そのため、抗がん剤治療を行う上では、悪心・嘔吐をすることが重要です!!!


2件の大規模プロスペクティブ観察研究により、RINVの頻度と制吐のための手段に関する情報が提供されている。Italian Group for Antiemetic Research in Radiotherapyでは、さまざまな種類の放射線療法を受けている患者1,020人におけるRINVの発生率が解析された。全体では、吐き気および/または嘔吐は28%の患者で報告された。嘔吐の最初のエピソードまでの期間中央値は3日であった。制吐薬は、予防的に投与された12%およびレスキュー治療で投与された5%を併せて17%の患者で投与された。RTを受けた患者368人を対象にした2番目のコホートでは、全体の発生率は吐き気で39%および嘔吐で7%であった。下腹部および骨盤にRTを受けた患者(66%)の方が頭頸部にRTを受けた患者(48%)よりも吐き気の頻度が高かった。RT中の制吐薬は十分に処方されていない。


薬剤師のためのBasic Evidence(制吐療法) | 日医工株式会社

なおホスアプレピタントの海外第III相ランダム化比較試験として,中等度リスクの制吐薬治療における5-HT3 受容体拮抗薬とデキサメタゾン併用に対するホスアプレピタントの上乗せ効果が報告されている

RINVの病態生理学の理解は不完全である。セロトニン、サブスタンスP(substance P)、およびドパミンは、放射線誘発性の嘔吐に関与する神経伝達物質である。RINVは、化学療法誘発性のN&V(CINV)とかなり類似している。RINVにおけるセロトニン拮抗薬の有効性から、放射線誘発性の嘔吐におけるセロトニンの役割が支持されている。サブスタンスP拮抗薬はCINVと同様にRINVにおいて広く使用されている。前臨床研究から、RINVにおけるサブスタンスPの役割が示唆されている。サブスタンスP拮抗薬は、RINVに対する研究が始まったばかりである。サブスタンスPはRT実施後の長期のN&Vにおいて役割を演じている可能性がある。

悪心・嘔吐のメカニズムの解明に伴って,制吐薬が開発されてきた.1960年代には抗ヒスタミン作用と鎮静作用をも

基本的に5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾン6.6~9.9 mg を静注(8~12 mg を経口)の2 剤併用とするが,一部の抗がん薬(カルボプラチン,イホスファミド,イリノテカン,メトトレキサート等)を投与する場合にはアプレピタント125 mg 経口投与もしくはホスアプレピタント150 mg 静脈内投与の併用が推奨され,その際にはデキサメタゾンを減量(静注: 3.3~4.95 mg,経口: 4~6 mg)する(→参照)。また,わが国では400 例を超えるオキサリプラチン投与患者に対する第III相ランダム化比較試験が行われ,5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾン併用下において,アプレピタント/ホスアプレピタント群がコントロール群より全治療期間,特に遅発期の悪心・嘔吐の制御に優れることが示された

がん薬物療法で使用する基本的な制吐薬には5-HT3 受容体拮抗薬,NK1 受容体拮抗薬,デキサメタゾン,オランザピンの4 剤があり,これらを催吐性リスクによって使い分ける。催吐性リスクに応じた適切な制吐療法を行っているか,制吐療法実施のための体制が整備されているかは,重要な施設評価のポイントとなり得るので,施設全体で取り組む必要がある。

投与していない別の作用機序をもつ制吐薬(ハロペリドール,メトクロプラミド.

催吐性は抗がん薬の種類,投与量,併用抗がん薬によって異なり,本ガイドラインでは に示すようなリスク分類を行っている。ほとんどの薬剤は単剤での分類となっているが,乳がん領域で多く使用されるアントラサイクリン系抗がん薬とシクロホスファミドはともに中等度催吐性リスク抗がん薬であるが,両者を併用する場合は高度催吐性リスクに分類している。また,多くのがん薬物療法では多剤併用療法が用いられており,使用薬剤の中で最も高い催吐性リスクの抗がん薬に合わせた制吐療法が推奨される。具体的には,原発臓器別の治療レジメン一覧(→ 参照)を参考としていただきたい。また,新規抗がん薬を検証する臨床試験においては,ガイドラインで推奨する制吐療法と異なる制吐療法が使用されることもあるが,その新規抗がん薬を投与する際には臨床試験で用いた制吐療法を行うことは許容される。

また,制吐療法以外の支持療法や併存症に対する治療薬を併用している場合も多く,薬物相互作用によるそれぞれの薬効の変化も考慮した薬剤選択や用量調整が必要である。

突出性悪心・嘔吐に対しては作用機序の異なる薬剤を投与することが好ましい 7)。

放射線療法(RT)は、がん患者における吐き気と嘔吐(N&V)の重要な原因の1つである。複数の観察研究により、RTを受けている患者においてある程度のN&Vが起こる全累積発生率は80%に及ぶと示唆されている。N&V発生に対する危険因子が明らかになっている。放射線誘発性のN&V(RINV)はQOLを悪化させることで、治療の遅延や予約のキャンセルに至り、がんの制御に支障を来す。

