機序・危険因子:マグネシウムと難溶性のキレートを形成し、薬剤の吸収が阻害される。
・この相互作用の原因は、生体内における鉄剤と甲状腺ホルモン製剤との吸着あるいはキレート複合体形成による吸収低下であると考えられる。この相互作用を回避するためには両剤の投与間隔を考慮する必要がある。
キレートが作られると、薬の吸収が低下し、効果が弱まります。 せっかく指示 ..
牛乳以外でも、テトラサイクリン系の抗生物質は、鉄・アルミニウムなどの塩類、ヘパリン、ヒドロコルチゾンと混同すると、同様にキレート化、不活性化を生じ、吸収障害や血中薬物濃度の低下をきたします。
・急性下痢症の9割は感染性、残りは非感染性(薬剤性、中毒性、虚血性など)である。大部分はウイルス性で、ノロウイルス、ロタウイルスなどが代表的。感染性急性下痢症の症状は、嘔気、嘔吐、腹痛、発熱、血便、テネスムスなどである。2011年からロタウイルスワクチンの任意接種が始まり、ロタウイルスによる下痢症は減少傾向である。
細菌としてはサルモネラ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌、ビブリオなど。海外渡航者の下痢は腸管毒素原性大腸菌、カンピロバクター、稀に赤痢やコレラがある。最近の抗菌薬投与歴がある場合には、クロストリジウム・ディフィシル腸炎を考慮する必要がある。
感染性胃腸炎は毒素性のものと細菌増殖による非毒素性がある。毒素性のものは一般的に潜伏期間は短く、黄色ブドウ球菌(調理者の手の傷)、セレウス菌などがある。急性胃腸炎の場合は摂食したものをよく聞き取ることが重要である。ノロウイルスは二枚貝、ウェルシュ菌はカレーやシチュー、サルモネラは生卵、腸管出血性大腸炎は生や加熱不十分の牛肉、カンピロバクターは鶏肉(生や生焼け)、などが頻度が多い。
・急性下痢症の治療は、成人ではウイルス性、細菌性にかかわらず自然軽快することが多く、基本的に対症療法のみを行うことを推奨。脱水の補正など。海外渡航者は毒素原性大腸菌、コレラ、赤痢、重症例や菌血症では抗菌薬投与を考慮するが、専門医療機関に紹介するのが妥当である。抗菌薬を使用するとしたら サルモネラやカンピロバクターである。腸管出血性大腸菌の推奨治療はまだ統一見解はない。
キレート形成が確認された。 Ca2+は 0.25mmol/L ではキレートを形成せず、0.75 ..
・急性気道感染症は感冒、急性鼻副鼻腔炎、急性咽頭炎、急性気管支炎が含まれ、一般的に風邪として受診される病態である。原因微生物の約9割がウイルス(ライノウイルス、コロナウイルスなど)であるが、ウイルス以外ではA群β溶連菌(GAS)による急性咽頭炎、マイコプラズマによる急性気管支炎が挙げられる。
・感冒の経過はまず微熱、倦怠感、咽頭痛、続いて鼻汁や鼻閉、その後に咳や痰であるが、症状のピークは3日前後であり10日以内に軽快する。ガイドラインでは、「抗菌薬を使用しない」ことを推奨している。その根拠として上気道炎後の肺炎、咽頭炎後の咽後膿瘍などに対する抗菌薬投与による発症予防効果はNNT4000(4000人に一人だけ予防できる)程度しかないことによる(BMJ)。ただし、進行性に悪化する場合や、症状の再増悪時には細菌の二次感染を疑う。
・急性ウイルス性上気道感染症のついて、急性細菌性副鼻腔炎を合併する頻度は2%未満である。鼻汁の色だけではウイルス感染症と細菌感染症の区別はできない。症状が2峰性に悪化する場合は細菌感染症を疑う。一般的に肺炎球菌が多い。軽症では抗菌薬を使用しないことを推奨している。39度以上の発熱、膿性鼻汁や顔面痛が3日以上続く、一度軽快して再度悪化した場合などにアモキシシリン(AMPC)内服5-7日間の投与を考慮する。耐性菌の可能性や一次治療不応例ではクラブラン酸・アモキシシリン(CVA/AMPC)を選択する。 βラクタム系にアレルギーがある場合には、フルオロキノロン系を推奨する。テトラサイクリン系もガイドラインでは推奨されているが、日本では主要な原因菌の肺炎球菌に対して耐性率が高く問題である。
