投与期間は、第Ⅰ期は2~4週間、第Ⅱ期では4~8週間、第Ⅲ期以降では8~12週間の服用が目安です。 またHIV患者での梅毒の治療には、
これはヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応(Jarisch-Herxheimer現象)と呼ばれています。薬の副作用でなく、一過性の反応であり1~2日で自然に軽快しますので、梅毒治療の抗生物質(サワシリン/アモキシシリン)服用は継続してください。
⾼く保つ作⽤のあるプロベネシドとアモキシシリンを併⽤することにより梅毒を治療してきた ..
抗生物質投与開始後、数時間で病原菌梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)が破壊されるため、治療開始後24時間以内に以下のような症状を示すことがあります。(10~35%)
・第2期梅毒では、手掌や足底を含む全身に丘疹を生じることが典型的な皮膚所見
・早期梅毒:アモキシシリン3000mg (12錠)+プロベネシド750mg 分3 2週間
わが国では, 梅毒治療の第1選択は, ベンジルペニシリンベンザチンとアモキシシリンである1-3)。いずれの薬剤も梅毒に有効であるが, 多数例での比較試験はない。ベンジルペニシリンベンザチンは, 早期梅毒には1回240万単位を筋注, 後期梅毒には週に1回240万単位を計3回の筋注として投与する1,2)。有効性を評価する比較試験はないものの, 長く使われてきており, その高い有効性は臨床現場で経験的に認識されている。ベンジルペニシリンベンザチンに特異的な副反応ではないが, 筋肉注射の薬剤で稀に認められる副反応4)については知識として知っておいて良いだろう。アモキシシリンは, 1回500mgを1日3回で28日間として投与する1)。わが国から, 1日1,500mg3)と1日3,000mg5)投与での有効性を評価した報告があり, いずれも有効性は高い。梅毒診療においては, 後述するように, 治療効果判定を治療後の梅毒抗体検査で確認することから, 4週間の投与期間であっても再診できる患者であれば問題ない。ペニシリンアレルギーの場合には, わが国の保険診療に鑑みてミノサイクリンを投与する1)。ミノサイクリンの効果はベンジルペニシリンベンザチンと同等との報告6)がある。
梅毒患者の処方箋が、調剤薬局に持ち込まれたときのことを想定して述べます。
梅毒:アモキシシリン3000mg (12錠)+プロベネシド750mg 分3 4週間
Pallidum を抗原とする以下のいずれかの検査に陽性のもの
・TPHA 法
・FTA‐ ABS 法
○無症候梅毒では、カルジオリピンを抗原とする検査で16 倍以上陽性かつT.
梅毒の治療時に注意しなければならないのはペニシリン投与によるJarisch-Herxheimer反応であり, 治療後24時間以内に頭痛, 筋肉痛, 発熱等の症状が生じる。治療により, 菌量の多い早期にT. pallidumの菌体が破壊されることによると考えられる。女性に起こりやすいとされているが, もちろん, 男性でも発現する。梅毒と診断がついていればペニシリンが投与されるが, 梅毒の診断がされていない状態で, 他の疾患を想定して, 例えば, セファロスポリン系抗菌薬が投与されていたとしても生じ得る。一般的には, 症状は自然軽快するが, 妊婦にベンジルペニシリンベンザチンを投与する場合には, このJarisch-Herxheimer反応により胎児機能不全や早産の危険性があることから, 入院観察での投与をすべきとの考えもある。
*アモキシシリンに尿酸排泄薬のプロベネシドを併用するのは、アモキシシリンの尿中排泄を阻害して、血中濃度を維持するためです。 【第三期梅毒】
This damage may be serious enough to cause death
潜伏梅毒は将来的に合併症を引き起こすことがあります。治療歴の無い、RPR定性陽性、TPHA抗体陽性患者は必ずRPR定量検査を行い感染後か潜伏期か判別しましょう。又梅毒は感染症により第5類感染症で、全例を都道府県知事に7日以内に届け出ることになっています。臨床的特徴を呈していないが、カルジリピンを抗原とする検査において16倍以上又はそれに相当する抗体を保有する者、無症状病原体保有者も届け出る必要があります。(無症候性梅毒と異なり治療後の陳旧性梅毒は届け出る必要はありません)
後期潜伏梅毒では伝染性は殆どないため、特別な感染対策は必要ありません。
以下 2010年10月における情報となります。
発生状況
早期潜伏梅毒(米国:2007):10768件