薬剤の催吐性リスク分類は単剤での評価が基本であるが,同一薬剤であっても投与量,投与法によって異なり,さらに近年ではいずれの悪性腫瘍においても多剤併用療法が主流となっているため,催吐性リスクが過小評価とならないよう細心の注意を払うべきである。この点に関して,アントラサイクリンとシクロホスファミドの併用療法について,それぞれ単剤(シクロホスファミド≦1,500 mg/m2)では中等度リスクに分類されるが,NCCN ガイドライン2017 では高度リスク群として明記され,MASCC/ESMO ガイドライン2016 およびASCO ガイドライン2017 においても嘔吐頻度が高いことが示されている〔→参照〕。さらに,抗がん薬を複数日にわたって施行するレジメンの場合,薬剤の投与順序に応じて急性嘔吐と遅発性嘔吐が重複する場合もあり,より綿密な治療計画が望まれる。その一例としてリンパ腫におけるESHAP 療法では,1 日目から4 日目は中等度リスクとして対処し,高用量シタラビンが投与される5 日目以降は高度リスクとして対処する。


[PDF] 選択的NK1受容体拮抗型制吐剤 アプレピタントカプセル

段階的な筋弛緩法として誘導イメージ法、催眠、および系統的脱感作は、予測性のN&V(ANV)に対して最も頻繁に研究されており、この古典的条件付けによる反応に対して推奨される治療法である。(詳しい情報については、本要約ののセクションを参照のこと。)

(Cyclophosphamide)という2種類の異なる作用機序の抗がん剤を組み ..

NK1受容体拮抗薬であるアプレピタント125 mg 経口投与もしくはホスアプレピタント150 mg 静脈内投与と5-HT3受容体拮抗薬およびデキサメタゾン9.9 mg 静注(12 mg 経口)の3 剤併用が推奨される。第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンの2 剤併用に比べ,アプレピタントを加えた3 剤を併用することで制吐作用の著しい改善が示されている。第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬(→ 参照)は,単剤間の直接比較およびデキサメタゾン併用下での比較において,薬剤間またその投与経路によって効果に大きな差はなく,用量や投与回数の影響を受けないことから,抗がん薬投与開始前に必要量を単回投与とする。第2 世代5-HT3受容体拮抗薬のパロノセトロンは,単剤間の直接比較およびデキサメタゾン併用下での比較において,急性嘔吐の予防効果は他薬剤と同等であるが,遅発性嘔吐の予防において優れている(→ 参照)。デキサメタゾンの用量(→ 参照)については,第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬との2 剤併用では13.2~16.5 mg を静注(16~20 mg を経口)とされてきたが,アプレピタントとの併用では,アプレピタントがCYP3A4 を阻害することによりデキサメタゾンの濃度-時間曲線下面積(area under the concentration-time curve; AUC)が増加するため,3 剤併用では9.9 mg 静注(12 mg 経口)に減量する。ただし,副腎皮質ステロイドが抗がん薬として投与されるCHOP 療法などではレジメン内のステロイドは減量してはならない。アプレピタントの投与期間は3 日間が推奨される。ホスアプレピタントはアプレピタントの水溶性を向上させたリン酸化プロドラッグであり,静脈内投与後に体内の脱リン酸化酵素によって速やかに活性本体であるアプレピタントに変換される。ホスアプレピタントはオンダンセトロン,デキサメタゾンとの3 剤併用でアプレピタントとの同等性が示されており,5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾン併用下での抗がん薬投与30 分前,150 mg の単回使用が推奨される。ただし,副作用として注射部位痛/発赤/血栓性静脈炎の頻度が高いことに留意すべきである。

時には、作用機序の観点から、傾眠、鎮静、めまい、頻脈、起立性低血圧等の有害事象が多

経口抗がん薬による催吐性リスクについては に示す。経口抗がん薬は近年,数多く製造販売承認されており,悪心・嘔吐を含む有害事象の情報を集めたうえで適切な制吐療法を行う。

相補的な作用機序をもたらす。また、5-HT3 受容体拮抗薬およびコルチコステ

抗がん薬投与後,24 時間以内に出現する急性嘔吐は,抗がん薬の治療アドヒアランスを妨げる最も大きな要因の一つであり,その予防制吐効果の成否は遅発性嘔吐の治療効果にも影響を及ぼす。したがって,特に催吐性リスクが高度および中等度の抗がん薬投与に際しては,急性嘔吐を未然に防ぎ,さらに遅発性嘔吐の治療反応性を良好に保つためにも,積極的な制吐薬の投与を行う必要がある。以下に急性嘔吐の予防を目的として,抗がん薬投与前に行うべき対処を催吐性リスク別に概説する。

ロイドであるデキサメタゾンのシスプラチン誘発性の急性および遅延性の嘔吐

特に副作用に関しては、その発生メカニズムや対処法を詳しく説明します。また、自己判断によるステロイド薬の減量や中断が悪化を招く可能性についても、患者や家族に納得いくまで説明します。

さらに、作用のメカニズムが違うステロイド剤のデキサメタゾン(商品名 ..

