ガイドラインでの推奨量は、AMPCまたはABPCとして1500~2000mg/日に相当する。
【耐性の機序】
①β-ラクタマーゼ産生 (TEM-1と ROB-1のいずれか)
②fts-1遺伝子の変異(ペニシリン結合蛋白3の変化によりアンピシリン・アモキシシリンに耐性となる。アメリカでは稀だが日本で多い)
β-Lactamase Producing Ampicillin Resistant (BLPAR) ① AMPC/CVA ABPC/SBTで治療可能
β-lactamase negative and ampicillin resistant (BLNAR) ② AMPC/CVA ABPC/SBTに耐性。
β-Lactamase Producing Amoxicillin/Clavulanate Resistant (BLPACR) ①+②両方の耐性機序を持つ。
ABPC(含む誘導体)・AMPCが無効であるクレブシエラ属、プロテウス・ブルガリス ..
ペニシリンG(PCG)は抗菌スペクトルは狭いですが、抗菌活性※2は高く、第一に使い方を覚えるべき抗菌薬です。半減期が約30分と短く時間依存性※3の抗菌薬であり、1日4~6回の頻回投与または1日必要量を2~3分割して持続投与を行います。PCG 100万単位を重さに換算すると約0.6 gとなります。最大用量である2,400万単位=14.4 gと概算すると投与量をイメージしやすいと思います。
インフルエンザ桿菌は耐性機序により大まかに4種類に分類される。もともとインフルエンザ桿菌にはアンピシリンが有効であった(BLNAS)。しかし、抗菌薬の普及とともに、βラクタマーゼを産生しアンピシリンへの耐性を獲得した(BLPAR)。BLPARにはラクタマーゼ阻害薬との配合剤であるアンピシリン・スルバクタム等が有効である。さらに、βラクタマーゼを産生せず、ペニシリン結合タンパクそのものが変異した耐性株が出現した(BLNAR)。これはアンピシリンはもとより、第二代セフェム系薬にも耐性であり、セフォタキシムなどの第三代セフェム系薬が有効である。また、βラクタマーゼを産生するにもかかわらず、βラクタマーゼ阻害薬のクラブラン酸が効かない耐性株も存在する(BLPCR)。
[PDF] セフェムアレルギーと βラクタム系抗菌薬の使用(交差反応)
最初からAMPCまたはABPC常用量を5日間投与し、改善がなかった場合、薬剤感受性を考慮して、①AMPCまたはABPC高用量、②CDTR-PI,CFPN-PI,CFTM-PIの高用量のいずれかを5日間投与する。
これらの治療で改善がみられなければ感受性を考慮した上で、①経口カルバペネム常用量あるいは、②AMPCまたはABPC高用量、③CDTR-PI,CFPN-PI,CFTM-PIの高用量のいずれかを投与する。
生 ABPC 耐性(BLPAR),BL 非産生 ABPC 耐性(BLNAR),BL 産生 AMPC/CVA 耐性(BLPACR)など,様々
初期治療から①AMPCまたはABPC高用量、②CDTR-PI,CFPN-PI,CFTM-PIの高用量のいずれかを5日間投与し、改善がみられなければ中等症治療の最終段階の薬剤を投与する。
※セフェム系薬CDTR-PI,CFPN-PI,CFTM-PIの常用量では、ペニシリン低感受性菌(PISP)や耐性菌(PRSP)、β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性菌(BLNAR)の最小発育阻止濃度(MIC)を超える血中濃度を維持できない。
[PDF] 抗菌薬中止にて再燃を繰り返した肺放線菌症の 1 例
