Pros & Cons 細菌性髄膜炎患者へのステロイド薬の適応
髄膜炎菌性髄膜炎は第2種の感染症に定められており、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで出席停止とされている。
また、以下の場合も出席停止期間となる。
・患者のある家に居住する者又はかかっている疑いがある者については、予防処置の施行その他の事情により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで。
・発生した地域から通学する者については、その発生状況により必要と認めたとき、学校医の意見を聞いて適当と認める期間
・流行地を旅行した者については、その状況により必要と認めたとき、学校医の意見を聞いて適当と認める期間
性髄膜炎への投与も勧められていない(推奨度3)。髄膜炎菌およびHibによる髄膜炎 ..
(2023年9月13日改訂)エルシニア属細菌の一種,ペスト菌(Yersinia pestis)感染に起因する全身性の侵襲性感染症.動物由来感染症.げっ歯類を保菌宿主とし,節足動物(主にネズミノミ属のノミ)によって伝播される.ペスト菌感染動物を感染源とする直接感染もある.肺ペスト患者から排出された気道分泌液により,ヒトーヒト間で飛沫感染する場合がある.潜伏期間は通常1〜7日.感染ルートや臨床像によって腺ペスト,肺ペスト,および敗血症型ペストに分けられる.治療薬として,フルオロキノロン系,アミノグリコシド系もしくはテトラサイクリン系の抗菌薬が使用され,その投薬期間は10〜14日間である.適切な抗菌薬による治療が行われなかった場合,腺ペストでの死亡率は30〜60%である.肺ペストの場合はさらに死亡率は高まる.抗生物質の発見前には全世界的な大流行が幾度か記録されており,特にヨーロッパでは黒死病として古くから恐れられてきた.近年の流行は,アフリカ,南米で報告がある.北米やアジアでも散発事例が報告されている.
Neisseria meningitidis が髄液又は血液などの無菌部位から検出された侵襲性髄膜炎菌感染症として、2013年4月1日より髄膜炎菌性髄膜炎から変更となっている(全数報告対象:5類感染症)。2015年5月21日より、緊急対応が必要な疾患の特性により、診断した医師は氏名・住所等を含めた届出を最寄りの保健所に直ちに行うように変更された。
届出基準は
初期研修医〜一般内科向けに作成したスライドです。髄膜炎菌の部分は曝露後予防など少し踏み込んでいるので、興味があれば。
第一選択薬はペニシリンGで ある。また、一般に髄膜炎の初期治療に用いられるセフォタキ シム(CTX)、セフトリアキソン(CTRX)、セフロキシム(CXM)は髄膜炎菌にも優れた抗菌力を発 揮するので、菌の検査結果を待たずしてCTX、CTRXをペニシリンGと併用すれば、起炎菌に対して広範囲な効果を現わし、早期治療の助けとなる。
予防としてはまずワクチンが挙げられる。現在ではA、C単独もしくはその2群、およびA、C、Y、W-135の4群混合の精製莢膜多糖体 ワクチンが使用されている。しかし、2歳以下の幼児に は最初から効果が期待できず、さらに成人に対しての効果は数年程度しか持続しないとされている。最近では、C群髄膜炎菌の莢膜多糖体を不活化ジフテリアト キシンに結合させた混合ワクチンが開発され、英国では1999年11月から、その他、ベルギー、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、オランダ、ポルトガル、 スペイン、カナダなどの先進国で認可され、現時点では最も有効なC群髄膜炎菌ワクチンとして使用されている13)。一方、B群の 精 製莢膜多糖体ワクチンは免疫惹起力が非常に弱く、ワクチンとして有効でないとされている。そこで外膜タンパクを用いたワクチンが開発、 検討されてきたが、防御効果の有無がはっきりしないため、現時点においては使用可能なB群髄 膜炎菌用のワクチンは存在しない。しかし、B群髄膜炎菌による小規模なアウトブレイクに悩まさ れ続けてきたニュージーランドでは2004年に、ニュージーランド専用に開発された外膜タンパク質ワクチン「MeNZB」を仮認可し、6週歳から19歳ま での小児に定期接種を開始した14)。わが国 において少ないながらも発生する髄膜炎菌性髄膜炎の起炎菌の半数以上はB群によるものであり、日本国内のドミナント血清群であると推測されることから、今 後のB群髄膜炎菌に対するワク チンの実績動向と開発が注目される。
