[PDF] 「新型コロナワクチン接種」におけるアレルギー保有者について
新型コロナワクチンの副反応らしい症状を報告することは、国内で使用される新型コロナワクチンの厳重な安全性モニタリングに役立ちます。
“もう少し遅かったらやばかった” アレルギーとワクチン接種 | News Up
心筋炎は心筋の炎症です。心膜炎は、心臓を覆う心嚢を形成する膜の炎症です。通常、これらは新型コロナウイルス感染症などのウイルス感染によって引き起こされますが、新型コロナワクチンによって引き起こされる極めて稀な副反応でもあります。
新型コロナワクチンの副反応は、年齢にかかわらずほぼ同じです。2回目の接種後に起こりやすい副反応もあります。
新型コロナワクチンとその他のワクチンは、互いに片方のワクチンを ..
22 COVID-19患者の増加期には、宿泊療養施設への入所も急増する。自治体により対応は多少異なると思うが、多くの自治体で宿泊療養施設には医師会もしくは病院からの派遣医師が関与しているのではないかと思われる。自宅療養中の患者が増加するにつれ、保健所と協力しながら、往診体制が構築された地域もあるだろう。そこでは災害の避難所のように、さまざまな規模の医療機関が役割分担を行い、COVID-19診療に当たっておられることと思う。本稿執筆時点(2021年10月初旬)では、いわゆる第5波は沈静化したが、今後第6波が生じる可能性はある。その際には、宿泊療養施設には、やはり一定の役割が期待されるだろう。また、臨時医療施設として運用している施設もあれば、 往診チームが各所属施設から医薬品を持参している施設もあろうかと思う。筆者の勤務する病院では、第4~5波において内科医が宿泊療養施設の診療を部分的に担当し、往診を行っていた。その経験を踏まえ、普段COVID-19診療に携わっていない方が宿泊療養施設などで診療を行うのに役立てていただきたいと考え、本稿を作成した。なお、本稿は個人の見解であり、所属病院やIDATENの見解を述べたものではない。COVID-19患者がどの程度まで増悪すれば病院で診るのかというのは、パンデミックにおける一つの重要な命題である。基本的には、日本の定義[1]でいうところの中等症IIからは酸素投与が必要になるため絶対的に入院適応があり、従来であれば「酸素投与=デキサメタゾン開始=入院」が医療的な原則なのであるが、病床確保が困難になるにつれ在宅や宿泊療養施設での療養者が増える。結果として一部の増悪する患者に酸素投与が必要なケースが出てしまう(図)。COVID-19の治療薬は急速なスピードでの開発とそれに引き続く臨床試験が行われ、新たな知見がこれまでにない速さで加わってきた。現時点で、信頼のおけるガイドライン等により入院以外の状況で治療薬として推奨されるものは以下になる(表1)[1、2]。発症時の重症化予防薬としては最も有効である。バムラニビマブ/エテセビマブ、カシリビマブ/イムデビマブ、ソトロビマブという3種類のモノクローナル製剤があるが、日本ではカシリビマブ/イムデビマブが2021年7月に承認された。発症から7日以内にモノクローナル抗体を投与した場合、非使用群に対するウイルス量が減少していた。のみならず、28日以内のCOVID-19に関連した入院や救急外来/一般外来/遠隔外来の受診が、プラセボに比べて70%減少するという臨床的なアウトカムも示されている。副反応については、アナフィラキシーを含む重篤な過敏症は確認されず、インフュージョンリアクションが0.2%と記載されている[3]。これまでの報告からは、安全性は高いと考えるべきだろう。カシリビマブ/イムデビマブ各600mgずつ投与するが、日本で使用可能な製剤が2人分(各1200mg)で、冷蔵保管された場合は48時間以内に投与する必要がある。日本における投与対象は、COVID-19の重症化リスクを有する患者群(表2)となる。妊婦に関しては、添付文書に記載はないが、特に妊娠後期はCOVID-19重症化のリスク因子である。これまでのモノクローナル抗体の研究において妊婦に関する情報はないが、一般にIgG製剤は妊婦にも安全に使用されることから、NIHのガイドライン[2]では使用は考慮されるべきであると記載している。筆者の勤務する病院では、本人の承諾があれば投与を行っている。ただし、投与方法と投与場所が大きな問題となっている。そもそもモノクローナル抗体療法は外来で投与し、入院が必要な重症例を減らすことを目的とした薬剤である。日本の添付文書では、外来もしくは宿泊療養施設での投与が認められている。経静脈投与が一般的だが、海外同様、皮下投与も使用が認められそうである。