膵臓がん 治療:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]


1997年に出された論文で、膵臓がんに対する有用性が確認されて以来、ゲムシタビンは膵臓がんに対する世界的な標準治療薬と位置づけられていました。ゲムシタビンは、膵臓がん患者様の生命予後を延長させるとともに、症状を緩和する効果(クリニカル ベネフィット)が得られることより、今日でも世界中で最も使用されている膵臓がんの抗がん剤と言えるでしょう。しかしながらその効果は限定的であり、腫瘍が縮小する方は5%であり生存期間中央値は5.7か月と報告されています。そのため、ゲムシタビンに何らかの治療薬を追加し、ゲムシタビンの効果をより強く、長くしようとする試みが長年続けられてきました。
2005年にエルロチニブゲムシタビンと併用することで、予後改善効果が報告されました。しかし、エルロチニブと併用することで間質性肺炎の副作用が増加すること、肺がんと異なり効果的な患者さんの特徴がはっきりしないこと、また併用する方の予後の延長期間は、ゲムシタビン単独と比較して約10日間であったことなどより、実際にはエルロチニブが追加投与されることは現在ではあまりありません。
2013年になりゲムシタビンに、nab-Paclitaxelを併用することで、ゲムシタビン単独よりも生命予後が延長すると報告されました。ゲムシタビンが世の中に登場してから、16年かかったわけです。nab-PaclitaxelはもともとあったPaclitaxelを改良したものです。Paclitaxel は、アルコールとヒマシ油に溶解した抗がん剤であり、アルコールに弱い方やアレルギー反応が比較的出やすい抗がん剤でした。nab-Paclitaxelは、アルブミン(血液製剤)に溶かすことでこれらのリスクが回避されました。また、併用することで腫瘍内におけるゲムシタビンの濃度が上昇するとも説明されており、ゲムシタビンと相性の良い組み合わせといえます。現在ではゲムシタビンとnab-Paclitaxelの併用療法は、切除不能膵がんの標準治療となりました。


1) (P)RRの発現が増えると、正常の膵臓の細胞が癌細胞の性質を持つようになる

膵臓がんは、5年生存率が10%以下とがんの中で最も予後が悪い難治性のがんのひとつであり、有効な治療法の開発は喫緊の課題と考えられています。手術による腫瘍の切除は、膵臓がんの重要な治療方法ですが、診断がついた段階で手術できる患者さんは約20%に過ぎず、切除できても術後の再発率が高く、術後の5年生存率は20~40%と不良です。そのため、ほとんどの膵臓がん患者さんに対して5-FUやゲムシタビンなどの抗がん剤による薬物治療を行いますが、いまだに効果は限られています。現在使用されている抗がん剤には2つの課題があります。がん細胞が抗がん剤に対する耐性を獲得することにより効果を失ってしまうことと、抗がん剤が正常細胞に毒性を示してしまうことです。そこで本研究では、膵臓がん細胞が抗がん剤耐性を獲得するメカニズムを解明し、膵臓がん細胞のみで効果を発揮する治療薬を見つけることを目的としました。

「からだにやさしい膵臓癌(膵臓がん)治療」である高度活性化NK細胞療法はリンパ球に含まれる免疫細胞の一つで、生まれつき(ナチュラル)外敵を殺傷する(キラー)能力を備えている「ナチュラルキラー(NK)細胞」を最新の培養技術で2週間ほど無菌状態で個人差がありますが数百倍から数千倍に増殖・活性化し、再び患者さんの体内へ戻すという療法です。

膵臓がん 検査:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

全国がん罹患モニタリング統計によると、膵臓癌の罹患数は男女共通では大腸癌、肺癌、胃癌、肝臓癌、に続き5位(年2~3万人)。女性の場合は乳癌との間で4位、5位を争っている順番になります。
まだまだ5位と言っては語弊がありますが、それではなぜ上位に君臨する他の臓器がん並み、もしくはそれ以上に注意しないといけないかといいますと、膵臓癌は予後の悪さでは断トツで首位に君臨し続けているからであります(表1、2)。膵臓癌の診断をうけ5年以上生存出来る方はわずかに7%と言われています。

標準的な膵臓癌(膵臓がん)治療(抗ガン剤など)と高度活性化NK細胞療法の併用

身体や白目が黄色くなる黄疸. 膵がんが大きくなり胆管がつまってくると、胆汁の流出が妨げられて黄疸が出現します。

その理由は膵臓癌の細胞自体の悪性度の強さ(成長の早さ)が原因でもありますが、それだけではありません。先にも述べたように膵臓は細長い臓器で一番太いところでも2cm前後程度しかないため、すぐはみ出てしまいます。そして周囲には肝臓へ栄養を送る太い血管(門脈)をはじめ細い動脈が多数張り巡らされているため、周囲の血管を巻き込む・癌が血流にのり全身転移をする、また、お腹のなかで一番背中側に位置し、さらにその上(腹部側)を大腸や胃で覆い隠されているため見つかりにくい(図2)など、予後を悪くさせる条件が揃っていると言っても過言ではありません。