わが国においては、2015年5月より髄膜炎菌(血清型A、C、Y、W)による侵襲性髄膜炎菌感染症を予防する目的の4価髄膜炎菌ワクチンが認可された。基本的には任意接種だが、指定難病である発作性夜間ヘモグロビン尿症に用いるエクリズマブ投与対象者は保険適用である。
患者と接した人々への緊急の対策としては、抗菌薬の予防投与がリファンピシンを中心に行われる。
細菌性髄膜炎(Bacterial meningitis )は細菌感染による髄膜炎の総称、すなわち疾患群であるが、通常結核性髄膜炎はこの範疇に含めない。化膿性髄膜炎ともよばれ、ウイルス感染が主体である無 菌性髄膜炎と対照をなす。診断にあたっては、可能な限り病原診断を行うことが望ましい。抗菌薬療法の発達した現代にあっても、発症すれば致死率は高く、ま た救命できても重篤な後遺症を残すことがあり、特に小児においては侮れない感染症である。迅速な診断と適切な治療の早期開始が鍵である。
細菌性髄膜炎の初期対応と重要性. #1. 細菌性髄膜炎ERでの初期対応 デキレジは“こう動く”. #2.
髄液、血液から分離培養を行い、グラム染色による検鏡及び生化学的性状により髄膜炎菌であることを確定する。血清群型別は、Wellcome社、E.Y Lab社などで販売されている型別用の 抗血清を用いて、凝集反応の有無によって検査を行う。
PCRによる髄膜炎菌の同定はいくつかの論文で報告されているが、いまのところWHOを含めた国際医療機関において統一された方法の提示はない。
また、髄液中の細菌抗原を検出する方法も行われており、ラテックス凝集法による診断キットがSlidex(Bio-Merieux社)として販売されている。ただし、このキットにはA, B, C群に対する抗体し か含まれていないので、その点に留意する必要がある。
気道を介してまず血中に入り、 1)菌血症(敗血症)を起こし、高熱や皮膚、粘膜における出血 斑、関節炎等の症状が現れる。引き続いて 2)髄膜炎に発展し、頭痛、吐き気、精神症状、発疹、項部硬直などの主症状を呈する。3)劇症型の場合には突然発症し、頭痛、高熱、けいれん、意識障害を 呈し、DIC(汎発性血管内凝固症候群)を伴い、ショックに陥って死に至る (Waterhouse-Friderichsen症候群)。
菌血症で症状が回復し、髄膜炎を起こさない場合もあるが、髄膜炎を起こした場合、治療を 行わないと致死率はほぼ100%に達する。抗菌薬が比較的有効に効力を発揮するので、早期に 適切な治療を施せば治癒する。
[PDF] 抗菌薬選択に難渋した Listeria monocytogenes 髄膜炎の 1 例
本菌はくしゃみなどによる飛沫感染により伝播し、気道を介して血中に入り、さらには髄液にまで侵入することにより、敗血症や髄膜炎を起こす。
髄膜炎菌は莢膜多糖体の種類によって少なくとも13種類(A, B, C, D, X, Y, Z, E, W-135, H, I ,K, L)のserogroup(血清型)に分類されているが、起炎菌として分離されるものではA, B, C, Y, W-135が多く、特にA, B, Cが全体の90%以上を占める。また、菌の成育に必須の遺伝子(house keeping gene)の塩基配列の多様性を比較、解析することにより、分子レベルで分類するMLST(Multi Locus Sequence Typing)と呼ばれる方法があり、流行を起こす起炎菌は特定のグループに分類されることが推測されている12)。
病原体(原因菌)は多種類あるが、年齢や基礎疾患によって次のように特徴がある。