ペニシリン系抗菌薬(以下、PC薬)は人類が手にした初めての抗生物質です。1928年に英国のフレミングが発見しながら精製は出来なかった抗菌作用のある物質を、1940年に英国のフローリーとチェインが精製に成功したのがPC薬の歴史の始まりです。PC薬は、抗菌活性の本体である4員環のβ-ラクタム環に5員環のチアゾリジン環(6-APA)が接合した化学構造を持ち、β-ラクタム環の側鎖などを中心に様々な化学修飾を行うことが出来るため、多くのPC薬が実用化されました。さらにその後、セフェム系薬やカルバペネム系薬など様々なβ-ラクタム系薬、およびそれ以外の様々な系統の抗菌薬が開発される端緒ともなったのですが、PC薬は抗菌活性の及ぶ範囲がやや狭いこと(狭域スペクトラム)もあって、その有用性は過小評価されるようになりました。しかし、広域スペクトラムで強力な抗菌活性を有する新たな抗菌薬が広範に使われるに及んで耐性菌が増加したため、PC薬は再評価されるに至っています。筆者はPC薬を5つのグループに分けて考えていますが、この群別を知ることで効果的なPC薬の選択が可能になります。
PC薬の第1群はベンジルペニシリン(PCG)に代表される古典的なPCsです。高い効果を挙げましたが、グラム陽性球菌にのみ抗菌活性を示し、β-ラクタマーゼ、特にペニシリナーゼ(PCase)に加水分解される弱点があります。また、PCGは胃酸に不安定で経口吸収率が低い欠点があり、その点を改良した経口用半合成PCsが3剤実用化されています。PC薬の第2群は、1950年代に問題となったPCase産生ブドウ球菌に対して開発されたメチシリン(DMPPC)がその代表であり、PCaseに安定で分解されません。DMPPCは酸に不安定で経口では使用出来ませんが、経口使用が可能な4剤が実用化されています。ただ、抗菌スペクトラムはいずれもグラム陽性球菌に限定されます。
ペニシリン系抗生物質:アモキシシリン・アンピシリン(ABPC・AMPC)
「CTRX+CAZ」のスペクトラムを持つ、幅広い菌種に活性がある広域抗菌薬です。
発熱性好中球減少症(FN)などの経験的治療として開始することが多い便利な薬剤ですが、培養結果に応じて狭域抗菌薬に変更することも検討しましょう。
[PDF] 外来での抗菌薬適正使用手引き (成人編 第 5 版 2024.1)
一次損傷の原因があれば、除去します。経験的に、アモキシシリン、サルファ合剤、第一世代セファロスポリンなどの嫌気性菌に有効な広域スペクトルを持つ抗菌薬が、常在細菌叢の異常増殖に続発する上部気道の治療に処方されます。治療期間の目安は、1~2週間ですが、骨軟骨炎と推測される慢性鼻炎を呈するようなら、4~6週間の投与を行いましょう。症状が治まっても、2週間は処置した方がいいでしょう。慢性鼻炎には、クリンダマイシンがいいようです。嫌気性菌とグラム陽性菌が主な細菌叢で、クリンダマイシンは、軟骨や骨組織に浸透しやすいようです。
[PDF] 歯周病患者における抗菌薬適正使用のガイドライン 2020
消化器症状
悪心・嘔吐:とくにベンジルペニシリンやアモキシシリンで多く起こります。
下痢:抗菌薬自体の副作用だけでなく、()感染症によるものもあります。
①横隔膜より上、すなわち口腔内の嫌気性菌が関与する感染症に対しての抗菌薬は、アンピシリン/スルバクタム(ABPC ..
日本感染症学会専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会指導医。東北大学加齢医学研究所抗感染症薬開発寄附研究部門教授・日本感染症学会理事・日本結核病学会理事長・日本化学療法学会理事長を歴任。2013年、結核医療とインフルエンザ医療に関する貢献で第65回保健文化賞,2017年、抗インフルエンザ薬の臨床開発とインフルエンザ感染症対策の推進への貢献で日本化学療法学会の第28回志賀 潔・秦 佐八郎記念賞を受賞している。
S/A:スルバクタム/アンピシリン,C/A:アモキシシリン/クラブラン酸,
急性咽頭炎、急性鼻副鼻腔炎、急性気管支炎への抗菌薬の処方は、ムダな買い物
ABPC:アンピシリン、AMPC:アモキシシリン、CDTR:セフジトレン、CFPN:セフカペン、CFTM:セフテラム(出典:「急
緑膿菌を含むグラム陰性桿菌を広くカバーする薬剤です。
βラクタム系薬剤ですが、ペニシリン系/セフェム系アレルギーがあっても使える薬剤です(例外:CAZとは側鎖が同じなので避けるべきです)。
アンピシリン(ABPC)とアモキシシリン(AMPC):広域ペニシリン
◆数ある抗菌薬の中から、どんな患者に対して、どの抗菌薬をどう投与するのか、その判断の肝(きも)となる部分をわかりやすく解説!