晩期梅毒、晩期潜伏梅毒(米国:2007年):18256件
日本:2001年 1177例
分類
前期潜伏梅毒(1 年以内)、後期潜伏梅毒(1 年以降);感染1年以内では患者は再発のリスクがあるため、感染性があるとみなされる。しばしば前期、後期の区別は困難である。
症状
・無症状、無治療で15-40%の患者に晩期梅毒を引き起こす。
・神経梅毒は無症状が最も多いので要注意。神経梅毒の40%は無症状である。
梅毒の検査
STS (-) TPHA(-) 非梅毒、ごく初期の梅毒、初期梅毒治癒後
STS(-) TPHA(+)梅毒治癒後の抗体保有者、非常に古い梅毒、地帯現象、歯槽膿漏、伝染性単核症などのTPHA法の偽陽性
STS(+) TPHA(-) 初期梅毒、生物学的偽陽性(BFP)
STS(+)TPHA(+)梅毒(早期~晩期、再感染)、梅毒治癒後の抗体保有者、他のスピロヘータ感染症
→STS(+) TPHA(-)の場合で梅毒の歴が無く、FTA-IgMが陰性での場合では擬陽性ととらえるべきである。
→STS(+) TPHA(+)の患者ではRPR定量検査を行う。
→治療後でRPR32倍以上は殆ど認められない。
・欧州のガイドラインではFTA-ABSは通常の確定診断においては推奨されていないとされている。
・Anti-treponemal IgM(FTA-ABS IgM)検査は晩期梅毒感染を除外できない。
・非トレポネーマ抗原の定量検査は無症候性梅毒の場合には陳旧性かどうか(治療すべきかどうか)の判定に用い,治療開始後であれば治療効果の判定に用いる.
・無症候性で,RPRが4倍前後(2-8倍)では陳旧性梅毒とされ治療の必要はない。
神経梅毒の合併に要注意。
TABLE 238-2 -- Indications for CSF Examination in a Syphilitic Patient(Mandell)
Neurologic, otologic, or ophthalmologic signs and symptoms
Late or late latent syphilis
Treatment failure (clinical recurrence or persistence of signs and symptoms, lack of nontreponemal serologic response: fourfold decrease at 24-60 mo or fourfold increase at any time).
VDRL/RPR blood titer ≥ 32
欧州ガイドラインでは髄液検査の基準をRPR titer 32倍以上+HIV感染例としている。
神経梅毒の診断
・髄液中:TPHA or FTA-ABS陽性 かつ単核球増加(5-10以上)又はRPR陽性
TPHA titerが髄液で320倍以下、血清で640倍以下の時は可能性が低い。
感染対策
感染性は通常無く、標準予防策となる。
治療
晩期潜伏梅毒
海外
・Benathine penicillin 240万単位 筋注(1.8.15日目)IIIB
・Procaine penicillin 60万単位 筋注 17-21日 IIIB
・Doxycycline 200mg 連日 21-28日(IV C)
・Tetracycyline 500mg 4回 28日間(IVC)
・Erythromycin 500mg 4回 28日間(IV C)
早期潜伏梅毒では上記治療を14日間、又はazithromycin 2g 1回内服
日本ではペニシリン系はアモキシシリン1500mg(日本性感染症治療ガイドライン)28日間
追記:2015年に国立国際医療研究センターにより下記治療が提唱されております。
早期梅毒:アモキシシリン3000mg (12錠)+プロベネシド750mg 分3 2週間
後期梅毒:アモキシシリン3000mg (12錠)+プロベネシド750mg 分3 4週間
アモキシシリン=サワシリン
プロベネシド=ベネシッド(ペニシリンの血中濃度を上げる)
:アモキシシリンはいずれも保険用量を超える。
2017年の追記情報はこちら
・治療効果の判定には、抗カルジオリピン抗体の減少と臨床所見を経時的に追跡する。抗カルジオリピン抗体の完全な陰性化は起こらないか、仮に起こるとしても長期間を要するので、抗体価の絶対値ではなく、減少傾向があるかどうかをみることが重要である。十分な治療後でも抗体価の低下には時間がかかるので、いたずらに長期にわたる治療は意味がない。
・治療効果判定のため,1カ月に1回程度抗体価を測定し,RPRの値が治療前の1/4に低下するまでフォローし,下がりが悪い場合は適宜再治療を行う.