とはいえ、皮下投与は2.5mLを2.5cm以上離れた4か所に接種する方法であり、日本の患者に受け入れられるかどうかについては若干の不安が残る。投与後1時間は副反応の発生などを確認するために観察が必要で、かつ投与後24時間は不測の事態に対応できる体制が必要とされている。ソトロビマブは、SARS-CoV-2に対するモノクローナル製剤の一つである。重症化リスクのある軽症から中等症のCOVID-19患者について、ソトロビマブ投与群とプラセボ群で29日までの入院または死亡をエンドポイントとして比較したRCT(COMET-ICE試験)では、介入群で85%の相対リスク減少を認めた[4]。デルタ株などのVOC(variant of concern)に対する活性は保たれていた。米国では5月下旬に緊急承認され、日本では9月27日に承認された。ソトロビマブ500mgを経静脈的に投与する。投与対象、投与後の観察は、カシリビマブ/イムデビマブと同じである(表2)。なお、モノクローナル抗体療法を受けた場合は、薬剤投与後90日の間隔を空けて新型コロナワクチンを接種する。これは、抗体投与が免疫反応を阻害する可能性を考慮した予防的な対策である。また、新型コロナワクチンを接種していても、非接種者と同様にモノクローナル抗体療法の適応が考慮されるべきである。入院中の酸素投与が必要な患者に対するデキサメタゾンの投与は死亡率を低下させた(RECOVERY試験[4])ため、このような患者にはデキサメタゾン6mg、10日間(退院するまで)の投与を行う。酸素投与を行う必要がない場合のデキサメタゾン(6mg、10日間)の使用は、むしろ害の方が大きい可能性が同時に示されており、使用すべきではない。これは、酸素不要群ではアウトカムが悪い傾向があるためであり、その期間は発症から中央値6日(3~10日)であった[4]。酸素投与開始時にデキサメタゾンを使用する場合は、抗ウイルス薬であるレムデシビルとの同時併用が望ましい可能性があるが[5]、宿泊療養施設や外来ではレムデシビルは使用できないため、現実的にはデキサメタゾンの単独使用になるだろう。繰り返しになるが、酸素需要がない状況で、発熱が持続しているなどの理由でデキサメタゾンを使用してはならない。なお、デキサメタゾンが用意できない状況であれば、デキサメタゾン6mgと等力価のプレドニゾン40mg日、メチルプレドニゾロン32mg/日を使用してもよい。また、糖尿病と診断されないまま糖尿病を抱えた人もおられ、その場合にはステロイドの投与により高血糖が顕在化することもある。ステロイド高血糖は夕方にみられるため、場合によっては夕食前の血糖を測定することも考慮する。高血糖がみられる場合は経口血糖降下薬(低血糖になりにくいメトホルミンなど)も使えるようにしておくとよいかもしれない。バリシチニブはJAK阻害薬で、関節リウマチにも使用される。ACTT-2試験[6]やCOV-BARRIER試験[7]が行われており、前者ではレムデシビルとの併用、後者では約80%にデキサメタゾン(レムデシビルは約19%)が併用されていた。バリシチニブを使用することにより、前者では全体で改善を1日早めるという結果で、後者は呼吸状態の増悪を止める効果はないが、死亡率は下げられるという結果を示した。安全性はいずれも比較群と比べて遜色なかった。ただし、COV-BARRIER試験のサブグループ解析では、高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)と非侵襲的換気療法(NIV)を用いた群で有意に死亡率が低下したものの、こうした介入を必要としない、肺炎のある酸素投与なし群や酸素投与あり群ではいずれも有意な低下はみられなかったことから、宿泊療法施設の患者は対象とはなりにくいだろう。サブグループ解析でありインパクトは弱いものの、推奨される域には達していない。バリシチニブは内服薬であり外来でも使用しやすいというメリットはあるものの、多くのガイドラインでは知見の豊富さから注射薬のトシリズマブをより推奨している。この見解は、今後変わる可能性がある。また、これまではレムデシビルと併用した場合にのみ臨床効果が期待できるため、それが使用できないセッティングではバリシチニブも使用できないと考えられてきたが、COV-BARRIER試験ではレムデシビル非投与群でも臨床効果が認められたため、この見解は今後変わる可能性がある。 商品名パルミコートである。大規模なPRINCIPLE試験[8]は、65歳以上もしくは合併症を有する50歳以上の入院していない患者もしくは疑い例に対し、ブテゾニド800μg、1日2回、14日間を投与して、28日目までのCOVID-19に関連した入院と死亡をプライマリーエンドポイントとして通常治療と比較した。