[PDF] COVID-19肺炎に対する 量デキサメタゾンの治療効果
Covid-19 で入院した患者において可能性のあるさまざまな治療を比較する非盲検対照試験で,患者を,デキサメタゾン(6 mg を 1 日 1 回)を最大 10 日間経口または静脈内投与する群と,通常治療のみを行う群に無作為に割り付けた.主要転帰は 28 日死亡率とした.この評価の最終結果を報告する.
入院COVID-19の生存日数は?デキサメタゾン6mg vs.12mg/JAMA
さらに、新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」の患者が多く出ている貧しい国にとっても、安価なデキサメタゾンを使う治療は大いに役立つと期待される。
WHOは、コルチコステロイド薬である「デキサメタゾン」の投与で、COVID-19の重篤な患者の救命を示唆する英国での臨床試験結果を有望なものと見なしています。
この予備的結果では、人工呼吸器を装着した患者の治療では死亡率が約3分の1に減少、酸素のみを必要とする患者の死亡率は約5分の1に減少しました。この結果は重篤な患者にのみ得られ、軽症者では見られませんでした。
デキサメタゾンは、1977年以来、WHO必須医薬品のモデルリストに記載されており、現在、ほとんどの国で手頃な価格で入手できます。
[PDF] COVID-19中等症Ⅱに対するレムデシビル,デキサメタゾン
・COVID-19は全身性の炎症反応から,広範な肺障害や多臓器不全を起こすことがあり,抗炎症薬としてステロイドが使用される。
・デキサメタゾンが標準治療に比べ死亡率を減少させたことから,酸素投与が必要な「中等症Ⅱ」以上のCOVID-19症例に対する標準治療となっている。
・デキサメタゾン以外にも,メチルプレドニゾロンや,強力なステロイド治療としてステロイドパルス療法でCOVID-19症例に対する効果を検討した報告がある。
・シクレソニドやブデソニドなどの吸入ステロイドによるCOVID-19症例に対する効果を検討した報告があり,シクレソニドは肺炎増悪率が高かったと結論づけられたが,ブデソニドは症状回復までの時間を短縮させた。
・COVID-19は全身性の炎症反応から,広範な肺障害や多臓器不全を起こすことがあり,抗炎症薬としてステロイドが使用される。
・デキサメタゾンが標準治療に比べ死亡率を減少させたことから,酸素投与が必要な「中等症Ⅱ」以上のCOVID-19症例に対する標準治療となっている。
・デキサメタゾン以外にも,メチルプレドニゾロンや,強力なステロイド治療としてステロイドパルス療法でCOVID-19症例に対する効果を検討した報告がある。
・シクレソニドやブデソニドなどの吸入ステロイドによるCOVID-19症例に対する効果を検討した報告があり,シクレソニドは肺炎増悪率が高かったと結論づけられたが,ブデソニドは症状回復までの時間を短縮させた。
「中等症 COVID-19 患者に対する外来デキサメタゾン治療の検討」
上記の6種類以外にも臨床の現場ではデキサメタゾンや,血栓予防として抗凝固薬のヘパリンを頻用している。なお,COVID-19に対する非薬物療法としては理学療法や酸素療法,挿管/人工呼吸管理や体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation:ECMO)などがある。それだけでも膨大な内容となるため,本稿では割愛する。
はい。スペインのKern Pharma SL社製のデキサメタゾン注射液4mg/ml(1mlアンプル入り)が、COVID-19ではなく、HIV/AIDSに関連する疾患管理への使用において事前認証を得ています。
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COVID-19 で入院した患者を対象とした非盲検対照試験で、患者を、デキサメタゾン(6mg/
COVID-19では経過中に全身性の炎症反応を発現し,広範な肺障害や多臓器不全を引き起こすことが知られている。このような過度の炎症反応を抑える,または予防する目的で,抗炎症薬としてステロイドで加療されることがある。特に酸素投与が必要な「中等症Ⅱ」「重症」に分類されるCOVID-19に対しては,デキサメタゾンによる治療が推奨されている。なお,デキサメタゾンは重症感染症への適応がある。デキサメタゾンをはじめ,COVID-19に対するステロイドのエビデンスについて振り返ってみたい。