・治療後6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月でRPR定量の再検を行う事。
・治癒してもRPR Tp抗体検査は陰性化しないのが普通であることを患者に説明し,また再燃・再感染の判断材料になるので,治癒時点の検査記録を保管しておくことを勧めている.
・定期的な梅毒血清反応を含む経過観察がしばらく必要である。
・なお、TPHA法やFTA-ABS法は治癒後も高値で残ることが多く、治療効果の指標にはならない。Treponemal test antibody titers do not correlate with disease activity and should not be used to assess treatment response
・患者のVDRLやRPR価が4倍上昇したり、初回価が>1:32で12~24か月で4分の1下がることが 無ければ腰椎穿刺を、神経梅毒を否定するために行うべきで患者も再治療されるべきである。
・RPRの法がVDRLより少し高めに出る。
・RPR/VDRL定量が陰性の初期梅毒ではIgMのモニタリングは有用かもしれない。(欧州ガイドライン2008)
感染症法における取り扱い(2003年11月施行の感染症法改正に伴い更新)
梅毒は5類感染症全数把握疾患に定められており、診断した医師は7日以内に最寄りの保健所に届け出る。届け出の基準は以下の通りとなっている。
○診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれかの方法によって検査所見による診断がなされたもの。
・病原体の検出
発しんからパーカーインクなどでT.
感染機会があり, 典型的な所見が認められ, 梅毒抗体検査の値との組み合わせにより梅毒と診断することで, 治療を開始する。ただし, 典型的な所見を認めない場合も少なからずあることから, 所見自体を認めない無症候例であっても, 問診と梅毒抗体検査などの結果を総合的に判断して治療を開始する場合もある。臨床所見と検査結果に乖離がある場合には, 梅毒抗体検査を2~4週間後に再検することも1つの選択肢である。
梅毒 | ガイドライン(鑑別・症状・診断基準・治療方針) | HOKUTO
感染機会があり, 典型的な所見が認められ, 梅毒抗体検査の値との組み合わせにより梅毒と診断することで, 治療を開始する。ただし, 典型的な所見を認めない場合も少なからずあることから, 所見自体を認めない無症候例であっても, 問診と梅毒抗体検査などの結果を総合的に判断して治療を開始する場合もある。臨床所見と検査結果に乖離がある場合には, 梅毒抗体検査を2~4週間後に再検することも1つの選択肢である。
日本でもアモキシシリン(AMPC)3000mg/日とプロベネシドによる治療成功率が95.5%という報告があります。
女性患者から婦人科の処方箋を受け取った時や、男性患者から泌尿器科の処方箋を受け取った時に、アモキシシリンだけ書かれているような場合、梅毒を疑ってみてもよいでしょう。
[PDF] アモキシシリン水和物 小児感染症に対する最大投与量の変更
梅毒の治療時に注意しなければならないのはペニシリン投与によるJarisch-Herxheimer反応であり, 治療後24時間以内に頭痛, 筋肉痛, 発熱等の症状が生じる。治療により, 菌量の多い早期にT. pallidumの菌体が破壊されることによると考えられる。女性に起こりやすいとされているが, もちろん, 男性でも発現する。梅毒と診断がついていればペニシリンが投与されるが, 梅毒の診断がされていない状態で, 他の疾患を想定して, 例えば, セファロスポリン系抗菌薬が投与されていたとしても生じ得る。一般的には, 症状は自然軽快するが, 妊婦にベンジルペニシリンベンザチンを投与する場合には, このJarisch-Herxheimer反応により胎児機能不全や早産の危険性があることから, 入院観察での投与をすべきとの考えもある。
場合は、AMPC 1 日 1500~3000mg を 3~4 回に分けて投与する。1 日用量を
皮膚科や感染症科でも、梅毒の治療の処方箋が発行されることは予想されます。
Combination of Amoxicillin 3,000 mg and Probenecid.