結果は、発症から中央値6日で使用され、プライマリーエンドポイントでは有意差は出なかったが、自己申告に基づく回復までの期間はブテゾニド投与群で2.94日短縮された。使用に関連する副作用は認められなかった。この結果からは積極的に使用を推奨するものではないが、宿泊療養施設に入所した比較的中高年齢のCOVID-19患者で、背景に合併症があるなどでステロイドが使用しにくい場合などでは、使用することを考慮してもよいだろう。 シクレソニドも気管支喘息の治療薬で、SARS-CoV-2に対する「抗ウイルス活性」や症例報告[10]に基づいて日本で多施設非盲検RCTが実施され 、無症状・軽症患者に対する増悪抑制効果と安全性が検討された。入院8日目以内の肺炎増悪割合を評価したところ、介入群の方が対症療法群に比べて肺炎の増悪が有意に多かった[11]。サイズの小さな研究ではあるが、シクレソニドの投与は推奨されない。 8つのRCTを含む軽症から中等症のCOVID-19患者に対するファビピラビル治療のメタ解析[9]の結果、ファビピラビル使用は、入院7日後の症状改善率は高いが、14日後のそれは同等、その他ウイルス排除は早めない、呼吸不全/ICUへの入室/死亡は減らさない、という結果であった。どの研究もサンプルサイズが小さく、投与量、投与期間も異なるため、質の高いメタ解析ではないが、現時点ではファビピラビルの使用は推奨されない。大規模なRCT(COLCORONA試験[10]やRECOVERY試験[11])でプライマリーエンドポイントである入院や死亡の減少というアウトカムは出なかったが、COLCORONA試験でPCR陽性者に限ると、有意な死亡の減少はなかったが入院の減少を認めた。 ただし、両試験ともに有意に下痢が多かった。現時点においては使用を推奨する積極的なデータは乏しいと考える。言わずと知れた、日本で開発された糞線虫などの抗寄生虫薬である。In vitroでSARS-CoV-2に対して効果が示されたため、多数のRCTを含む研究で臨床効果が検討された(小規模であり、研究デザインや1回投与量、投与期間はまちまち)が、結果はさまざまで、その後のメタ解析[12]でも有効性を確認できなかった。現段階では使用を推奨できない。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(商品名デプロメール)である。動物実験で抗炎症作用を認めることから、COVID-19において発症から7日目以内に介入群でフルボキサミンを100mg、1日3回まで、15日間内服を行う臨床試験が行われた[13]。フルボキサミン投与群で15日以内の重症化が有意に少なかったが、Nが少なく(合計152人)、脱落も多い(20%)研究であり、現時点でフルボキサミンの有効性を結論付けるまでには至らない。それぞれの治療薬は前述した通りであるが、軽症から中等症患者のCOVID-19患者に対しては対症療法を行う。病院から往診薬を持参する場合の薬剤セットの例を表3に示した。アセトアミノフェン(商品名カロナール)10mg/kg頓服または定期内服。鎮咳薬としてデキストロメトロファン1~2錠を1日3回、あるいはリン酸コデイン2g/回(デキストロメトロファンで効果がないときに追加する場合)。去痰薬としてカルボシステイン錠1日3回を使用。食欲低下、下痢症状のため食事摂取不良となる患者は多い。水分摂取を励行し、場合によっては補液も検討する。COVID-19による皮疹の形態はさまざまで、ウイルス疹としてよく見る麻疹様の発疹、蕁麻疹、水痘様の水疱性の発疹、四肢末端のしもやけ様の色調変化(COVID toe)、網状皮斑などがある[14、15]。その他にも内服薬による薬疹が鑑別に挙がる。COVID-19による皮疹であれば経過観察やステロイド軟膏などで対応し、薬疹が疑われる場合には薬剤の中止も検討する。療養している患者は、COVID-19に対する恐れや憤り、今後の見通しが分からないことによる不安など、さまざまな思いを持って過ごしている。治療により劇的に改善が得られるすべがあるというわけではなく、こうした不安などに対する丁寧な説明やコミュニケーションは、ある意味、薬剤の処方よりも大きな役割があるとも言える。筆者が実際に受けた質問と、その回答例を挙げておく。A1-1.モノクローナル抗体療法なしの場合:2回目は、ファイザー社製ワクチンの場合3週間、モデルナ社製ワクチンの場合4週間の間隔を空けて接種します。隔離期間が終了した際に接種時期がくれば接種すればよいですし、間に合わなければずらすとよいでしょう。