・急性咽頭炎は大部分はウイルス性だが、20-50歳に限ると約30%がGAS陽性である。38度以上の発熱、咳がない、圧痛を伴う前頸部リンパ節腫脹、白苔を伴う扁桃腺炎、最近の曝露歴があればGASを疑うが、GAS迅速抗原検査や培養検査が望ましい。治療はGASが検出されていなければ、抗菌薬投与を行わないことを推奨。GAS陽性ならアモキシシリン10日間。ペニシリンアレルギーがある場合には、セファレキシン(CEX)やクリンダマイシンを推奨。ただし、βラクタムに共通にアレルギーの場合はセフェム系でもアレルギーが生じる可能性があるので、診療所レベルではニューキノロンを使用することもやむを得ないであろう。
鑑別として伝染性単核球症が挙がるが、性的にナイーブな若年者、肝・脾腫大、前頸部+後頸部リンパ節腫大、などが鑑別点となりうる。
・急性気管支炎は咳が平均17.8日間つづく。ウイルスが90%、5-10%が百日咳、マイコプラズマ、クラミドフィラである。喀痰の色の変化では細菌性と判断できない。基礎疾患のない70歳未満の成人では、バイタルサインの異常や胸部聴診に異常なければ胸部レントゲンは不要とされる。百日咳は、咳後の嘔吐、吸気時の笛声、流行期、患者への接触歴がある場合に疑うが、LAMP法が迅速性、特異度に優れている。
急性気管支炎の治療であるが、手引きでは基礎疾患や合併症がない場合、抗菌薬投与を行わないことを推奨。ただし百日咳ならば治療を行う。成人のマイコプラズマ感染では、肺炎の合併がなければ抗菌薬治療の必要性を支持する根拠に乏しいとされている。しかしマイコプラズマは聴診所見に乏しいことも多く、症状のつよい場合は抗菌剤投与もやむを得ないかもしれない。慢性呼吸器感染症や基礎疾患のある成人で発熱・膿性痰を認める場合は、喀痰グラム染色を実施し、細菌感染が疑われる場合には抗菌薬の投与が望ましい。咳が2週間以上続く場合は結核の除外が必要である。
百日咳にはマクロライドが第1選択である。ただし成人に適応があるのはエリスロマイシンで、アジスロマイシンは保険適応外である。小児はクラリスロマイシンに適応がある。慢性呼吸器疾患の気道感染症に対してはフルオロキノロンが第1選択、CVA/AMPCなどが第2選択である。 誤嚥など嫌気性菌の関与が疑われる場合にはCVA/AMPCなどを投与する。マクロライド少量長期療法を行っている患者が急性増悪を起こした場合でも基本原則は同じである。慢性下気道持続気道感染を認めるの急性増悪、例えばDPBなどでは緑膿菌が持続感染しているが必ずしも急性増悪の起炎菌とはいえないので、これらをカバーする抗菌薬を選択することになる。
味覚障害は副作用の中でも肝障害や腎障害のように検査値からわかるもの、薬疹、眠気、便秘や下痢といった自覚症状から気付きやすいものと違い、患者さん自身も副作用だと気付いていないことが多く見逃されがちです。
ですが、味がわからないことで食欲がなくなり栄養不足になったり、味付けが濃くなって塩分をとりすぎてしまったりすることで、原疾患の治療に影響することも考えられます。
「何を食べても味気なくて・・・」といった何気ない会話から、薬剤師として服用薬にそういった副作用があることを情報提供し、気付いてあげることができればと思います。
・この相互作用の原因は、生体内における鉄剤と甲状腺ホルモン製剤との吸着あるいはキレート複合体形成による吸収低下であると考えられる。 ..
