保存治療を行った膿瘍形成虫垂炎と Uncomplicated appendicitisの比較


急性虫垂炎は、乳児から高齢者まで幅広い年齢層で下腹部痛の原因となりうる疾患として最も一般的です。進行が早く、破裂して腹膜炎という症状を呈することも珍しくありません。


急性虫垂炎患者のうち、複雑性虫垂炎(壊疽性/穿孔性/膿瘍形成性 ..

虫垂内腔の閉塞と考えられています。この閉塞部に細菌が侵入して感染が成立し(カタル性虫垂炎)、虫垂の蜂巣炎から壊死・穿孔そして腹膜炎に至る経過がこの疾患の病態と推察されています。閉塞の原因として何らかの理由でできる便の固まりが指摘されることがあり、「糞石(ふんせき)」と呼ばれます。

Safety and efficacy of antibiotics compared with appendicectomy for treatment of uncomplicated acute appendicitis: meta-analysis of randomised controlled trialsBMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e2156

背景:
急性虫垂炎の患者のうち、複雑性虫垂炎(すなわち、壊疽性・穿孔性・
膿瘍形成性虫垂炎)は全体の20%くらいである。単純性虫垂炎には
抗菌薬治療も代替肢になると考えられているものの、
その有効性と安全性に関するエビデンスは乏しい。

目的:
急性単純性虫垂炎に対する一次治療として
抗菌薬投与と虫垂切除術について安全性と有効性を比較するため
メタアナリシスをおこなう。

患者:
血液検査、超音波、CTなどで急性単純性虫垂炎と診断された成人患者。

方法:
患者を、抗菌薬投与と虫垂切除術のアウトカムを比較する
ランダム化試験へ組み込んだ。プライマリアウトカムは、
それぞれのスタディが共通報告していた合併症とした。すなわち、
抗菌薬群:穿孔性・壊疽性虫垂炎または腹膜炎と
後に虫垂切除術を受けた患者の創感染
虫垂切除術群:穿孔性虫垂炎または腹膜炎と創感染の発生件数
セカンダリアウトカムは、入院期間、再入院、複雑性虫垂炎の罹患率など。

結果:
4つのランダム化試験が条件を満たした。合計900人の患者が
登録されており、470人が抗菌薬、430人が虫垂切除術に割り付けられた。
抗菌薬群に適用された薬剤は、
・アモキシシリン+クラブラン酸を継続使用:1件、
・セフォタキシム+メトロニダゾール投与後に
シプロフロキサシン+メトロニダゾールにチェンジ:1件、
・セフォタキシム+チニダゾール投与後に
オフロキサシン+チニダゾールにチェンジ:2件
345人が抗菌薬投与により治療成功と判定。うち277人(80%)は
1年後まで症状なく、長期治療成功であった。
残りの68人は再入院し、うち3人は抗菌薬再投与のみで再度治療成功と判定。
65人は虫垂切除術を受けたが、4人は虫垂炎ではなかった。
48人が蜂窩織炎性虫垂炎、13人が複雑性虫垂炎だった。
虫垂切除術を受けた患者は、患者420人に抗菌薬群からの
クロスオーバー93人を加えた513人であった。手術の結果
21人が虫垂に異常は確認されず、20人が他の診断を受けた。
残る472人が虫垂炎と診断され、そのうち343人が蜂窩織炎性虫垂炎、
129人が複雑性虫垂炎であった。術後再発はなかった。
プライマリアウトカムの1年間の合併症の発生率は、
虫垂切除群(430人中108人、25%)に比べ、
抗菌薬群(470人中84人、18%)で有意に低かった。
リスク比は0.69(95%CI 0.54-0.89、I2=0%、P=0.004)で、
抗菌薬群における合併症の相対リスクは31%減少。

結論:
急性単純性虫垂炎患者に対する一次治療として、抗菌薬治療は有効で安全である。

虫垂炎などの市中腹腔内感染症でもルーチンで培養と感受性検査を行うべきである ..

ほとんどの患児は、初発症状として腹痛を訴えます。右下腹部以外の腹痛は虫垂の炎症から惹起された関連痛と考えられていますが、実際に胃腸炎を合併していることもあります。腹痛が強い場合には、触診所見の推移、超音波検査で病状把握に努めます。

右下腹部の圧痛のみでは、虫垂炎だけではなく、ほかの疾患も鑑別する必要があるので、血液および超音波検査を実施します。治療方針を決定するのに最も有用な画像診断は超音波検査ですが、肥満が強い患児や腸管内ガスが多い患児にはCT検査を実施します。

