例 3) 中等度催吐性リスクの抗がん薬を使用する場合の、遅発性の悪心・嘔吐の予防


中等度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防として,5-HT3 受容体拮抗薬とデキサメタゾンによる2 剤併用療法を行うが,第1 世代の5-HT3 受容体拮抗薬よりも半減期が長い第2 世代のパロノセトロンを選択する場合においては,デキサメタゾンの投与期間を1 日のみ投与に短縮(遅発期である2 日目以降を省略)することを強く推奨する。なお,第1 世代の5-HT3 受容体拮抗薬を選択した場合のデキサメタゾンの投与期間短縮(ステロイドスペアリング)についてはエビデンスが得られなかった。


薬物相互作用 (27―がん化学療法における制吐剤の 薬物 ..

は、全米がん包括ネットワーク(National Comprehensive Cancer Network)の最新の制吐のための推奨を反映するように改訂された。

悪心・嘔吐予防として,5-HT3 受容体拮抗薬,デキサメタゾンの2 剤併用療法が標準となる中等度催吐性リスク抗がん薬のみを対象とした大規模比較試験による,オランザピンの追加・併用の検証や,費用対効果の評価も含めたオランザピン追加とNK1 受容体拮抗薬追加の比較検証が期待される。

[PDF] 2016年04月 『抗癌剤の催吐性リスク分類と制吐療法について』

2 回にわたり投票したが,合意形成には至らなかった〔1 回目 行うことを弱く推奨する:11 名,行わないことを弱く推奨する:13 名(合意率54.2%);2 回目 行うことを弱く推奨する:9 名,行わないことを弱く推奨する:14 名(合意率58.3%)〕。2 回の投票の間には,採択された論文の問題点についての意見や,本邦ではNK1 受容体拮抗薬が使用可能であるため,オランザピンではなくNK1 受容体拮抗薬を追加投与する場合が多いとする意見があり,臨床現場でも中等度催吐性リスク抗がん薬に対する標準制吐療法としてオランザピンを追加・併用する意義は制吐効果と副作用の点から明確にできず,最終的な合意形成には至らなかった。

小児におけるANVを治療するためにベンゾジアゼピンの使用を支持する証拠は不足しているものの、複数のガイドラインで、臨床経験に基づいて小児におけるANVに対してロラゼパムの使用が推奨されているロラゼパムの推奨初回用量は小児における現在の用量の推奨に基づいており、成人における通常の用量が極量となっている。この用量は各小児の必要量まで漸増すべきであり、過剰な鎮静には減量が推奨される。

【1 日目(急性): 5-HT3 受容体拮抗薬 + デキサメタゾン, 2 日目~(遅発性): デキサメタゾン】

催眠や系統的脱感作などの心理学的介入によって得られるANVの完全制御における改善は劇的なものではない可能性があるが、こうした介入は最低限のリスクで個別の患者に便益をもたらしうる。こうした理由から、あるガイドライン開発パネルでは、介入を提供するための専門知識と資源が存在する場合に、ANVを経験している患者に年齢に応じた介入を提供すべきであると推奨している。

抗腫瘍薬治療未実施の乳がん女性が弛緩トレーニングとアルプラゾラム(29人の患者)またはプラセボ(28人の患者)投与後のANVの発生率を比較した二重盲検プラセボ対照試験に登録された。アルプラゾラム、0.25 mgまたはプラセボが、6~12ヵ月間経口で1日2回投与された。また不眠を管理するため、トリアゾラムも必要に応じて両研究群の患者に投与された。4回目の抗腫瘍薬治療前に予測性の吐き気と予測性の嘔吐を完全制御できた患者の割合は両研究群でほぼ同じであった(それぞれ、26% vs 25%および4% vs 0%)。ANVが認められる成人がん患者29人に対してジアゼパム、5 mg、1日2回が4コースの連続した抗腫瘍薬治療それぞれの前に3日間投与された。13人の患者(45%)が4コースの抗腫瘍薬治療で一時的にANVの完全制御を経験した。