一般的な感染症に対してはクラリスロマイシン1日400mg、非結核性抗酸菌症には1日800mg、どちらも2回に分けて経口で投与します。投与量は年齢、症状にあわせて増減します。またピロリ菌の除菌に用いる場合は他の抗生物質や胃薬と併用して処方されます。
抗菌薬の種類、作用機序、臓器移行性、各種抗菌薬の特徴と副作用などについて説明されました。
ペニシリン系はGPC用をGNRへスペクトラム拡大したがMRSAと非定型細菌はカバーできない。βラクタマーゼ阻害薬配合でMSSA・嫌気性菌をカバーする。アンピシリンをアロプリノールと併用したり、EBウイルス感染症(伝染性単核球症)に投与すると高率に薬疹が発生するので注意が必要である。
セフェム系は腸球菌、嫌気性菌に基本的に無効(ただしセフメタゾンは有効で腹部領域で使用される。)第3世代経口薬は腸管吸収率が低く、長期間使用されると偽膜性腸炎に注意すべきである。特に乳児ではピボキシル基が関与した第3世代経口薬では低カルニチン血症の発症(低血糖、けいれん)に留意する。
キノロン系は嫌気性菌に基本的に無効。したがって誤嚥などではキノロン系単剤投与は推奨しない。使用する際に結核がないかどうか留意すること。中枢神経系副作用(頭痛、めまい、NSAIDsとの併用でけいれん)がある。
静注薬との効果の差が少ない、すなわち消化管からの吸収が非常によい経口抗菌薬として、AMPC、第1世代セフェム(CEX)、CPFX,LVFX,MFLX、ミノサイクリン、クリンダマイシン、ST合剤、リネゾリドなどがある。キノロン系薬は制酸剤(Mg,Ca,Al)や鉄剤を同時服用するとキレートを作って著明に吸収が低下するので、 やむを得ず併用する場合には服薬のタイミングを分ける。
とにかく第3世代セフェムは腸管吸収率が低い。
亜鉛キレート作用(亜鉛の吸収を抑制する作用)のある薬や唾液分泌を ..
レボフロキサシン水和物(クラビット)は、ニューキノロン系抗菌薬に分類される合成抗菌薬であり、その化学構造は複雑な分子式を持ちます。
<制酸薬との服用間隔によるニューキノロン系抗菌薬のバイオアベイラビリティの変化>[文献 1-2]
レボフロキサシンに関するデータはないが、制酸薬との併用による他のニューキノロン系抗菌薬の相対的バイオアベイラビリティの変動を図1に示す。ニューキノロン系抗菌薬の投与時間を0 時間とし、制酸薬の投与をずらして相対的バイオアベイラビリティを調べた結果、ニューキノロン系抗菌薬の服用3~6時間前、服用2時間後までは、制酸薬の併用を避けるべきであることが示唆された。
キレート形成 Fe2+, Zn2+, Al3+) → 投与時はこれらの薬剤と投与時間を2 ..
吸収過程における相互作用は、消化管内変化、吸着やキレート形成、消化管運動機能の変化、小腸における代謝やくみ出しの変化、小腸における担体介在吸収の阻害の機序を考える必要がある。担体介在吸収の阻害として、グレープフルーツやオレンジのジュースがを阻害して、フェキソフェナジンの消化管吸収を大きく低下させる例などがある。
[PDF] 【金属含有薬剤と相互作用を起こすおそれのある薬剤】
クラリスは、併用注意薬(一緒に内服する場合は注意しなければならない薬)や、併用禁忌薬(一緒に内服してはいけない薬)が非常に多いです。ここには書ききれないほど多くの種類がありますので、常用薬がある方は医療機関を受診する際に必ず申し出るようにしてください。
DIクイズ1:(A)クラリスによる発疹の既往のある患者への代替薬
排泄過程には、腎排泄による尿細管分泌阻害、尿細管再吸収阻害の相互作用がある。
抗菌薬と他剤との配合変化&相互作用 ~オウンゴールを避けるために
かつては、鉄欠乏性貧血の時に処方される鉄剤をお茶では飲まないように指導されていたようです。しかし、現在は、薬に含まれる鉄の量が多いので、お茶で生じる吸収ロスを無視できるとして、「臨床的に問題なし」と判断されています。従って、鉄剤をお茶で飲んでもかまいません。他では、骨粗鬆症の薬(ビスフォスフォネート製剤)について添付文書の併用注意を見ると、「カルシウムやマグネシウムなどと一緒になると吸収が悪くなる」とあります。牛乳や一部の高硬度ミネラルウォーターなどは駄目ですが、通常の(薄い)お茶では問題ないようです。結論として、手元に水や白湯がないときには、湯呑1杯弱程度のお茶で薬を飲んでも大丈夫です。
一部の経口抗菌薬は金属イオン(マグネシウムや鉄など)とキレート ..