超音波検査では、探触子(プローブ)の圧迫による当該部位の圧痛と、虫垂の直径が6mm以上であったときに本症と診断します。虫垂の直径が10mm以上、膿瘍形成、腹腔内液貯留のいずれかの所見がみられたときには、可及的すみやかな手術治療が必要です。CT検査でも超音波と同様の所見で治療方針を決定します。

腹膜刺激徴候がみられ、汎発性腹膜炎を疑う場合には、速やかに手術を行います。場合によっては抗生剤加療にて経過観察する場合もあります。汎発性腹膜炎に続発しショックや多発性膿瘍形成に至るようなケースでない限り、一般的には生命的危険度は低いとされます。
腹腔内膿瘍を形成していない場合は、虫垂切除術のみで手術は終了します。腹腔鏡下虫垂切除術であれば、このようなケースは術後3~4日で退院可能です。

小児では、抗生剤治療を1度行い、炎症を抑えた後に予防的に腹腔鏡下虫垂切除を行うことも推奨されています。この方法は炎症の強い腹痛がある際に緊急で行う手術とは異なり、予定で行うため、手術のリスクが少なく、安全でほとんどの場合に術後3~4日で退院可能となります。
膿瘍形成が見られた場合には、膿瘍を体外に誘導するドレーンを留置する場合があります。この場合、炎症反応が完全に改善してからの退院となります。炎症反応が完全に収まるまで、抗生剤による治療が必要です。腹腔内膿瘍が治りきらないと、退院後にそれが再燃する(遺残膿瘍)場合があります。

抗菌薬と手術、小児の虫垂炎に最善の治療法はどちら? 2024/12/26 医療一般 ..

また、手術を行うことになっても手術前後に抗生物質を用います。明らかに合併症(虫垂の破裂、膿瘍の形成、バイタルなど)がなければ、用いる抗菌薬はセファゾリンが適していると考えられています(Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases 8th edition)。これを用いることで創部感染などの手術後の感染症トラブルを減らすことができます。

近年、抗生剤の進歩により虫垂切除なしで虫垂炎を治療可能な症例、すなわち「抗生剤で散らす」ことが可能な症例も増えてきましたし、むしろ、現在では正確な画像診断・抗菌薬の進歩に伴い、単純性急性虫垂炎を緊急手術することは外科医や看護師などのマンパワーの問題などから、夜間の緊急手術は回避される傾向にもあります。

5) 虫垂炎・胆嚢炎・絞扼性イレウス(小範囲)で、周囲組織・臓器を汚染 ..

子どもの場合も大人の急性虫垂炎の場合と同じく手術か抗生物質治療を行います。

急性中耳炎による耳の痛みの治療には、イブプロフェンまたはアセトアミノフェンの経口投与が推奨されます。局所用の痛み止め(点耳薬)は、2歳以上の小児に使用を考慮されますが、鼓膜穿孔のある小児には使用できません。充血除去剤や抗ヒスタミン薬は使用しないことが推奨されます。
抗生物質による初期治療を行うかまたは経過観察するかの選択は、子供の年齢および側性と病気の重症度によって異なります。


虫垂炎に対するN000 病理組織標本作製の算定は、原則として年齢にかかわ.

「たかがアッペ、されどアッペ」
“アッペ”とは虫垂炎(appendicitis)のこと
というフレーズは多くの外科医が口にし、外科手術書にも記述が残る。
虫垂炎診断や手術難易度の奥深さを象徴する言葉であります。
私が外科医として働き初めた頃(30年前)には 右下腹部痛で腹膜刺激症状(腹部を圧迫してその圧迫を解除した際に起こる激痛)があれば昼でも夜でも「即緊急手術」という指導をされてきました。
それは昭和戦前の大学病院の外科病棟の入院患者は半数以上がアッペによる腹膜炎患者であったという経験によるものです。
1935年慶應大学茂木らの報告(第36回日本外科学会宿題報告「急性虫垂炎」)によると「急性虫垂炎の死亡率0.39%は米国1.52%より低いが、腹膜炎死亡率は日本2.93%に対して米国0.16%である」と述べ、急性虫垂炎が穿孔し腹膜炎を発症した場合には極めて重篤な状態に陥り、命を失う症例が3%もあるという事実である。」という事実は、注目を浴び、腹部所見で虫垂炎の診断が付けば即手術、と言った時代背景があります。

右下腹部痛の場合には虫垂炎との鑑別を要します。ただ虫垂炎に見られる ..