(day 1)。 シクロホスファミドやドキソルビシンなど遅発性

ANVに対する薬理学的介入に関する研究は、成人においてのみ実施されており、ベンゾジアゼピンに限られている。ANVを経験する患者はANVを経験しない患者よりも心配症であると観察されているため、抗不安薬が研究されている。成人における研究(2件のランダム化試験)では、ANVに対する治療法としてのベンゾジアゼピンの寄与が評価されている。成人がん患者が、シスプラチンを含む180の抗腫瘍薬治療コースにわたって抗腫瘍薬治療の前夜、治療日の朝、および次の5日間就寝時に経口でプラセボまたはロラゼパム、2mgを投与された。患者はまた、制吐薬による予防としてメトクロプラミド、2 mg/kg/投与、クレマスチン、およびデキサメタゾンを投与された。ランダム化時に、約2/3の患者が抗腫瘍薬未使用であった。ANVは抗腫瘍薬療法前の12時間以内または抗腫瘍薬療法開始後1時間以内に発生する吐き気および/または嘔吐と定義された。ロラゼパムが投与された治療群では、対照群と比較して、有意に高い割合でANVが完全制御された(52% vs 32%;P

催眠を受けるようにランダムに割り付けられた小児は最初の抗腫瘍薬治療中に自己催眠を教えられた;対照群の小児は同じ時間をセラピストと会話して過ごした。ANVは、小児との毎日の構造化面接を用いて評価された。ANVの存在は、診断後1~2ヵ月経過時と4~6ヵ月経過時に評価された。ANVの最初の評価時に、自己催眠を教えられていた小児では、対照群よりも予測性の吐き気の報告が有意に少なかった(ただし、発生率は報告されなかった)。予測性の嘔吐の割合は各群で同じであった(患者10人中1人)。2回目の評価時までに、両群で予測性の吐き気の割合に差は認められなかった。治療群間の予測性の嘔吐の割合も同様であった(催眠群、患者10人中0人 vs 対照群、患者10人中2人)。


☆遅発性悪心・嘔吐:抗がん薬投与後 24 時間以降に発現します。 ☆突出性悪心 ..

オランザピン非投与群との比較ができていないため結果の解釈には注意が必要であるが,傾眠については,高度催吐性リスク抗がん薬を対象に行われた臨床試験で報告されている頻度と同程度であり(→ 参照),オランザピンの追加・併用による害は少ないことが示唆された。ただし,糖尿病患者へのオランザピン投与は本邦では禁忌である。また,作用点が重複するドパミン(D2)受容体拮抗薬との併用は避け,睡眠薬との併用にも注意を要する。

遅発性の悪心・嘔吐:投与後24時間~120時間程度持続する悪心・嘔吐

別の研究で、化学療法未使用の6~18歳の小児20人においてANVの予防手段としての催眠が評価された。対照は年齢(±3歳)および抗腫瘍薬治療の催吐性についてマッチさせた。抗腫瘍薬レジメンの催吐性を明らかにするために利用可能な情報は不十分である。催眠を受けるようにランダムに割り付けられた小児は制吐薬による予防を受けなかったが、必要に応じて制吐薬を投与された。対照群の小児は、抗腫瘍薬療法後に4~6時間標準的な制吐薬による予防を受けた。対照群の小児(患者10人中7人)の方が催眠群の小児(患者10人中3人)よりもオンダンセトロンの投与が多かった。

また,AC療法においてはデキサメタゾンの投与期間を短縮可能(遅発期のCR ..

小児が受けた抗腫瘍薬療法の催吐性を正確に確認することはできないが、化学療法の催吐性に関する現在の分類で評価すると、ほとんどの小児が、催吐性が高度の治療を受けたようである。予防のために投与された制吐薬は報告されなかったが、試験中に小児の制吐レジメンは変更されなかった。N&Vの重症度は半構造化面接で評価された。小児は次の3つの予想される面接を受けるようにランダムに割り付けられた:催眠トレーニング(想像に焦点を当てた治療)、積極的な注意力低下(弛緩法)、またはセラピストとのコンタクト(制御)。著者らは、催眠トレーニングを受けた集団における予測性の嘔吐の完全制御が有意に改善した(ベースライン時の患者21人中12人[57%] vs 催眠トレーニング後の患者21人中18人[86%];P

