ショウジョウバエやマウスで寿命を延ばせたからといって、その方法が人間にも有効 ..


「SIRT1を高発現させたマウスは寿命が延びるだけではなく、年を取っても活動量が減らないことや骨格筋の機能を正しく保っていること、そして興味深いことに、睡眠の質を正しく保っていることも明らかになりました。これらの結果から、睡眠の調整が老化・寿命の制御に重要な役割を果たしているのではないかと考えました。それが私が睡眠の研究に興味を持ったきっかけです」


マウスは著しい寿命延長を示す(Bartke et al., 2001)

太陽は傷ついた細胞を癒やしてくれます。
細胞内には「光回復酵素」という酵素が存在しており、DNAの損傷箇所に取り付いて修復作用を発揮することが知られています。

5.コンジェニックマウス
ゲノム領域の一部だけが異なっているマウスの系統。人工的に遺伝子を組換えたり導入させたりして作製した場合はノックアウトマウスやトランスジェニックマウスと呼ばれるが、他のマウス系統と交配して作った場合はコンジェニックマウスと呼ぶ。本研究で作製したコンジェニックマウスは、メラトニン合成に関わる遺伝子(AanatおよびAsmt/Hiomt)の領域を除き、マウスゲノムの全てが実験用マウス系統C57BL/6Jと同じ配列になっている。

寿命の28日目に開始して死まで続けられたが、メラトニンは、水(メラトニンの飽和 ..

メラトニンの原料は必須アミノ酸のです。トリプトファンに2種類の酵素が働いてに変わります(トリプトファン → 5-ヒドロキシトリプトファン → セロトニン)。 セロトニンは神経細胞と神経細胞のつなぎ目(シナプス)で情報伝達の役目をする神経伝達物質の一つです。このセロトニンに2種類の酵素が働いてメラトニンが合成されます(セロトニン → N-アセチルセロトニン → メラトニン)。メラトニンの化学名はN-アセチル-5-メトキシトリプタミン(N-acetyl-5-methoxytrypamine)です(下図)。

これは体に触れることなく睡眠中の自律神経の切り替えを評価し、どの程度十分な睡眠がとれているのかを評価できるものです。

メラトニンの効果は多岐にわたるが、マウスの実験で寿命自体が延びている事を考えると、広範囲の病気での死亡率を下げると考えるのが妥当である。

セロトニン → メラトニンという段階は、体内時計()からの指令が来ないとスタートしない仕組みになっています。すなわち、目から入った光の情報は視神経と通って脳にある視交叉上核に伝えられ、さらに神経によって交感神経の上頸神経節を経由して松果体に連絡が入ってメラトニンの合成が制御されます。
松果体に分布する交感神経は夜間興奮して多量のノルアドレナリンを放出し、それによって松果体細胞のメラトニン代謝に関与する酵素の一つ、N‐アセチルトランスフェラーゼの生成が促進される結果、松果体は夜間多量のメラトニンを産生放出します。視交叉上核が体内時計の中枢です。

図5 抗酸化剤投与による孤立アリの寿命、酸化ストレスと行動変化
(A)メラトニン投与による孤立アリ(左)とグループアリ(右)の寿命変化。括弧内はサンプル数とp値を示す(*p
(B)メラトニン投与による孤立アリの各組織における酸化ストレスの変化。p値(*)は統計的な有意差の大きさを示す(***p
(C)メラトニン投与による孤立アリとグループアリの行動変化。行動量に統計的有意差がみられた実験群を異なるアルファベットで示した。
※原論文の図を引用・改変したものを使用しています。

同研究チームは、2019年に行った研究において、マウスの水分補給を長期的に制限すると、寿命が6カ月短くなることを明らかにしていた。 ..

昆虫において酸化ストレスを緩和することが知られている薬剤(抗酸化剤の一つとしてメラトニンを孤立アリに投与したところ、個体の寿命短縮が緩和されることを確認しました(図5A左)。一方で、メラトニンを投与したグループアリの寿命は変化しませんでした(図5右)。また、その他の抗酸化剤を使用した際にも、孤立アリの寿命短縮を緩和させ、グループアリの寿命には影響をもたないという、メラトニンと同様の効果を確認しました。孤立アリにおける酸化ストレスに対するメラトニン投与の効果を評価したところ、孤立アリの脂肪体やエノサイト細胞における活性酸素種の産生量は低下することが確認されました(図5B)。さらに孤立アリの壁際に長く滞在するという特徴的な行動パターンについても効果を検証したところ、メラトニンを投与した孤立アリの壁際滞在時間は投与なしの孤立アリに比較して低下し、また、投与なしのグループアリと同程度にまで回復することを確認しました(図5C)。