急性虫垂炎は、異物やなどが原因で、虫垂内の閉塞(へいそく)がおこり、二次的に細菌感染を起こす化膿性の炎症です。虫垂に穴のあいた場合は、性虫垂炎といいます。手術する時期を逃すと、などの重い合併症を起こす可能性があります。

虫垂炎,胆嚢炎,絞扼性イレウス(小範囲)で,周囲組織・臓器を汚染する

我々、消化器外科が扱う疾患の中で緊急手術を必要とする頻度も多い急性腹症(お腹が痛くなり速やかに診断、治療を要する病気)の一つです。みなさんがよく「盲腸になった」、「盲腸で手術を受けた」と表現されている病気の正式な名称が急性虫垂炎です。

胆囊炎は虫垂炎に次いで 2 番目に多い妊娠中の外科的疾患であり,1,600 ~ 1 万件 ..

必ず出る症状は腹痛です。腹痛は上腹部、またはおへそ周辺に突然始まり、時間とともに右下の腹部(回盲(かいもう)部)に移ってきます。時に嘔吐、吐き気がおこります。ガスが出たり、便がでなくなったりします。虫垂に穴があき、汎発性のをおこすと、お腹全体の強い痛みが生じます。37~38度の発熱と白血球が増加することもあります。

非複雑性の急性虫垂炎は内服治療だけで治療できる?|Nasuketore

お腹の中の右下あたりにある大腸の初めの部分を盲腸といいますがその下部から出る細い管状の突起した部分を虫垂といいます。この虫垂の内部に細菌が感染して炎症を起こした状態が急性虫垂炎です。もっとも多く発症するのが10~20歳代ですが、幼児や高齢者で発症される方もおられます。

急性単純性虫垂炎の治療(NEJM総説) | 病棟薬剤師&DIやん

昨日小腸と大腸の間が炎症を起こしていると言われました。「虫垂炎ではありません」病名はなんというのでしょうか、調べても出てこないです。
あと薬はオーグメンチンとアモキシシリンを処方してもらったのですが飲酒は可能でしょうか?
お願いします。

急性虫垂炎(盲腸)(きゅうせいちゅうすいえん・もうちょう)の疾患、症状、検査、治療について、詳しくわかる解説ページです。

触診:
腹部触診で虫垂、回盲部の位置を圧迫した時や、直腸触診で直腸の右周辺を圧迫した時に腹痛を生じます()。直腸触診だけで発見されることもあります。

急性虫垂炎 | ガイドライン(鑑別・症状・診断基準・治療方針)

初期の虫垂炎で、虫垂がわずかに腫大する程度です。
抗生物質での治療も可能です。

クランブラン酸を投与している. 解析1として,対象症例をAA群とUA群に分け,

ランダム化試験(RCT)の結果、抗生剤保存的加療群と手術群を比較し、腹膜炎発症率は前者が8%に対して、後者では2%と優位に低いという結果であった。
また前者では悪化のため最初の30日以内に12%手術を要し、1ヶ月から1年の間では残りの29%が手術を要した。

アモキシシリン・クラブラン酸; レボフロキサシン+メトロニダゾール; シプロフロキサシン+メトロニダゾール

点滴ではなく、経口抗菌薬の投与で急性虫垂炎、憩室炎による限局性腹膜炎を治療する場合の抗菌薬と投与期間および虫垂炎や憩室炎の適応がある経口抗菌薬があればご教示ください。

NEJM, May 14,2015, Clinical Practice

最近は虫垂炎、憩室炎は特にCT等の画像診断でもかなりよくわかるようになっていて、こういったものが現場の診療に与えた影響もかなり大きいかと思われますが、そうはいっても、治療方針決定には症状が大きくかかわると考えてよいのでしょうか。

中等症又は重症の場合 アモキシシリン(AMPC)高用量内服 5~7 日間.

急性虫垂炎に対して手術を行わない場合は、これらの細菌に有効と考えられる抗生物質を用いることが大切です。以下が治療に用いられる抗生物質の例です。

アモキシシリンと6.4 mg / kg /日のクラブラン酸塩分2

初期にはみぞおちや臍の周りの痛みや悪心、嘔吐、食欲の低下等の症状が多く見られます。それから数時間後に病状が進行して炎症が強くなると虫垂のある右下腹部の強い痛みとなる場合が多く、このように病状の進行によって痛みの場所が移動するのが虫垂炎の特徴です。(ただしこのような典型的な痛みの経過をとらない場合もあります)

オーグメンチン®、アモキシシリン、セファレキシンの臨床病態別代替薬(2024.2 作成)(PDF:590KB)

かなり画像診断が進んできているので、CT等で虫垂炎、憩室炎がほぼ診断できるようになっています。もちろん、腹部症状はすごく大切だと思いますが、画像診断はたいへん進んでいるので、そこをプラスして一緒に診断をしていく。そうすることによってある程度の重症度等がわかるかと思います。あとは採血で、白血球、好中球、CRPの所見で炎症反応がどうかをしっかりと見ていくことが重要かと思います。