・新生児〜生後3カ月乳児:B群レンサ球菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌、リステリア菌
・生後3 カ月以降の乳児〜幼児:インフルエンザ菌(ほとんどがHib )、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌
・年長児〜青年期:肺炎球菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌
・成人:肺炎球菌、髄膜炎菌
・高齢者(50 歳以上):肺炎球菌、グラム陰性桿菌、リステリア菌
また、免疫能低下の状態では肺炎球菌、緑膿菌などのグラム陰性桿菌、リステリア菌、黄色ブドウ球菌(MRSA)などがみられ、脳室シャント後であれば黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌などが多くみられる。
感染経路は多くの場合飛沫感染であり、原因菌が上気道あるいは呼吸器感染病巣を経由して侵入し、血行性に髄膜に到達する。新生児のB群レンサ球菌感染症 の場合には、産道感染も考えられている。その他に、リステリア菌が腸管から侵入したり、粘膜や皮膚に付着している黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌が、カ テーテルを介して血行性に髄膜に到達することもある。
細菌性髄膜炎 Bacterial meningitis(髄膜炎菌、肺炎球菌
感染症法が施行された1999年以降では8〜22例が報告されている 1)。わが国では、髄膜炎菌性感染症の起炎菌としては、BおよびY群髄膜炎菌が同定されることが多い1)2)。
抗菌薬選択に難渋した Listeria monocytogenes 髄膜炎の 1 例
しかし、世界全体としては毎年30万人の患者が発生し、3万人の死亡例が出ている3)。特に、髄膜炎ベルト(meningitis belt)とよばれるアフリカ中央部において発生が多く、また先進国においても局地的な小流行が見られている。
きない状況にあり,その可能性が考えられる年齢層(乳幼児期)においてはデキサメタゾン併用
化膿性髄膜炎のうち、髄膜炎菌を起炎菌とするものを髄膜炎菌性髄膜炎という。髄膜炎を起こす病原性細菌はいくつか知られているが、大規模な流行性の髄膜炎の起炎菌は髄膜炎菌のみであることから、流行性髄膜炎ともよばれる。
基本的には,抗菌薬の投与の 10〜20 分前に,デキサメタゾンを 0.15mg/kg・6 時間毎(体重 60kg の場合,デキサメタゾン
ヒブと肺炎球菌による髄膜炎は赤ちゃんがかかりやすいのですが、10代後半の年長児がかかりやすいのが髄膜炎菌による髄膜炎です。米国や英国、オーストラリアへの留学(特に入寮する場合)や、国内でも高校や大学の運動部などで寮生活をする場合は、感染リスクが高くなりますので、髄膜炎菌ワクチンの接種をおすすめします。
CTRX 2g q12h, VCM 700mg q8h, ABPC 2g q4hを開始
はじめに
わが国の『細菌性髄膜炎の診療ガイドライン』1)がすでに作成されており,そのなかで,インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)ならびに肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)の髄膜炎に対して,ステロイド薬を投与することが推奨されている。しかし,現在でも細菌性髄膜炎にステロイド薬を使用するかどうか? どのような患者に投与するのか? という議論は続いている。細菌性髄膜炎は生命にかかわる重篤な感染症であり,かつ比較的症例数の少ない疾患であるため,コントロールスタディが非常に困難な疾患である。そのため,ひとたびガイドラインができ上がった場合,その内容と違うことを行うことは,よほど確かな新しい知見でもない限り困難である。そのような状況下でなお疑問が生まれるとすれば,その原因は近年報告が増えているメタアナリシスの解析結果に惑わされているのではないかと推測される。なぜ問題になっているのか整理して考えてみたいと思う。
