[PDF] 急性単純性虫垂炎の治療 (総説)NEJM,Sept.16, 2021


急性虫垂炎(盲腸)を薬で散らすとは、ということです。
穿孔していない虫垂炎は、薬で散らすと90%治すことができます(10%は悪化して手術が必要となります)。


虫垂炎アップデート|札幌東徳洲会病院 救急センター 救急科専門医研修

Q6.1:蜂窩織炎や膿瘍を伴う複雑性急性虫垂炎に対して早期の虫垂切除術は遠隔期の虫垂切除術に対して適切か?

現在の治療法として、外科手術によって虫垂を取り除く方法(虫垂切除術)または、薬剤によって炎症を抑える方法(抗菌薬治療)があること、外科手術には開腹手術と腹腔鏡下手術があることを情報共有します。

オーグメンチン(CVA/AMPC)+アモキシシリン(AMPC)

急性虫垂炎は手術をして治療することが、第一選択です。
早く手術することが、最も確実な治療です。
しかし、何らかの理由で緊急手術ができない時は、薬で散らすこともあります。
ので、慎重に判断する必要があります。

Q6.2:保存的治療が成功した後の急性虫垂炎患者に対して遠隔期の外科的治療は常に適応となるか?

アモキシシリン・クラブラン酸; レボフロキサシン+メトロニダゾール; シプロフロキサシン+メトロニダゾール

我々、消化器外科が扱う疾患の中で緊急手術を必要とする頻度も多い急性腹症(お腹が痛くなり速やかに診断、治療を要する病気)の一つです。みなさんがよく「盲腸になった」、「盲腸で手術を受けた」と表現されている病気の正式な名称が急性虫垂炎です。

Q2.1:合併症の無い急性虫垂炎の成人患者に対して保存的治療は安全で効果的か?

このような処方を受け付けた場合、どのような対応をしますでしょうか? いずれも抗菌薬です。 成分をみてみましょう

例えば、虫垂が腫れ上がり破裂するリスクがあると考えられる場合には手術を選ぶことになりますし、入院することができない状況で軽症の急性虫垂炎であれば飲み薬の抗生物質を用いて治療することも可能です。

に対して抗生物質を用いるとき、感染の原因となっているに有効なものを用いる必要があります。そのため、急性虫垂炎の原因となる細菌を見定めなければなりません。急性虫垂炎は腸の中で起こる感染ですので、腸の中にいる細菌が起炎菌となります。例を挙げます。


なおこの総説によると Ampicillin-sulbactam(ユナシン S)や amoxicillin-clavulanate

近年、抗生剤の進歩により虫垂切除なしで虫垂炎を治療可能な症例、すなわち「抗生剤で散らす」ことが可能な症例も増えてきましたし、むしろ、現在では正確な画像診断・抗菌薬の進歩に伴い、単純性急性虫垂炎を緊急手術することは外科医や看護師などのマンパワーの問題などから、夜間の緊急手術は回避される傾向にもあります。

医療用医薬品 : サワシリン (サワシリンカプセル125 他)

急性虫垂炎に対しては手術が治療の基本になります。感染を起こしている虫垂を切除して感染源を排除することが目的です。一方で、抗生物質(抗菌薬、抗生剤)を用いた治療も有力です。俗に「散らす」と呼ばれるもので、抗生物質が感染を抑えることを期待した治療です。

※1 サワシリン®ならびにそのジェネリック医薬品、クラバモックス®、オーグメンチン®は、

これらが急性虫垂炎の原因となる主な細菌です。また、件数は少ないですが、やエルシニアという細菌も急性虫垂炎を起こすことがあると言われています。

2023 年 7 ⽉から全国的に供給制限状態である。 Page 2

お腹の中の右下あたりにある大腸の初めの部分を盲腸といいますがその下部から出る細い管状の突起した部分を虫垂といいます。この虫垂の内部に細菌が感染して炎症を起こした状態が急性虫垂炎です。もっとも多く発症するのが10~20歳代ですが、幼児や高齢者で発症される方もおられます。

[PDF] 複合抗生物質製剤 クラブラン酸カリウム・アモキシシリン水和物錠

急性虫垂炎に対して手術を行わない場合は、これらの細菌に有効と考えられる抗生物質を用いることが大切です。以下が治療に用いられる抗生物質の例です。

通常成人は、1回1錠、1日3~4回を6~8時間毎に経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。 8

虫垂炎の患者を抗菌薬での治療群と虫垂切除群にわけ30日後の健康状態について比較したランダム化比較試験です。敗血症性ショック、びまん性腹膜炎、再発性虫垂炎、画像での重度の膿が認められた症例(他外科医が回復に時間を要すると判断した症例)は除外された。副次評価は90日時点での虫垂切除、合併症の有無とし、虫垂結石の有無をグループ解析に用いている。