◆長年にわたり抗菌薬・感染症診療業界をけん引してきた筆者が理路整然と語りかける、若手医師にとって至高の一冊。
PIPC:ピペラシリン、ABPC:アンピシリン、AMPC:アモキシシリン 、ASPC:アスポキシシリン
5~7日間は、抗菌薬を非経口的に投与しましょう。その間に、培養と感受性試験を行って、結果に基づいて経口薬を選択していくといいでしょう。抗菌薬の服用は、少なくとも4~6週間、継続します。確認のため、投与終了後1週目と4週目に、血液の培養を実施しておくといいでしょう。細菌性心内膜炎の犬や猫は、感染による心臓弁膜障害が残るので、治療しても、予後不良です。
[PDF] ER ICUにおける抗菌薬の種類と使い方(2023年11月13日)
非常に広い抗菌スペクトラムを持つ薬剤です。
むしろこの薬剤が効かない菌を覚えておくべきです(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、、コリネバクテリウム、マルトフィリアなど)。セフェビム(CFPM)と同様、培養結果が判明しだい狭域抗菌薬に変更するべき薬剤です。
[PDF] アモキシシリン水和物 小児感染症に対する最大投与量の変更
緑膿菌を含むグラム陰性桿菌に対してのみ抗菌活性があり、グラム陽性菌には無効です。SPACEの菌を選択的に狙いたいときに使用することが多い薬剤です。
アモキシシリン水和物として、通常成人1回 250mg(力価)を
急性上気道炎(かぜ)の原因はウイルス(アデノ、インフルエンザ、ライノ、コロナなど)であり、細菌ではないため抗生剤は効果がありません。不要な抗生剤の内服は、効果がないところか、体内に薬剤耐性菌を誘導してしまう恐れがあります。薬剤耐性菌を保菌していると本当に抗菌薬が必要な時、例えば手術や菌血症などの重症細菌感染症にかかった時に、抗菌薬が効かなくて治療に難渋します。世界的に多剤耐性菌が出現し、効果のある抗菌薬の種類は減っている一方で、新規の抗菌薬の開発は限界にきているともされています。いまある抗菌薬を適切に使用して、耐性菌を作らない取り組みがクリニックなどの日常診療でも必要です。実際、小児科の外来では、抗生剤を使う場面は限られています。薬剤耐性菌からお子様を守り、無用な薬剤耐性菌を作らないためにクリニックでは、抗菌薬は、本当に感染症が疑われるときのみに限定して処方するようにしています。
体内でSBTとABPCに分かれる BLNAS,BLPARに有効
注射用PC薬は薬剤あるいは疾患ごとに考えます。Viridance Streptococciによる感染性心内膜炎に対しては、ベンジルペニシリン(PCG)の最小発育阻止濃度(MIC)を見極めながら、PCGとゲンタマイシン(GM)を併用投与します。PC感受性の肺炎球菌や髄膜炎菌による髄膜炎に対しては、ABPCあるいはPCGの投与が標的治療となり、リステリア・モノサイトゲネスによる場合はABPCの投与がやはり標的治療となります。院内肺炎や医療・介護関連肺炎では、耐性菌リスクがない場合はスルバクタム/アンピシリン(SBT/ABPC)が、リスクがある場合や緑膿菌も想定される場合にはタゾバクタム/ピペラシリン(TAZ/PIPC)がエンピリック治療の有力な選択肢になります。TAZ/PIPCは他に、免疫不全例の敗血症や好中球減少性発熱などで緑膿菌も想定される場合に選択肢となります。
具体的には、アモキシシリン水和物(AMPC)とβラクタマーゼ阻害薬 ..
猫では、ボルデテラ・マイコプラズマ・クラミジアが、上部気道に感染することがあるので、広域スペクトルの抗菌薬には反応しないことがあります。その場合、ドキシサイクリン・アジスロマイシン・クロラムフェニコール・キノロン類を投与します。バルトネラ症は、ドキシサイクリンに反応しないことがあって、その時にはアジスロマイシンを投与します。細菌感染のケンネルコフは、ボルデテラやマイコプラズマが原因ですが、その場合は、ドキシサイクリン、クロラムフェニコール、キノロン、アモキシシリンが効果的です。
中等症又は重症の場合 アモキシシリン(AMPC)高用量内服 5~7 日間 ..
上記のとおり、お子様が発熱する原因として多いのは「風邪」(急性上気道炎)です。風邪はウイルスが原因であり、抗生剤は効きません。