高度活性化NK細胞療法は「化学療法(抗ガン剤)」など標準的な膵臓癌(膵臓がん)治療を妨げない治療法ですので、標準的な膵臓癌(膵臓がん)治療と併用ができ、抗ガン剤などのデメリットを高度活性化NK細胞療法が補完し、膵臓癌(膵臓がん)治療全体の効果を上げることが期待できます。

膵臓(すいぞう)がんになりやすい人とは?リスク因子10項目を解説

フッ化ピリミジンという薬剤の飲み薬で、胃癌、大腸癌、乳癌など様々ながんに使用されています。
日本で行われた臨床試験により膵臓がんに対するTS-1ゲムシタビンと同様の効果が認められることが証明され、標準治療のひとつとして考えられています(2011年米国臨床腫瘍学会:ASCOで発表)。
またゲムシタビンS-1併用して治療するGS療法も同様な治療効果が認められており選択肢の一つとなります。また最近の報告で、切除可能膵がんに対して、術前補助化学療法としてGS療法を行ってから手術を行うと、何もせず手術を行った患者さんより生存予後が延長するという研究が日本から発表され、GS療法は改めて注目されている治療方法です。またS-1は、術後の補助化学療法として、6か月間内服することで、ゲムシタビンを6ヶ月行うよりも、生命予後が延長すると報告されており、現在では、膵臓がんの手術を受けた患者さんのほとんどが、術後にS-1の半年の内服が勧められていると思います。

膵臓がんをはじめとする難治がんの特徴の一つは、がん細胞の量と比べて間質の量が非常に多く、その間質中に多くの線維芽細胞の増生を伴うことです(図1)。線維芽細胞は私達の身体のすべての臓器に存在し、それらの形や構造の維持に必須の細胞です。がんが発生すると、がん細胞から産生される様々な因子によって線維芽細胞が増えることが知られています。このような線維芽細胞はがん関連線維芽細胞(CAF: cancer-associated fibroblast)と呼ばれ、がんの悪性化と治療の抵抗性に関与することが多くの研究で示されています。例えば、CAFはコラーゲンなどの多くの細胞外基質を産生し、がんの間質を非常に硬くします。この結果、血管がその圧によって押しつぶされてしまい(虚脱)、抗がん剤の効率的な浸透を妨げることが明らかにされています。血管が押しつぶされることは、がん組織の低酸素状態も誘導し、さらに、がん細胞の悪性度を上昇させることも知られています。また、間質の硬度の上昇自体も、がん細胞の増殖や浸潤能(周囲組織にひろがる能力)を上昇させる因子の一つです。加えて、CAFは多くの増殖因子を産生し、これらはがん細胞に作用してその増殖や浸潤を促進する機能を有する他、抗腫瘍免疫応答を抑制します。このように、CAFは、がん細胞の悪性化を促進する機能を有しており、現在、多くの製薬企業がCAFを標的とした新規治療法の開発を目指しています。


がんサバイバー (60代 膵臓がんステージⅣ)の1日の食事と運動

実際には主治医と日比谷内幸町クリニックが連携して、2ヵ所の医療機関が別々の角度から膵臓癌(膵臓がん)にアプローチできる体制を構築し、膵臓癌(膵臓がん)克服を目指していきます。

がんサバイバーとは、がんが治癒した人だけではなく、がんの診断を受けた時から死を迎えるまでの全ての段階にある「がんの経験者」を指します。

血液検査で膵臓の酵素や腫瘍マーカー値、ビリルビン値の動きをみることにより膵臓機能の異常、膵がんを発見できることがあります。

抗がん効果を狙ったサプリメントは旗色が悪い。しかし、その中で希望の星と目されているものの1つが「メラトニン」だ。 ..

膵臓癌は早期ではほとんど症状がなく、症状が出現する頃にはかなり進行しています。膵頭部(オタマジャクシの頭側)に癌が発生すると皮膚や目が黄色くなる黄疸が生じることがありますが、膵体尾部(オタマジャクシの尻尾側)に発生した癌はかなり大きくなるまで症状が出にくいです。そしていずれの部位にできた癌も癌が大きくなり、周囲の組織に広がると、ようやく腹痛や背部痛として症状が出現します。また体重減少や、食欲減退、糖尿病の発症(悪化)等もこの頃から出現します。しかし、このような症状が出現した頃には手術で切除することができない状態になっています。
膵臓癌を早期発見するためには、まず膵臓癌の発症リスクを知って自分にそのリスクがあるかどうかを知ることが重要です。