全般的に、これらの制吐薬の併用は耐容性が高く、ほとんどの副作用はデキサメタゾンが関与している;さらに、薬物相互作用は当初は懸念されていたが、それらは臨床的には重要ではないようである。また、嘔吐は吐き気(引き続き、多くの患者にとって困難な問題となっている)よりもはるかに十分な程度に制御される。最後に、1件の第III相ランダム化試験では、メルファランの大量投与および自家幹細胞移植を受けた多発性骨髄腫患者における、CINV予防を目的としたアプレピタント、グラニセトロン、およびデキサメタゾンの使用が検討された。3剤レジメンを受けた患者では統計的にプラスの便益が得られ、副作用の増加も認められなかった。

基本的には、手術終了時やその終了直前に制吐剤投与を行いますが、デキサメタゾン ..

最も重要な因子は、放射線照射野であると考えられる。では、Multinational Association of Supportive Care in Cancer(MASCC)、European Society for Medical Oncology(ESMO)、および米国臨床腫瘍学会(ASCO)によって提唱されたリスクカテゴリーを示す。この分類では吐き気のリスクは検討されていない。RTで治療されている患者のN&Vのリスクは、特定のRTレジメンの催吐性に加えて、他の複数の因子によって異なる。患者特異的な因子としては、以下が挙げられる:

器症状(悪心・嘔吐) 16 外科疾患 副腎摘除、副腎皮質機能不全患者 ..

全身照射を併用するまたは併用しない大量化学療法期間中の嘔吐の予防は引き続き、患者ケアにおける挑戦的な分野となっている。現在のは主として、1日の治療を扱っている;また、この状況において用いられる複数日間の化学療法または放射線療法に対する嘔吐の予防は1日の治療経験に基づいており、これらの患者に対する症状管理を改善するためには、追加の研究が必要である。こうしたことから、セロトニン拮抗薬 + デキサメタゾンの毎日の投与にNK-1受容体拮抗薬が追加されるようになっている。CR率は30%と低く、最適な併用方法を明らかにすべく追加の証拠が必要である。また、証拠は主にアプレピタントに関するものである;新たなNK-1受容体拮抗薬により追加の有益性が得られうる。

悪心の誘発機序について嘔吐と明確に区別して解明することを目的としてラットを用 ..

抗がん薬の催吐性リスクは,高度,中等度,軽度,最小度の4 段階に分類される。良好な治療アドヒアランスを得て,がん治療を円滑に進めるためにも,催吐性リスクの適正な評価と個々の症例に応じた予防的対処を行う必要がある。

・, オピオイド、NSAIDs、抗生物質、ジギタリスなど催吐作用のある薬剤

臨床試験では抗がん薬による悪心・嘔吐の評価方法として,主に有害事象共通用語規準(CTCAE:Common Terminology Criteria for Adverse Events)が用いられているが,その評価は医療従事者側の評価であって患者自身の主観的な評価ではないことに注意する必要がある。また,抗がん薬投与開始後,急性期(0~24 時間),遅発期(24~120 時間),全期間(0~120 時間)の悪心・嘔吐の評価方法()が臨床試験で用いられてきたが,医療従事者による過小評価の問題等,評価の妥当性は十分とはいえず,患者自身による正確な評価方法の開発が重要になっている(→ 参照)。近年は電子デバイスを用いた患者自身による症状評価(ePRO:electronic patient-reported outcome)を用いた「制吐療法の研究」が行われるようになっており,実臨床への導入に向けた取り組みが進んでいる。

海外においてイスツリサ錠はコルチゾール生合成を阻害する作用機序からクッシング症候群に対する治療薬としての開発が進め ..

胚細胞腫瘍に対して5日間のシスプラチンベースの化学療法を受けた患者において、アプレピタント、5-HT3受容体拮抗薬、およびデキサメタゾンに関するランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験が実施された。経口アプレピタントは3日目に125mg投与された後、4~7日目は80mgで毎日経口投与された。アプレピタントではプラセボと比較してはCRを達成した患者が多かった(42% vs 13%、P 3受容体拮抗薬およびデキサメタゾンと3日目と5日目に投与するIVホスアプレピタント 150mgとの併用を評価した1件の小規模試験で、このIVホスアプレピタントの使用が研究された。予備的結果で28.1%のCR率が示されたが、これは同じ施設で実施された経口アプレピタントの試験結果よりも低かった。