以上の結果から,実際の現場では酸素投与が必要な「中等症Ⅱ」以上のCOVID-19に対してデキサメタゾン6mg(実際の臨床現場にて点滴でステロイドを投与する場合には,静注用のデキサメタゾン製剤が6.6mg規格のため,6.6mg/日投与されていることが多い)または同力価のステロイドで治療している。逆に,わが国の『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第6.0版』(2021年11月公開)においても,酸素投与を必要としない症例に対してはステロイドを使用すべきではなく,予後をむしろ悪化させる可能性が示唆されている,としている。
デキサメタゾン投与でCOVID-19重症患者の死亡率低下 : 予備的検討
デキサメタゾン以外のステロイド製剤のCOVID-19に対するエビデンスは乏しいが,メチルプレドニゾロンの報告をいくつか紹介したい。イランから報告されたランダム化比較試験で,日本での「中等症Ⅱ」以上の酸素投与が必要なCOVID-19症例に対して,デキサメタゾン(6mg固定用量)投与群とメチルプレドニゾロン(2mg/kg)投与群が比較検討された。この研究は86例と少数例での検討であるが,メチルプレドニゾロン投与群では投与5日目,10日目の臨床的な状態がデキサメタゾン群に比べて有意に改善した。また,入院中に死亡した症例を除外した検討では,メチルプレドニゾロン群で入院期間の平均値が7.43日とデキサメタゾン群の10.52日と比較して有意に短いという結果であった。
[PDF] COVID-19 の薬物治療ガイドライン version 4 1
COVID-19中等症Ⅱに対するレムデシビル,デキサメタゾン,バリシチニブの可能性
デキサメタゾン(1 回 6mg 1 日 1 回 10 日間)を投与する。レムデシビルは、原則使用しない。迅
さらに,人工呼吸管理が必要なCOVID-19症例に対するステロイドの効果を検証した研究で,デキサメタゾンとメチルプレドニゾロンを比較したサブグループ解析ではメチルプレドニゾロン投与群において生存率が42%高かったという結果(図8)が示された。
[PDF] COVID-19に対する薬物治療の考え方 第14版
コクランデータベースでCOVID-19に対する全身性ステロイド投与の有効性について検討された報告もある。11のランダム化比較試験,8075例,中等症以上の症例が対象となっており,全身性ステロイドと標準治療が比較検討されている。ここで集積された全身性ステロイド治療症例の約75%がデキサメタゾンで加療されていた。この研究からは,ステロイド投与群と非投与の標準治療群で全死亡率の有意差は証明されなかった(図10)19)。このメタ解析の結果を見ると,総数の全死亡率はリスク比0.89,95%信頼区間(confidence interval:CI)が0.80~1.00であり,統計学的には有意差がないということになるが,このレビューの結論では,全身性ステロイド治療は臨床的には軽度の改善効果を認めるのだろう,と考えられている。
デキサメタゾンとバリシチニブの優位性の検証は現在行われているところである41]が、標準
COVID-19診療において抗炎症薬のデキサメタゾンが頻用されているが,第5波では多くのCOVID-19症例に対して日本全国で一斉にデキサメタゾンが処方されたため,また,自宅療養中の症例に対しても処方が推進されたために,デキサメタゾンの出荷調整がかかってしまった時期を経験した。病院にデキサメタゾンが残りわずかという状況に出くわし,プレドニゾロンやメチルプレドニゾロンなど院内に残っているステロイド製剤でなんとか乗り越える必要があった。当時,「病院内でステロイド製剤が底を突くかもしれない状況が実際にありうるとは」と,本当に背筋が凍る思いで日々過ごしていたことが思い出される。
[PDF] COVID-19 の薬物治療ガイドライン version 5 1
当院(日本鋼管病院/こうかんクリニック)では,筆者と薬剤部で協力してデキサメタゾン6mgと同力価のステロイド換算表を作成し,院内で周知することとした。デキサメタゾンはCOVID-19治療以外でも,たとえば様々な癌腫の治療としても重要な薬剤であり,本当に必要な症例に適正使用されるよう努めた。実際には,プレドニゾロン内服に変更して,多くの症例は乗り切った印象(下記の処方例)がある。
[PDF] NCGM COVID-19 治療フローチャート(成人)