梅毒治療の第一選択はベンザチンペニシリンGの筋注であるが、本邦では利用できず代替レジメンとしてアモキシシリンの経口投与が推奨されている。しかし、このレジメンに関するエビデンスは乏しい。今回我々は、当院で診断・治療した早期梅毒症例158例を対象に、アモキシシリンの有効性を検討した。診断時のRPRが8.0 R.U.以上の105例のうち、治療開始6ヶ月でRPRの値が4分の1未満まで低下した症例は104例(99.0%)だった。また、診断時のRPRが8.0 R.U.未満の53例のうち、治療開始6ヶ月でRPRが陰性化(1.0 R.U.未満まで低下)した症例は49例(92.5%)だった。早期梅毒に対するアモキシシリンの経口投与は良好な治療成績を示した。
活動性梅毒と診断した場合は HIV 抗原抗体検査も勧めましょう(保険適用)。 4.治療(成人)は、A または B を選択
梅毒は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という細菌に感染して起こる性感染症で、近年特に若い女性に急増しています。
普通のセックスで感染しますが、オーラルセックス(フェラチオ)やアナルセックスでも感染します。
症状が現れたり消えたりを繰り返しながら徐々に全身を侵していく感染症です。症状がいったん消えるため自然に治ったと思われ、放置されて見逃され病状が進行し、さらに感染を拡大させてしまう危険性が大きい病気です。
追記:2015年に国立国際医療研究センターにより下記治療が提唱されております。 ..
第2期では、「丘疹性梅毒疹」という小豆大の赤褐色の丘疹・結節が出現します。
「梅毒性乾癬」は、梅毒性丘疹が手のひら・足の裏や全身に現れたもので、盛り上がった発疹の上の乾いた皮膚がポロポロと剥がれ落ちます。乾癬とよく似ていますが、乾癬は通常手のひらや足の裏には現れないので、梅毒性乾癬の特徴的な症状といえます。
梅毒感染時期不明の治療について。 person 30代/女性 - 2024/06/04
現在わが国では世界の標準である持続型ペニシリンの筋注が行えないためペニシリン内服療法が一般的に行われているが、その実態は明らかではなく、有効性の検証も十分なデータがない。そこで、日本性感染症学会員を対象にアンケートによる梅毒治療の実態調査を行った。その結果、91.5%で日本性感染症学会ガイドライン2016に従った治療、すなわち第1期ではバイシリンG:1日120万単位/分3またはアモキシシリン1日1,500 mg/分3 2~4週間内服投与、第2期ではバイシリンG:1日120万単位/分3またはアモキシシリン1日1,500 mg/分3 4~8週間内服投与が行われていた。これを逸脱した治療で多かったのはプロベネシド併用およびアモキシシリン3,000 mg/分3であった。80.8%が治療失敗の経験はないと回答し、治療失敗の経験があるとした回答者にその理由を尋ねたところその理由で最も多かったのは患者がきちんと内服しなかったことであった。内服療法には服薬アドヒアランスの問題があるため、88.7%が筋注療法の導入を希望した。
STS(RPR) (-) TPHA(-) 非梅毒、ごく初期の梅毒、初期梅毒治癒後
次によくみられる症状は「梅毒性バラ疹」という赤い発疹です。手のひら・腕・背中・おなか・足の裏によくみられます。痛みかゆみなどの自覚症状もなく、数週間で消えてしまうのでアレルギー性湿疹や蕁麻疹と間違えて放置されることもあります。
注目すべき梅毒の高濃度アモキシシリン治療法など
このように梅毒の治療の際はアモキシシリンが高用量で処方されるケースがあることを頭に入れておかなければいけません。
アモキシシリンは梅毒の場合、通常の感染症と服用量が違います。
梅毒は性感染症であることから、デリケートな話題のため、患者が何の目的で処方されたのか話さないこともありますが、処方箋の内容でピンときたら、言葉に注意し、工夫しながら投薬することが大切です。
梅毒は注射で即日治療が可能です!予防もできます!