酸化マグネシウム+レボドパ製剤
マドパー配合錠やメネシット配合錠(レボドパ製剤)などは、アルカリ性下において酸化分解するため、酸化マグネシウムと懸濁すると、メラニンを生じ黒色となり、レボドパ製剤の効果が低下することがあります。また、同様にクラリスロマイシンDSやアジスロマイシンDS、リーマス錠も溶液をアルカリ化させるため注意が必要で…
頻用されるマクロライド系抗菌薬としてアジスロマイシン、クラリスロマイシンなどがあげられます。
最後に山口氏は、薬物相互作用のメカニズムが解明され、相互作用が生じる生体分子(受容体、酵素、トランスポータなど)が明確になっていくとして、相互作用のメカニズムを学ぶことは有害事象の回避や生じた相互作用に対処するためには必須であると考えを述べた。そして薬剤師が薬物相互作用に関する情報を、患者、医師、他職種スタッフに提供することは、薬を効果的かつ安全に使用する医薬品適正使用につながると述べ、セミナーを締め括った。
薬剤が亜鉛(Zn) とキレート結合し,尿中への亜鉛排泄を促進する ..
牛乳のなかには多数の栄養成分が含まれています。のうち、とくにテトラサイクリン系の薬剤(アクロマイシン、テラマイシン、レダマイシン、ミノマイシンなど)は、牛乳中のカルシウムと結合すると、キレート化や不活性化を生じます。その結果、や腸管での吸収が悪くなったりして、血中の薬物濃度の低下をきたします。
DIクイズ1:(Q)クラリスによる発疹の既往のある患者への代替薬
医療安全に資するうえで、薬物の相互作用チェックは薬局における重要な役割です。本セミナーの内容は知識として押さえておくべき重要な内容でした。薬剤に関する情報も日々変化しており、薬剤師のスキル向上と情報収集は安全安心な薬物療法を行うためにも非常に重要です。
また、薬歴によると、クラリス(クラリスロマイシン)による発疹の既往がある。 ..
血液の凝固を阻害する薬です。脳血管や心臓血管に障害があるときに出されています。血液が固まるときにそのシステムの何箇所かでVitaminKが必要なのですが腸管からの吸収を阻害します。VitaminKを静脈注射することで3-6時間で凝固が回復します。アスピリン(小児用バファリン)などと違ってコントロールしやすいので良く処方されています。 ところで腸内細菌もVitaminKを産生しています。抗菌剤は腸内細菌をやっつけますので、すべての抗菌剤は併用注意となっています。しかし短期間の投与ではそれほど影響はないと思います
【ミニレビュー】フルオロキノロン系抗菌薬 KANSEN JOURNAL
レボフロキサシンの服用を酸化マグネシウム服用後に変更する場合には、酸化マグネシウム服用後にニューキノロン系抗菌薬服用まで3~6時間以上空ける必要がある。そのため、例えば、夕食後にマグミッ錠を服用後、少なくとも3時間以上空けて就寝前にクラビット錠を服用することを提案するなども考えられる。
一方、酸化マグネシウムの服用時期を変更できるのであれば、朝食後の酸化マグネシウムを朝食後2時間など、食間の服用に変更することを提案するのも1つである。
静菌的に働く抗生物質。 *アジスロマイシン(AZM)ジスロマック 1回500mg 1日1回3日間服用 {B・Ⅰ}(小児は歯科適応無し)
このことから、適切な使用方法と注意点を遵守することで、患者のQOL向上に大きく寄与できることが示唆されています。
また、CYP3A4はイトラコナゾール、クラリスロマイシン、ニフェジピン ..
また、同じフルオロキノロン系抗菌薬でも、GNRに対する感受性率や効果の差があるため(シプロフロキサシン≧レボフロキサシン>モキシフロキサシン)、GNRを対象としている状況 では、原則として最も効果が期待できる シプロフロキサシン を選択します[14,15]。特に緑膿菌への効果は、シプロフロキサシンが最も優れていると考えられています。一方、モキシフロキサシンは効果が期待できないため、緑膿菌を考慮する状況で使用してはいけません[14,16-19]。
1.これら1価のイオンはアレンドロン酸とキレートを形成するため。 2 ..
さて、フェキソフェナジンの吸収量はグレープフルーツジュースで飲むことにより半分程度にまで減少することが報告されています。困ったことに、リンゴジュースやオレンジジュースでも同様です。フェキソフェナジンの吸収がジュースに含まれるバイオフラボノイド、フラノクマリン類、メトキシフラボン類などによって阻害されることに因ります。フェキソフェナジンは、水で飲むのが無難です。
(アモキシシリンはβ-ラクタム系抗生物質、 クラリスロマイシンはマクロライド系抗生物質)。
例えば、多剤耐性結核や非結核性抗酸菌症の患者様に対しては、他剤と併用しながら使用されるなど、特殊な感染症にも対応し、治療の選択肢を広げます。