目安としては、1回目から6週以内に2回目を接種することとなっています。A1-2.モノクローナル抗体療法ありの場合:モノクローナル抗体療法を受けているため、次の接種までに90日の間隔を空けることになります。A2.すぐに再感染することはありませんが、次第に免疫が弱くなります。3か月以降になると再感染することがあります。発症してから3か月までに接種したらよいと思いますし、接種機会が限られていることを考えると、なるべく早く接種した方がよいと思います。A3.患者さんは感染して免疫がついているので、 たとえ家族の感染が判明したとしても再び感染しないため、退院直後の時点では濃厚接触になることはありません。また、体調が良ければ仕事に復帰しても大丈夫です。A4.感染性は10日以内になくなるとされていますが、一部の人はその後に免疫の反応で再度悪くなり、肺炎を発症し、酸素が必要になることがあります。ステロイドという免疫を抑える薬剤を使用して治療するなどします。発熱や息切れが出てくる場合には、かかりつけ医や保健所などに(地域のルールに従って)連絡してください。また、発症後90日以上経過すると免疫が低下して、再び新たに感染する可能性もあります。そういう意味でも、ワクチン接種は罹患後にもお勧めします。A5.COVID-19の場合、発症してから3か月以上症状が持続することもまれではなく、特に倦怠感、味覚・嗅覚障害、息切れが多いです。他には、頻度は下がりますが、脱毛、微熱、うつや気分の落ち込み、頭痛、集中力・思考力の低下、筋力低下などがあります。急性期に重症度が高かった人ほど症状が長く続くという報告[16]もありますが、急性期に軽症であった人でも長引くことはまれではありません[17]。自宅に帰った後に何らかの症状が出た場合には、かかりつけ医や保健所などに(地域のルールに従って)相談するとよいでしょう(日本語の総説[18]参照)。宿泊療養施設でのCOVID-19対応は、社会的・医学的に必要な隔離を病院よりも観察方法やマンパワーの限られる療養施設で行っているため、増悪した場合には病院に入院させる必要がある。また、それが困難な状況では、与えられた条件下で、患者に最適な医療行為を行う必要がある。COVID-19は感染症だが、皮疹や不眠、精神的な症状、長期の後遺症といったプライマリケア的側面が大いにあり、単に解熱剤や鎮咳薬を処方するだけで対応できるものではない。宿泊療養施設に滞在する方々が少しでも安心・安全な時間を送れるように、本稿を役立てていただければ幸いである。【References】
1)診療の手引き検討委員会: 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き, 第5.2版, 2021.
2)NIH: What’s New in the Guidelines, COVID-19 Treatment Guidelines, 2021.
3)Weinreich DM, Sivapalasingam S, Norton T, et al: REGN-COV2, a Neutralizing Antibody Cocktail, in Outpatients with Covid-19.
日本で承認されているポリエチレングリコールを含むワクチンは、ファイザー社及び武田/モデルナ社の新型コロナワクチンです。
ポリエチレングリコールとの交差反応性(予期した主反応以外の反応を開始する被物質の反応性)が心配されているポリソルベートを含んでいる既に承認されたワクチンは、アストラゼネカ社の新型コロナワクチンのほか、複数存在します。(※1)
服薬指導アップデートのポイント②~有効性・安全性の不確かな治療を試すくらいなら「コロナワクチン接種」も検討できそう ..
新型コロナワクチンの接種前に、副反応の予防目的で解熱鎮痛薬を服用するのはやめた方がよいでしょう。米国疾病予防管理センター(CDC)は、ワクチンの効果への影響がわかっていないため、服用は推奨できないとしています。理論的には、解熱鎮痛薬の事前内服は免疫反応を鈍らせ、ワクチンの効果を低下させる可能性もあります。接種日の前夜や当日に熱が出た場合には、解熱鎮痛薬を飲んで接種を受けるのではなく、接種を延期してください。
ファイザーの新型コロナワクチンの添付文書では、新型コロナワクチン接種前後の飲酒は禁止されてはいません。ただし多量の飲酒は控えることをお勧めします。特にワクチン接種後には、飲酒の有無にかかわらず、副反応で一時的に体調を崩す人もいます。多量のお酒を飲んでいると、その症状が悪化する可能性があるためです。
新型コロナのワクチン、アレルギーあっても打てる? 花粉症や鼻炎は?