膵臓がんと肝臓がんについて最近の話題 ~診療ガイドラインを中心に

2011年フランスのグループからFOLFIRINOX療法の有効性、安全性に関する論文が報告されました。FOLFIRINOXとはフッ化ピリミジン(5FU)イリノテカン(商品名 トポテシン)、オキサリプラチン(商品名 エルプラット)という3つの抗がん剤を併用投与する治療法です。FOLFIRINOX療法はそれまでの標準治療であるゲムシタビンの単独投与に比べて2倍に迫る生存期間の延長が確認され、新たな標準治療となりました。3剤併用という厳しい治療ではありますが、副作用は対応可能な範囲であり、全身状態が良好な切除不能膵臓がんには標準治療といえるでしょう。FOLFIRNOXは、副作用が比較的多くみられることより一次治療(最初に行う抗がん剤)として行われることが多いですが、時に、二次治療として実施されることもあります。患者さんの体調による影響が大きいですが、減量することや治療のスケジュールを考慮すれば利益が得られる方もいらっしゃることを、われわれは報告してきました1)。一方で、一次治療としてもあまり適切ではない方もいらっしゃることもあり、明確な指標がないことが問題でした。そこでわれわれは、当院のデータをもとに、FOLFIRINOXを受けた患者様の筋肉の量や脂肪量を調べると、生命予後や副作用と関連があることが分かり報告してきました2)

プレスリリース>「膵臓がんの進行を食い止める糖鎖の目印を発見」

一方、5年ほど前、膵臓がん発症マウスモデルを用いた研究により、CAFはむしろがんを抑制する機能を有する細胞である、とそれまでの仮説とは相反する複数の研究結果が発表され、「CAFはがんの味方か敵か」という議論がなされるようになっていました。現在では、CAFは免疫細胞と同様に多様性に富む存在であり、がんにとって味方である「がん促進性CAF」とがんにとって敵である「がん抑制性CAF」の両者が存在する、という仮説が提唱されています[参考文献1]。しかしながら、後者の細胞の本態や特異的マーカー分子(その細胞の旗印となる遺伝子やタンパク質)は明らかではありませんでした。

1) ゲムシタビン(GEM)+ナブパクリタキセル(nab-Paclitaxel) ..

PETをすればよいのでは?と言われますが、残念ながら膵臓癌ではPETで見つかる大きさでも既に進行がんであることが多くそれでは不十分であります。また膵臓癌の約6割の方は糖尿病も併発されており、血糖が高いとPETの診断率が落ちてしまいます。
それではどのくらいの状態で膵臓癌を見つければ長生きできるのか?
表3は当科における各Stageにおける生存期間をグラフにしたものですが、塊になる前の上皮内がんという状態で膵臓癌を見つけないとなかなか長期の予後が望めないということになります。

[PDF] オキサリプラチンで 膵臓がんの治療を 受ける患者さんへ


膵臓は、私たちの体では胃の裏側に位置する、20cmほどの横に長い臓器です。
血糖をコントロールするインスリンや食物の消化を促進する、「膵液」と呼ばれるとても強い消化酵素を分泌し、栄養吸収を管理する大事な臓器となっています。

2週間を1サイクルとして、下図の投与を繰り返します。 出典 ニプロ株式会社:FOLFIRINOX 療法(治癒切除不能な膵癌)適正使用情報

「外科療法(手術)」、「化学療法(抗ガン剤)」、「放射線療法」などの標準的な治療で膵臓癌(膵臓がん)の進行が食い止められなかった場合でも、採血が可能であるならば、高度活性化NK細胞療法は治療が可能です。

― 糖尿病と膵がんに関係性はありますか? 糖尿病は血糖値が高くなる病気です。従って、膵がんの発症

①家族歴:家族に膵臓癌のある人がいる。
②糖尿病:約2倍リスクが高くなる。特に最近発症した糖尿病や、糖尿病の急な悪化は膵臓癌が併存している可能性がある。
③喫煙:約1.7-1.8倍リスクが高くなる。
④肥満:約1.3-1.4倍リスクが高くなる。
⑤飲酒:約1.1-1.3倍リスクが高くなる。
(1日あたりビール 約500~1000ml摂取)
⑥遺伝性膵炎:アルコールや胆石症以外が
原因の膵炎を若い時に発症したことがある。
⑦慢性膵炎:慢性膵炎と診断されて2年以上経過後に膵臓癌の発症が増える。
⑧膵のう胞:膵臓の内部や周囲にできる様々な大きさの「袋」が時間経過とともに大きくなり、癌に進行することがある。膵のう胞は膵臓癌のリスク因子として経過観察を行う必要がある。

を培地に加えることで、膵臓がん(注 2)細胞の増殖が抑制されることを発

標準的な膵臓癌(膵臓がん)治療はいずれも何らかの副作用を伴いますが、高度活性化NK細胞療法はそれ以上の副作用を起こすことなく標準治療の効果を高めることが期待出来ます。抗がん剤との併用により膵臓癌(膵臓がん)を克服された患者様がいらっしゃいます。
詳細については、膵臓癌(膵臓がん)の治療事例をご覧下さい。

ここ10年間の膵癌切除例の5年生存率は30%程度まで向上してきており、最近5年間に限ればさらに向上しています。 △ページトップ△

膵臓がんの中にはIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)と呼ばれる腫瘍性の膵嚢胞から発生するものがあります。

すい臓がんに効く抗がん剤をニトロ化合物から作り出す | 夢ナビ講義

本研究チームは、以前に間葉系幹細胞のマーカーとして同定されたMeflin(メフリン)と呼ばれる膜型分子が[参考文献2]、膵臓がんのCAFの一部の種類に発現していることを明らかにしました(図2)。