がん治療の後、数日間服用します。 がん治療による吐き気・おう吐

催眠は「感覚、認識、認知、感情、気分、または行動を変えるために示唆を与える」介入と定義されている。2件の試験で、小児におけるANVを制御するための催眠の役割が評価された。1件の研究では、以前の研究で予測性の吐き気および/または予測性の嘔吐の経験を報告し、同じ抗腫瘍薬治療を少なくとも2コース受けようとしている5~17歳の小児54人が募集された。小児は、研究時にがん診断から平均して15.8ヵ月(範囲、0.5~118ヵ月)経過していた。対照群は他の2群よりも抗腫瘍薬療法をはるかに長く受けていた(29.5ヵ月 vs 8または11.5ヵ月)。

には、遅発性悪心・嘔吐の予防のために2~4日目にデキサメタゾン投与が提案さ

採用したランダム化比較試験は,症例数が少ない,高度催吐性リスク抗がん薬と中等度催吐性リスク抗がん薬が混在している,などの限界があるが,悪心抑制,嘔吐抑制いずれにおいてもオランザピンの追加・併用の有効性が示唆された。一方で,観察研究では有効性は明らかではなかった。

注) アプレピタントを使用しない場合は、 1日目のデキサメタゾ

ANVは条件反応のようであることを考慮して、急性および遅発性のCINVの制御を最適化することは、条件付けの発動に必要とされる負の刺激への曝露を最低限に抑えるのに役立ちうる。コンセンサスに基づく推奨では、制吐薬による介入は抗腫瘍薬を投与されている小児(抗腫瘍薬未使用の患者を含む)における急性CINVを予防するために用いられる発表されているガイドラインに基づくべきである。抗腫瘍薬療法がいったん開始されれば、制吐薬による介入の選択は証拠に基づいたガイドラインを情報源とし、患者が経験するCINV制御の程度と制吐薬に関連する有害作用に基づいて調整すべきである。

抗がん薬投与後、数時間以内に出現。 ▫ 遅発性下痢(腸管粘膜障害性下痢)

ランダム化比較試験2 編,,第Ⅱ相試験,観察研究1 編をもとに評価した。いずれにおいてもオランザピン非投与群でのデータが報告されておらず,比較はできなかった。中等度催吐性リスク抗がん薬のみを対象としたランダム化比較試験1 編では,オランザピン投与群において,傾眠Grade 1 が3/29 例(10.3%),Grade 2 が1/29 例(3.4%)に認められ,発現頻度は低かった。もう一方のランダム化比較試験1 編では,オランザピン投与群で眠気(sleepiness)が73%の患者に認められた。第Ⅱ相試験では,The M. D. Anderson Symptom Inventory(MDASI)により評価された眠気(feeling drowsy)は平均4.46(最悪値10,SD 3.02)であった。観察研究では,25/50 例(50%)にGrade 1/2 の鎮静が認められ,5/50 例(10%)がGrade 3 であった。

遅発性悪心、嘔吐:抗悪性腫瘍剤投与開始後24~120時間までに発現する悪心、嘔吐 ..

ANVは、急性期(化学療法実施後の24時間)および遅発期(化学療法実施後の24時間以上および7日以内)に経験されるCINVへの条件反応のようである。CINVに付随する不安と苦痛により、この条件反応が増強される。したがって、急性および遅発性のCINVの完全制御率が高くなるほど、ANVの割合は低下することになる。CINVの予防に関する証拠に基づいたガイドラインの推奨を遵守することにより、急性CINVの完全制御を実質的に改善することが示されている。

[PDF] 選択的NK1受容体拮抗型制吐剤 アプレピタントカプセル

本セクションでは、抗腫瘍薬投与を受けている生後1ヵ月~18歳の小児におけるANVの管理に焦点が当てられている。ANVの最適な制御は嘔吐なし、むかつきなし、吐き気なし、化学療法誘発性のN&V(CINV)の予防または治療に用いられる以外の制吐薬の使用なし、および小児の通常の食欲や食事において吐き気に関係した変化が認められないことと定義されている。このレベルのANV制御は、間もなく計画されている抗腫瘍薬サイクルの最初の抗腫瘍薬が投与される前の24時間にわたって達成されるべきである。

デキサメタゾンの3剤併用療法だ。 オランザピン5mgを併用すると嘔吐 ..