4(1), ofx007, 2017)によりますと、帯状疱疹の発症率は50歳台から急上昇し、70歳台にピークをむかえます。80歳までに3人に1人が帯状疱疹を経験すると推定されています。想像よりも多いと思いましたか? いろいろな病気の中でも、3人に1人が発症する疾患はかなりの高確率と言えます。命にかかわる危険性は低いかもしれませんが、発症すれば医療費がかかり、神経痛の後遺障害で長期通院が必要になる可能性もあります。失明のリスクも無視することができません。この発症率の高さゆえ、ワクチンを使って予防することが重要と考えられるようになりました。 2016年以降、50歳以上の帯状疱疹の予防として使用してきたワクチンは「水痘「生」ワクチン」でした。「生」ワクチンは免疫不全がある人や、免疫抑制治療中の人に投与することができません。関節リウマチや膠原病で治療を受けている方が該当するため、当院に通院されている関節リウマチ患者様の大半は「生」ワクチン接種は不適当です。このため、こうした免疫抑制治療中の方に使えるワクチンが求められてきました。2020年1月に新規帯状疱疹ワクチン「シングリックス®」が発売され、50歳以上の方に接種できるようになりました。合成されたワクチンのため、関節リウマチなどに対する免疫抑制治療中の患者様でも接種することが可能です。また、免疫賦活剤(免疫を活性化させやすくする物質)を混合しているため、強い免疫原性を誘導し、強いワクチン効果が得られるとされています。 接種後4年間の試験では50歳台、60歳台、70歳台、80歳台までのすべての年代で帯状疱疹の予防効果が示されており、50歳以上のすべての年代の方に接種が勧められるワクチンです。また、長期試験では7.1年(平均値)まで帯状疱疹の予防効果が観察されています(1年後で予防効果が97.7%、7年後で85.3%)。免疫原性試験(免疫がVZVの成分に反応するかどうかを調べる検査)では10年後でも反応が確認できました。現時点では、肺炎球菌ワクチンのような5年ごとの反復接種は不要です。 シングリックス®は原則的に2回接種が必要です。筋肉注射で、通常肩に接種します。(新型コロナワクチンと同じ接種方法です。)1回目の接種のあと、2か月間の間隔をあけて、2回目の接種を行います。もしも2か月を超えた場合でも、6か月後までに接種を行うことが推奨されています。クリニックで接種を終えたら、経過観察のため30分間、院内で待機していただきます。特に問題が無ければ帰宅可能です。当日はお風呂に入ることはできますが、長時間の入浴は避けてください。接種から24時間は激しい運動、飲酒を避けてください。 2つの国際共同第Ⅲ相臨床試験の併合解析(ZOSTER-006/022併合解析)の結果、接種後7日間で局所性(注射部位)の副反応は3,944/4,884例(80.8%)に認められました。接種部位の疼痛3,810例(78.0%)、発赤1,863例(38.1%)、腫脹1,267例(25.9%)で、持続期間の中央値はすべて3.0日でした。全身性(注射部位以外)の副反応は3,159/4,876例(64.8%)に認められ、主なものは、筋肉痛1,949例(40.0%)、疲労1,895例(38.9%)、頭痛1,588例(32.6%)、悪寒1148例(23.5%)、発熱872例(17.9%)、胃腸症状636例(13.0%)でした。これらの数字は軽症から重症まですべてを含みます。ざっくりと説明すると、3-4割に発赤・腫脹や筋肉痛、だるさが出現し、微熱や発熱が1-2割という結果になります。新型コロナワクチン接種後に発熱や筋肉痛が出た方もいらっしゃると思いますが、そういった副反応が出る可能性もあるということでご留意いただければと思います。 1%未満のまれな副反応として、蕁麻疹、そう痒(かゆみ)、咽頭痛、咳、関節痛、めまい、不眠、傾眠、鼻咽頭炎、インフルエンザ様症状、などが報告されています。 アナフィラキシーショックはすべてのワクチンについて起こりうる副反応です。もしもワクチン接種後30分以内に、浮腫、じんましん、呼吸困難(喘息のような症状)が出現した場合、直ちにエピネフリン投与を行い、救急搬送など適切な処置を行います。シングリックス®の接種により健康被害が発生した場合には「医薬品副作用被害救済制度」により治療費等が支給される場合があります。(詳しくは独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページ等を確認してください。) 当クリニックではシングリックス®1回21,000円(自費診療)(2回で42,000円)です。水痘帯状疱疹「生」ワクチンは1回9,000円(自費診療)です。 ※公的補助 令和5年7月よりシングリックス®や水痘生ワクチン接種に対して一部助成が得られる可能性があります。詳細がわかりましたらこのホームページに情報を追加で記載いたします。
重いアレルギーの経験のある人は、接種後、一般の人より2倍長い、30分間、会場で体調を観察することになっています。心配な方は、事前に、かかりつけの医師やアレルギー専門医に相談して下さい。新型コロナワクチンの副反応やアナフィラキシーについては、連載「ワクチンを知ろう」の5回目「」でも詳しく説明しています。参考にしてください。