1973年、ジョン・オット博士はさまざまな蛍光灯のもとで飼育されたマウスの寿命と、自然光のもとで飼育されたマウスの寿命とを比較測定しました。
そのマウスの平均寿命の結果は、ピンク色の蛍光灯で7.5ヵ月、デイライトホワイト蛍光灯で8.2ヵ月だったのに比べ、自然光(フルスペクトルの光)のもとで飼育されたマウスは、はるかに健康であり、平均して16.1ヵ月も生存しました。


マウスやラットを使った実験では、メラトニンの補充で寿命を延ばせることが報告されています。 ..

NAD+の合成には、アミノ酸であるトリプトファンから作られるde novo経路と、ニコチンアミド或いはニコチン酸を利用する経路の3つがありますが、私達の様な高等動物では、主に細胞内のNAD+は、ニコチンアミドからの再利用経路によって供給されています。この再利用経路に関与する酵素のうち、律速酵素(註:律速酵素とは、複数の化学反応が連続して起こる、ある一連の化学反応系に於いて、その全体の反応速度を決定する要因になる最も進行の遅い反応(律速段階)を触媒する酵素。どのような代謝経路であっても、その経路全体の反応速度を決定するのは律速酵素が関わる反応(律速段階)の速度です。用語的には、高校や大学等で、授業でグループに与えられた課題等を解決する過程に於いて、悉く足を引っ張るA君に対し、「お前は律速段階だからな」とか「目良(めら)ノーマだからな」と非難する時に使いました…)であるNampt遺伝子の発現にブレーキを掛けるのが、概日時計です。つまり、概日時計が細胞内NAD+量を調節しています。しかし、この概日時計とNAD+再利用経路は一方通行ではなく、細胞内のNAD+量はSirt1活性を抑制して、時計遺伝子の発現も調節する。つまり、Sirt1を介した相互制御(クロストーク)の関係が成り立っており、これにより様々な代謝を制御し、生体の恒常性・ロバスト性を維持し、老化及び老化関連疾患に抗しているとも言えます。

実験用マウスはメラトニンを合成できないので合成できるようにした

2.体内時計
哺乳類では脳の機能の一つで、約1日周期の自律的な時計機能を持っている。約1日という意味で、概日時計あるいはサーカディアン時計と呼ばれる。24時間周期で変化する環境に適応するために生物が獲得した機能である。概日時計が夜を示している時間帯で、かつ外部の環境が暗いときに、メラトニンは合成される。「明るい夜」や「暗い昼」にはメラトニンは合成されない。

マウス及びラットとも高用量群では四肢の血管拡張、立毛、眼瞼下垂、

当時は、線虫や酵母など単純な生物と違って、哺乳類でSIRT1が老化・寿命の延伸に重要であるかは明らかになっていなかった。しかし、この研究により、脳で特異的にSIRT1を増やすことで、マウスの中間寿命がメスでは16%、オスでは9%、オス・メス合わせると11%ほど延び、さらに最大寿命の延伸も認められたという。

筋弛緩、自発運動の減少及び運動失調がみられた。死亡例では、正向反射・踏み直り反射など

【要旨】
閉経後の女性ではさまざまな心身症が観察される。この心身症の発症原因として、エストロゲン産生の減少の関与が指摘されている。閉経後はメラトニン分泌の低下も顕著になり、このメラトニン分泌低下も更年期障害の症状の発症に関与していることが指摘されている。
この研究の目的は、女性ホルモン分泌と更年期症状の変化に対するメラトニン補給の効果を評価することである。
この研究では、51歳から64歳までの60人の閉経後女性を対象として、無作為に2つのグループに分けられた。
グループI(プラセボ群)は、プラセボを投与され、グループII(メラトニン投与群)では朝3mgと就寝時5mgのメラトニンが投与された。
17β-エストラジオール、卵胞刺激ホルモン(FSH)、メラトニンの血清中濃度と、6-スルファトキシメラトニン(6-sulfatoxymelatonin)の尿中排泄量、ならびにKuppermanの更年期指数(更年期障害の重症度を表現する指数)およびボディマスインデックス(BMI)は、プラセボまたはメラトニン投与の開始前および12ヶ月後に決定された。
プラセボ群(グループI)では、Kuppermanの更年期指数の値のみがわずかに減少した(28.4±2.9対25.6±3.8ポイント、P = 0,0619)。メラトニンの補給は、女性の生殖ホルモンである17β-エストラジオールと卵胞刺激ホルモンの血清濃度を有意に変えることはできなかった。
以上の結果から、