[PDF] 亀田1ページで読める感染症ガイドラインシリーズ 5
細菌性髄膜炎の約8割は、ヒブと肺炎球菌が原因で起こります。どちらの菌でかかるかはわかりませんので、五種混合(DPT-IPV-Hib)ワクチン(またはヒブワクチン)と小児用肺炎球菌ワクチンで予防することが大切です。これら2つのワクチンは同時接種で受けることをおすすめします。
・治療期間は、症状、髄液所見をみながらではあるが、一般的には14日間である。経口抗菌薬に途中
細菌性髄膜炎にかかると高い割合で重症化してしまいますので、一番かかりたくない、かからせたくない病気のひとつです。劇症型と呼ばれるものは、熱が出てから1日で死亡することもあります。現在の最善の治療をしても、死亡する人がヒブでは約3~5%、肺炎球菌で約7~10%います。
後遺症としては、脳が壊される脳梗塞や脳萎縮、髄液が増える水頭症など多くのことがあり、これらのことで知能や運動の障害が起こります。また耳が聞こえない難聴などになります。ヒブによる髄膜炎の場合、これらの脳の後遺症が約20%あります。肺炎球菌による髄膜炎の場合、脳の後遺症が20~30%程度あります。また、一見後遺症がないように見えたお子さんの経過を見ると、年長になってだんだん知能障害がはっきりしてくることもあります。
髄膜炎菌性髄膜炎は、ほかの細菌による髄膜炎と比べて、症状が急激に進行することが特徴です。発症後2日以内に5~10%が死亡すると言われています。いったん発症してしまったら救命するのも困難です。
バンコマイシンを使 用する理由は,ペニシリン耐性肺炎球菌(ペニシリンの MIC 0.12 mcg/mL 以上)の治療のためである。
髄膜炎の原因であるヒブや肺炎球菌などの細菌は、入院して抗菌薬(抗生物質)で治療します。しかし、最善の治療をしても、薬の効果がない菌(耐性菌)が増えているために、死亡や脳障害などの後遺症が残ってしまうことも多くあります。
(PDF) 細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014
<Key Points>◎細菌性髄膜炎に対してデキサメタゾンを抗菌薬前に投与することで聴力と神経学的予後の改善が期待できる。◎成人は肺炎球菌性髄膜炎に対するデキサメタゾン投与によって生命予後改善が期待できるが、小児はインフルエンザ菌b型による髄膜炎における聴力予後の改善にとどまる。◎デキサメタゾン投与終了後に再発熱を認めることが多い。◎培養が陰性の場合は鑑別となるウイルス性髄膜炎、がん、膠原病に留意する必要がある。◎成人の細菌性髄膜炎疑い患者に対してはデキサメタゾン投与が推奨されているが、小児は総合的判断に委ねられている。
[PDF] 細菌性髄膜炎
計 217 例をデキサメタゾン群に,218 例をプラセボ群に割り付けた.300 例(69.0%)で細菌性髄膜炎が確定し,123 例(28.3%)がほぼ確実例と診断され,12 例(2.8%)には別の診断が下された.患者全例を対象とした intention-to-treat 解析から,デキサメタゾンは,1 ヵ月の時点の死亡リスク(相対リスク 0.79,95%信頼区間 [CI] 0.45~1.39),および 6 ヵ月の時点の死亡あるいは身体障害のリスク(オッズ比 0.74,95% CI 0.47~1.17)の有意な低下とは関連しないことが示された.しかし,細菌性髄膜炎の確定例では,1 ヵ月の時点の死亡リスク(相対リスク 0.43,95% CI 0.20~0.94),および 6 ヵ月の時点の死亡または身体障害のリスク(オッズ比 0.56,95% CI 0.32~0.98)に有意な低下がみられた.これらの効果は,ほぼ確実例には認められなかった.多変量解析の結果から,ほぼ確実例に対するデキサメタゾン療法は,1 ヵ月の時点の死亡リスクの上昇と有意な関連があることが示された.この所見は,治療群における結核性髄膜炎症例の存在によって説明される可能性がある.