COVID-19の治療候補薬のとして多くの治験が多く行われています。その主なものと考えられている作用機序を概説します。一般的にウイルス感染症の重症度は体内で増殖したウイルス量に相関します。人ではウイルスの曝露量と重症度との関連を実験的に確かめることは困難ですが、動物実験では病原性ウイルスの接種量を増やすと重症度や致死率が上がることは明白です。一方、治癒に至る過程ではウイルス中和抗体IgGが十分量に達し遊離ウイルスを攻撃し、細胞傷害性T細胞が被感染細胞を排除することで達成されます。ウイルス中和抗体や細胞傷害性T細胞が十分量になるには感染から一定期間が必要です。その間の体内で増殖する総ウイルス量を減らすことができれば軽症で治癒し、ウイルスが増殖しより多くの細胞が感染を受ければ炎症も強くなり重症化すると考えられます。従って、COVID-19の重症化を防ぐにはウイルス増殖を抑え、免疫力を上げ炎症拡大を抑える必要があります。がん患者の中でも特に高齢者や明らかに骨髄抑制のある患者には感染早期からウイルス増殖を抑えることが重要だと考えられますがまだ特効薬と呼べるものはありません。デキサメタゾンは通常免疫反応を抑制するためウイルス感染症においてはウイルス増殖を促進する危険がありますが、重症化時にはデキサメタゾンが過剰な免疫反応を抑える治療が有効であることが示されてきています。
※ 重症化リスク:65 歳以上、悪性腫瘍、慢性閉塞性肺疾患、慢性腎臓病、糖尿病、
■ステロイド
武漢市のCOVID-19重症患者(ARDS)84人に対する後ろ向きコホート試験としてメチルプレドニゾロンのパルス療法をした群(50人)ではしなかった群(34人)より重症度が高かったにもかかわらず、死亡率は低かった(46%対61.8%)と報告されています。
その後、2020年6月17日 New England Journal Medicine誌にデキサメタゾンの投与(一日6 mg経口または静脈内投与、10日間)の有無による死亡率の差を調べた結果が掲載されました。デキサメタゾン治療群(2,104人)と標準治療群(4,321人)の比較のうち、軽症者群では有意差が見られなかったものの(17.8% vs. 14.0%; リスク比, 1.19; 95% CI, 0.91-1.55)、人工呼吸器(29.3% vs. 41.4%; リスク比, 0.64; 95% CI 0.51-0.81)や酸素吸入(23.3% vs. 26.2, リスク比, 0.82; 95% CI, 0.72-0.94)を受けていた群では28日後の死亡率が優位に低く重症者で有効であるとの結果がPreliminary Reportとして報告されました。
この報告を受け、米NIHは6月25日治療ガイドラインを改定し人工呼吸器または酸素投与を要するCOVID-19患者にデキサメタゾンの使用を推奨しています。
厚労省も7月17日掲載のCOVID-19診療の手引き(第2.2版)に日本国内で承認されている医薬品としてデキサメタゾンを追加掲載しました。
WHOは重症COVID-19患者へのデキサメタゾン、ハイドロコーチゾンまたはプレドニゾロンの投与を推奨しています。一方重症でないCOVID-19患者に対しては投与しないことを推奨しています。
■トシリズマブ(商品名アクテムラ)
岸本忠三博士(大阪大学)らが発見した炎症性サイトカインIL-6の受容体に結合しIL-6の機能を阻害する抗体薬で関節リウマチの治療薬として使われています。免疫細胞の活性化には様々なサイトカインと呼ばれる物質が分泌されますが、その量が過剰になるサイトカインストーム(サイトカインの嵐)と呼ばれる状態になると、活性化した免疫細胞が正常な細胞にもダメージを与えるようになりCOVID-19の重症化に関与しているとの説が有力です。なぜサイトカインストームが起きるかはよく分かっていませんが、主要な炎症性サイトカインであるIL-6の血中濃度最大値と肺炎の重症度との間に明確な関連があることが報告されています (Russellら, Ecancermedicalscience)。中国では、この治療薬を使った複数の医師主導治験では有効性を示唆する症例報告が複数あり、既に3月からCOVID-19患者への投与が認可されています。日本では、大阪はびきの医療センターがトシリズマブを重症患者に使ったところ、2020年4月13日時点で7人中5人の症状が改善したと発表されました。その後、中等症のCOVID-19入院患者243名を対象としたRCTでは、トシリズマブ投与群(8 mg/kg)と偽薬投与群間で挿管に至るリスクや死亡リスクに有意差はなく有効性を示す事はできなかったと2020年10月21日公表のNEJMに発表されました。