ランダム化比較試験2 編,,観察研究1 編をもとに「VAS≧25 mm の悪心」,「TC 割合」,「NN 割合」で評価した。中等度催吐性リスク抗がん薬のみを対象としたランダム化比較試験1 編では,全期間におけるVAS≧25 mm の悪心(有意な悪心あり)において,オランザピン投与群がオランザピン非投与群よりも有意に良好であった(17.2% vs. 44.0%,p=0.032)。もう一方のランダム化比較試験1 編では催吐性リスク別サブグループ解析が行われており,中等度催吐性リスク抗がん薬投与例におけるTC 割合は,遅発期,全期間においてオランザピン投与群がオランザピン非投与群よりも有意に良好であった(急性期:98.5% vs. 93.5%,p>0.05,遅発期:83.1% vs. 58.1%,p<0.05,全期間:83.1% vs. 56.5%,p<0.05)。観察研究でも催吐性リスク別サブグループ解析が行われており,中等度催吐性リスク抗がん薬投与例におけるNN 割合は,急性期,遅発期,全期間いずれにおいても両群間に有意差はなかった(急性期:93.8% vs. 88.2%,p=1.000,遅発期:75% vs. 47.1%,p=0.076,全期間:68.8% vs. 44.1%,p=0.135)。

日本語 (1)急性(0-24時間)および遅発性(24-120時間)嘔吐のCR率

ランダム化比較試験2 編,,観察研究1 編をもとに,「CR 割合」のアウトカムで評価した。中等度催吐性リスク抗がん薬のみを対象としたランダム化比較試験1 編では,CR 割合は急性期,遅発期,全期間において,オランザピン投与群でオランザピン非投与群と比較して良好な傾向にあったが,有意差はなかった(急性期:96.5% vs. 88.0%,p=0.326,遅発期:69.0% vs. 48.0%,p=0.118,全期間:69.0% vs. 48.0%,p=0.118)。もう一方のランダム化比較試験1 編では催吐性リスク別サブグループ解析が行われており,中等度催吐性リスク抗がん薬投与例におけるCR 割合は,遅発期,全期間において,オランザピン投与群がオランザピン非投与群と比較して有意に良好であった(急性期:96.9% vs. 96.8%,p>0.05,遅発期:89.2% vs. 75.8%,p<0.05,全期間:89.2% vs. 75.8%,p<0.05)。観察研究でも催吐性リスク別サブグループ解析が行われており,中等度催吐性リスク抗がん薬投与例におけるCR 割合は,急性期,遅発期,全期間いずれにおいても両群間に有意差はなかった(急性期:93.8% vs. 85.3%,p=0.650,遅発期:68.8% vs. 44.1%,p=0.135,全期間:62.5% vs. 41.2%,p=0.227)。

化学療法を受けている、または受ける予定の小児および若年(18歳未満)の予期性、急性、および遅発 ..

制吐薬として5-ヒドロキシトリプタミン-3(5-HT3)受容体拮抗薬とコルチコステロイドを投与されている患者において、ANVを長期にわたって評価した場合、約1/3の成人がANVを経験した一方、予測性の嘔吐は6~11%で報告された。単一グループの研究者らにより、5-HT3受容体拮抗薬以前の時代の小児におけるANVが評価された。この研究により、評価前に平均で11サイクルの抗腫瘍薬療法を受けていた小児80人中23人(29%)で予測性の吐き気、小児80人中16人(20%)で予測性の嘔吐が報告された。5-HT3以降の時代では、小児における予測性の吐き気の有病率は0~59%に及んでいることが報告された。成人患者における観察と同様に、予測性の吐き気の有病率は常に予測性の嘔吐の有病率よりも高いことが報告されており、例外は1件のみであった:1件の研究で、予測性の吐き気と予測性の嘔吐で同等の有病率(患者19人中5人[26%])が報告された。