バックナンバー | 健康に100歳まで生きる 米国の長寿研究レポート

睡眠-覚醒リズムは、睡眠を促す神経制御と、これに反して、覚醒を促す制御の、相反する2つの制御(Two-Process Model)系によって成り立っています。前者の睡眠を促す要因としては、「起きている時間が長くなると、眠くなる」。覚醒促進制御の限界点を超えてしまうと、寝落ちする。まあ、生体の恒常性の維持には、この、遂に、とうとう、寝落ちしてしまうって現象は非常に重要な過程で、睡眠負債(Sleep-wake homeostasis)を反映したメカニズムなので、Process Sと呼ばれています。因みに、日中の労作度や睡眠不足の蓄積により、睡眠負債量は増加しますが、例えば、一晩徹夜した場合、睡眠負債の解消には、2日分の睡眠時間は必要ありません。睡眠長だけでなく、睡眠深度によっても調整されるから、そんなに長い時間を寝てカバーする必要がないからです。

そして、特筆すべきことは、メラトニンを飲ませたマウスでは、抗酸化

概日時計遺伝子を改変したマウスを用いた研究によれば、例えば、Clock/clock変異マウスでは糖・脂質代謝異常を呈し、肥満になります。又、Bmal/1KOマウスでは、寿命短縮に加え、筋肉が萎縮し、白内障や皮下脂肪の減少、臓器萎縮等の早老現象が起こります。それだけでなく、Clock/clock変異マウスとBmal/1KOマウスは、低インスリン血症及び糖尿病で、更には、Cryによるインスリン感受性亢進が明らかになって来ました。この様な概日時計による代謝調節への関与が明らかにされつつある一方で、代謝障害が概日時計に与える影響についても示唆されています。高脂肪食を与え続けられたマウスでは、概日行動周期が延長し、更におデブマウスでは、時計遺伝子の発現リズムが減弱してしまうってデータもあります。

メラトニンやセロトニンなどの重要なホルモンの前駆体でもあります。 ..

オレキシン受容体拮抗薬は、生理的な睡眠を誘導するため認知・記憶・運動系などに対する副作用が少なく、宇宙滞在時の使用が期待されています。

メラトニンの分泌も、成長ホルモンと同様に、加齢とともに減少していくのです ..

二つ目に、人類がマウスを家畜化(愛玩化)してきた歴史とマウスの進化(変化)に、メラトニンが大きく関わってきたことを明らかにしました。異なる環境がメラトニン合成能に与える正と負の自然選択[8]圧は、生物の進化の興味深い一例です。

2 TOKYO METROPOLITAN INSTITUTE OF ..

太陽光には、さまざまな波長が含まれており、それぞれが生命体に異なる作用を及ぼしています。
紫外線はビタミンDの生産、400nmは光回復、450nmは血中ビリルビンの分解、500nm・660nmはエネルギーの生産、590nmは細胞自食の促進、850nmは自立神経のバランス作用・ヒアルロン酸の生産などです。

寿命の延長に努めることが必要となります。そこで我々は、緑内障発症の予防に ..

コーヒー・緑茶・チョコレートなどカフェインが含まれる飲食物は覚醒作用があります。敏感な人は就寝の5~6時間前から控えた方よいでしょう。就寝前の喫煙もが刺激剤として作用するので好ましくありません。がわりに飲用されることの多いアルコールも決して勧められません。アルコールは寝付きをよくしますが、明け方の睡眠を妨げるからです。

現実の生存曲線はこの白黒両矢印が混じった形になるので二つの ..

本研究成果には三つの意義があります。一つ目は、メラトニンを合成できる実験用マウス系統を開発し、哺乳類におけるメラトニンの生理学的機能を精査したことです。その結果、過去に推定されていた機能について確認や否定をしただけでなく、日内休眠の制御というこれまで知られていなかった機能を明らかにしました。メラトニン剤には免疫系や骨の形成にも影響を与えることが知られており、今後はこれらについての解明も進むと考えられます。