【デキレジ】細菌性髄膜炎
デキサメタゾンを用いた早期治療は,急性細菌性髄膜炎を有する成人の転帰を改善し,消化管出血のリスクを増大させない.
細菌性髄膜炎とは
理論的に効果があるはずだという見解と,場合によっては患者の状態を悪化させる可能性があるという見解がある。
1.ステロイド薬が予後を改善する原理
細菌性髄膜炎の治療時にステロイド薬を併用すると予後が改善する原理については,わが国の『細菌性髄膜炎の診療ガイドライン』1)のなかでまとめられている。細菌性髄膜炎は,くも膜と脳軟膜に囲まれたくも膜下腔に細菌性の炎症が生じたものである。細菌成分のエンドトキシン,タイコ酸,ペプチドグリカンなどが,腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)-αやインターロイキン(interleukin:IL)-1などの炎症性サイトカインを誘導し,これがIL-6や血小板活性化因子(platelet activating factor:PAF)などを活性化し,サイトカインカスケードやアラキドン酸カスケードを介して,白血球の活性化,血管内皮細胞の障害,凝固系の活性化をもたらす。このような,さまざまな炎症の過程が脳実質や脳血管に波及すると,脳浮腫,頭蓋内圧亢進,脳血流障害,脳血管炎,神経細胞障害などを引き起こし,これらによって後遺障害や死亡などの転帰不良をもたらす。ステロイド薬は炎症性サイトカイン,プロスタグランジン,PAFなどの産生を抑制することによりこれらの炎症の過程を軽減し,後遺障害が減少すると考えられている。
2.ステロイド薬が予後を悪化させる可能性について
同ガイドラインのなかでもステロイド薬導入の可否について留意するべき事項を挙げている。
①重篤な敗血症を基盤に発症してきている髄膜炎,②すでに抗菌薬が開始されている症例,③適切な抗菌薬が投与されていない症例,に注意が必要であるとしている。
グラム陰性桿菌の敗血症や菌血症では抗菌薬投与時に大量にエンドトキシンが放出され,ショックに陥ることがある。そのような状態にならないためにステロイド薬をあらかじめ投与しておこうという意図で投与するならば,すでに大量のトキシンや菌体成分に曝露された重篤な状態や,抗菌薬が投与されている状態ではステロイド薬を投与する意義が相当程度薄れることになる。また,現時点では耐性度が高いために抗菌薬の効果が全く期待できないほどの耐性菌による髄膜炎はきわめてまれである。しかし,そのような細菌による髄膜炎がいつ増加してくるかわからない。高度耐性菌による感染時にステロイド薬を投与したために悪化することはないか想定しておくことは重要な課題である。髄膜炎患者では血糖調節異常や凝固異常がしばしば認められるが,ステロイド薬はこれらの異常を,理論的には助長し予後を悪化させる可能性がある。そのため,髄膜炎に対してステロイド薬を投与することに反対の意見もある。
細菌性髄膜炎の診断がつき次. 第,菌の培養結果を待たずに,副腎皮質ステロイ. ド剤投与と適切な抗菌薬投与を開始する.起炎菌. は,発症時の年齢,基礎疾患の有無,髄液グラム.
合計 301 例の患者を,157 例はデキサメタゾン治療群に,144 例はプラセボ群に無作為に割付けた.ベースライン時における両群の特性は同等であった.デキサメタゾン療法は,不良な転帰のリスクの減少と関連していた(相対リスク 0.59;95%信頼区間 0.37~0.94;P=0.03).また,デキサメタゾン療法は,死亡率の減少とも関連していた(死亡の相対リスク 0.48;95%信頼区間 0.24~0.96;P=0.04).肺炎球菌性髄膜炎患者において転帰が不良であったのは,デキサメタゾン群では 26%であったのに対し,プラセボ群では 52%であった(相対リスク 0.50;95%信頼区間 0.30~0.83;P=0.006).消化管出血は,デキサメタゾン群の 2 例およびプラセボ群の 5 例で発生した.