【急性虫垂炎に対する手術と抗生物質治療の比較】

虫垂炎に対して抗菌薬投与が治療として成功例があるにもかかわらず現在の治療の中心は手術療法になっている。

【急性虫垂炎の原因】

急性虫垂炎を抗菌薬で散らすことも増えてきました。急性虫垂炎を抗菌薬で散らすことについて詳しく解説します。

【急性虫垂炎の症状】

初期にはみぞおちや臍の周りの痛みや悪心、嘔吐、食欲の低下等の症状が多く見られます。それから数時間後に病状が進行して炎症が強くなると虫垂のある右下腹部の強い痛みとなる場合が多く、このように病状の進行によって痛みの場所が移動するのが虫垂炎の特徴です。(ただしこのような典型的な痛みの経過をとらない場合もあります)

【急性虫垂炎の診断は】

また、手術を行うことになっても手術前後に抗生物質を用います。明らかに合併症(虫垂の破裂、膿瘍の形成、バイタルなど)がなければ、用いる抗菌薬はセファゾリンが適していると考えられています(Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases 8th edition)。これを用いることで創部感染などの手術後の感染症トラブルを減らすことができます。

【急性虫垂炎の治療】

虫垂切除と比較した抗菌薬による虫垂炎治療の治療成績。

急性虫垂炎にはまず抗菌薬投与が主流に(4ページ目)

進行した虫垂炎では歩いたりして身体に振動が加わることでも右下腹部に痛みが響くようになり、この場所の腹筋が緊張してお腹が固くなります。これは虫垂内部から始まった細菌感染による炎症が虫垂周囲の腹膜にまで及んだ腹膜炎ために出る症状で腹膜刺激症状といいます。このころから発熱をきたすことも多く見られます。さらに病状が進行し、虫垂が破れて(穿孔といいます)内部にたまった膿がお腹の中に広がると腹部全体の非常に強い痛みとなり、いわゆる汎発性腹膜炎という生命にかかわるような重篤な状態に陥ります。

急性虫垂炎に対する抗生物質治療 vs

子どもの場合も大人の急性虫垂炎の場合と同じく手術か抗生物質治療を行います。

急性虫垂炎

虫垂は、通常右下腹部にあり、大腸の始まり部分の盲腸にぶら下がっている小指くらいの腸のことです。
虫垂炎は、この虫垂の内部で細菌が増殖して炎症が起こった状態です。
典型的な症状は「最初胃(みぞおち)の辺りが痛くなり、その後徐々に右下腹部に痛みが移動、吐き気や発熱が起こってきた」といったものです。
重症化すると虫垂の壁が破れて穴が開くことがあり、これを「穿孔性虫垂炎」といいます。虫垂が穿孔すると溜まっていた便や膿が腹腔内にもれて腹膜炎などの合併症を起こし、重篤化することがあります。
急性虫垂炎は急性腹症(最後にまとめ)の中で内科、外科を問わずに日常的に遭遇しうる頻度の高い疾患であり、その生涯罹患率は7-14%と、権威のあるジャーナルの文献(Flum DR : Clinical practice; Acute appendicitis; appendectomy or the “antibiotics first” strategy. N Engl J Med. 2015; 372 : 1937-1943 )が記しています。
10~20歳代に最も多く、加齢に伴い減少していくとされてきましたが、最近は高齢化の進行に伴い、高齢者症例が増加しており、しばしば腹膜炎による重篤化を認め、私が非常勤として勤務する急性期病院では集中治療を要する症例も認めます。

合併症のない急性虫垂炎には抗菌薬より切除術

30日後の健康状態は虫垂切除群に対して抗菌薬使用群は非劣勢だった。90日までに抗菌薬群の29%が虫垂切除術を受けた(うち虫垂結石保持者の41%、虫垂結石なしの25%)が逆にいうと10人に7人は手術を回避し、外来での通院が可能であった。虫垂結石保持者は発症から90日後までの虫垂切除術と合併症の可能性が高かった。

急性虫垂炎について | 浜の町病院

「急性単純性虫垂炎における抗生剤と手術は同等の有効性と安全性を示す」ことがランダム化試験(RCT)の結果をもって示された。内容:急性虫垂炎のうち穿孔性や膿瘍形成性虫垂炎などの複雑性虫垂炎は全体の20%程度であり、残りの多くの単純性虫垂炎において1年後まで症状なく経過したものは63%で手術群にくらべ合併症の相対リスクが31%減少するということであった。しかしながら、抗生剤初期治療に成功した群でも約40%は1年後までに何らかの症状が再燃し、20%は再入院となり手術が必要であった。再入院になった症例のうち穿孔や膿瘍形成などの複雑性虫垂炎に進展していたものは21%にのぼっていた。