海外における標準治療のベンザチンペニシリン 240万単位 筋肉注射(早期:単回投与、後期:週1回3週間)の治療効果は、80~100%と報告されています。
日本性感染症学会 診断・治療ガイドライン2016では、アモキシシリン1500mg/日の内服を推奨していますが、臨床的な効果を示したエビデンスは乏しく、あまり報告がありません。
一方、英国の梅毒ガイドラインでは、ベンザチンペニシリンG(BPG)の代替薬としてアモキシシリン(AMPC)とプロベネシドの併用を推奨しています。
日本でもアモキシシリン(AMPC)3000mg/日とプロベネシドによる治療成功率が95.5%という報告があります。内服薬の1日量が2倍になりますが、投与期間が短縮され治療成績も良好です。
●神経梅毒の治療
ベンジルペニシリンカリウム(結晶ペニシリンGカリウム)を1日200~400万単位×6回
(すなわち1日1,200~2,400万単位を投与)を
点滴静注で10日~14日間投与します。
●先天梅毒の治療
ベンジルペニシリンカリウム(結晶ペニシリンGカリウム)の点滴静注を行います。
●HIV患者の梅毒治療については
世界的にはベンザチンペニシリン筋肉注射が標準的治療薬となっています。
●単回投与で感染性の高い第1期、第2期梅毒の治療が完了できます。
●日本では現在、長期間の内服が必要なため、内服コンプライアンスを保つ努力が必要となります。
●HIV患者の梅毒の治療におけるアモキシリン+プロベネシド内服投与の治療効果を検討した結果、
2015年に内服アモキシシリンにプロベネシドを加えた治療がHIV感染者の梅毒合併例に対して高い治癒率を示すとの報告がされています。HIV感染を合併した梅毒症例では、HIVを合併していない梅毒症例よりも治療効果が低いため、この研究成績は梅毒の治療に貢献できる可能性があります。
梅毒治療として国際的標準治療薬はベンザシンペニシリンGの筋肉注射ですが、日本では発売されていません。
そこで、日本でも梅毒をきちんと治療できないか、ということで考え出されたのがアモキシシリン+プロベネシドの併用療法です。
ペニシリンは腎臓から尿中に排泄される抗生物質です。また、プロベネシドは抗生物質であるペニシリンの排泄を抑制するために開発された薬とも言われています。
プロベネシドは高尿酸血症の治療薬ですが、アモキシシリンの尿排泄を抑制するという薬物相互作用があり、併用によりアモキシシリンの血中濃度を高く維持することが可能です。
プロベネシドを使用することでペニシリンが排泄されにくくなるため、病原菌に対抗しやすくなります。
●薬剤の適応や日本性感染症学会のガイドラインにはない投与方法ですから担当医個々の判断が求められますが、1日3gなどの高用量のアモキシシリンを1日750mgなどのプロベネシドと併用して早期顕症梅毒や早期無症候梅毒には2週間、晩期もしくは罹患時期の分からない無症候梅毒には4週間の投与を推奨する報告もあり、このアモキシシリンにプロベネシド併用する医療機関が増加傾向にあります。
ここで、高用量アモキシシリン+プロベネシドの駆梅療法を紹介いたします。
●早期顕症梅毒・早期無症候梅毒では1日3gの高用量アモキシシリンと1日750mgのプロベネシドの併用療法を行います。2週間内服投与します。
●晩期無症候梅毒・罹患時不明の無症候梅毒では1日3gの高用量アモキシシリンと1日750mgのプロベネシドの併用療法を行います。4週間内服投与します。
確かに"現在、日本ではベンザチンペニシリンが発売されておらず、世界的に行われている標準的な治療を行うことができません"
しかしながら、最近の梅毒患者の急増によりペニシリン系の筋肉注射を見直す気運が高まっています。
●2017年1月23日に「エイズ・性感染症に関する小委員会」が開催されました。〝梅毒に対するペニシリンGの筋注“について、国内でも使えるようにしてはどうかという提案がありました。
●現在、厚労省は、梅毒の感染拡大に対処するため、1回の筋肉注射で済むペニシリンGの必要性を性感染症の予防指針に盛り込む方向で調整中です。
●しかしながらまだまだ「(ペニシリンGも含めた)国際標準で使用されている薬剤が国内でも使えるようにすることが重要だという認識を共有した」というレベルであることがわかりました。
以上。