素活性変化の程度を明らかにした.本研究により,CYP2C8の酵素機能の低下や上昇を引き起こすバリアントが多数存在することが明らかになった.活性低下の認められたバリアントは,主に基質認識部位にアミノ酸置換が存在し,その構造変化が大きく寄与していると考えられた.今後,臨床現場でCYP2C8の遺伝子多型を解析することにより,患者個々の薬物応答性予測が可能になるかもしれない.

多くの薬は、主に小腸と肝臓に存在する薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)で代謝されます。 ..

Ca拮抗薬とグレープフルーツとの相互作用は,グレープフルーツの果実やジュースに含まれるフラノクマリン類が薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)3A4を阻害するために起きます。CYP3A4阻害作用を持つフラノクマリン類の含量を種々の柑橘類について測定した結果,グレープフルーツ,スウィーティー,メロゴールド,バンペイユの果汁中のフラノクマリン類の含量は同程度であったとの報告があります1)。昨今,柑橘類の品種は多様化していますが,フラノクマリン類の含量は系統が近いと類似している傾向があるため,その柑橘類のルーツから相互作用のリスクを推測できる可能性があります。

実際、山本氏は、アビラテロン服用患者に小青竜湯エキス製剤が処方された際、フェキソフェナジン塩酸塩(アレグラ他)への変更を提案したという。

でも、これは、ひとつの目安に過ぎませんので、そのような時には主治医の先生か、かかりつけ薬局の薬剤師に相談してください。なお、グレープフルーツジュース中のCYP3A4を阻害する物質については、従来はその苦み成分であるフラバノグリコシド類であるナリンジン、とそのアグリコンであるナリンゲニンなどであるといわれていましたが、否定的な報告もあり、最近ではフラノクマリンやオキシソラレンによる可能性が指摘されています。

であり OATP1B1 の基質でもある場合は、リファンピシンによる酵素誘導試験を適切にデザインし、その試験結

なお、イチョウ葉エキスには、各種テルペノイド・フラボノイドの他、有害物質のギンコール酸などが含まれています。ギンコール酸は接触皮膚炎やアレルギーを起こす成分であり、ドイツで製造されている前出のEGb761などでは5ppm以下に抑えられています。また、有効成分の組成も、抽出方法の違いから、国内産のものとは多少の相違が考えられます。
以上、安心して摂れるイチョウ葉の選定に関しては、いくつかの視点からの検討が必要なようです。

注 2) フェキソフェナジン塩酸塩円形錠とアレグラ錠 60 mg は生物学的に同等で ..

一般的にグレープフルーツの果実1/4程度から影響が現れ始めるといわれていますので、少しだからと侮らないことです。特にジュースの場合はかなりの量になりますので気がついたら、ひとまず薬の服用を控えてください。グレープフルーツジュースを飲用した直後から4時間まで、フェロジピンの代謝は著明に抑制されたという報告があります。グレープフルーツジュースの影響はその後徐々に減弱していきますが、24時間後でもCYP3A4に対する阻害作用は残るといわれています。従って、グレープフルーツジュース飲用後、少なくとも4時間はCYP3A4で代謝される医薬品の服用は差し控えるべきです。